【川嶋朗先生】日本人の体温は0.8℃も下がった!? 現代病「冷え」はこんなにも危険!
更新日:2023/03/27

日本人の体温は、昔と比べて下がっている!? 日本の大学としては初めてとなる統合医療の先駆者、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授の川嶋朗医師は、「冷えはうつ病や糖尿病、がんにまで関係する『万病のもと』だ」と主張する。この60年の間に生じた0.8℃という差は、現代の私たちにどう関係してくるのだろう。

川嶋 朗(東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授)
昭和58年 北海道大学医学部卒業、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門准教授を経て、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授(現職)。専門は自然医療全般、内科(腎臓病、膠原病、高血圧)。
目次 -INDEX-
冷えはなぜ悪いのか? 万病のもとと言われる理由は?
編集部『冷えは万病のもと』ということですが、体が冷えると、どのような症状が起きるのですか?

例えば、免疫細胞が病原体のところまで届かないと感染症にかかりやすくなりますし、がんもできやすくなります。また、脳内のセロトニンという神経伝達物質は脳で作られます。このセロトニンが不足すると、うつ病になる可能性もあります。
ほか、各種ホルモンはわずかな量でも重要な働きをするので、女性ホルモンの合成が悪くなれば生理不順を招き、インスリンの合成が悪ければ糖尿病になるなどの連鎖も考えられるのです。
編集部うつ病や糖尿病、がんにまで関係しているというのは怖いですね

編集部さらに詳しくお願いします

編集部なぜ、細胞の働きが弱まってしまうのですか?

血液はさまざまなものを運んでいます。たとえば赤血球は酸素を運んでいますし、白血球などの免疫細胞も身体中をめぐって病原体やがんをやっつけています。
加えて、血漿は水分や栄養分を運搬しています。この流れが滞ると、体の各細胞は酸素やエネルギー不足になり、働きを弱めてしまうのです。
そもそも冷えとは、どのような状態なのか?
編集部冷えとは、何度以下のことを指すのですか?

編集部体温という数字ではっきり評価されるのですね?

編集部平熱が低い人と、手足の冷えがいつまでも続いてつらいという人は要注意ですね?

編集部冷えは、昨今の若い世代で顕著になってきていると?

60年前の日本人の平均体温は37℃近くあった!
編集部日本人は昔に比べて、体温が低くなっているのでしょうか?

編集部えっ?昔はそんなに高かったんですか!今ならちょっと熱があるんじゃないかと思うような数字ですね?

編集部どうして冷えを感じる人や体温の低い人が増えているのでしょう?

編集部たしかに、飲み物があまり冷えていないとおいしくないと感じてしまうところがあります

また、私たちの体の基礎代謝の4割を担っているのは筋肉ですが、その筋肉量も減っています。地方では自動車が普及し、都会でも交通機関が発達しているので、体を動かす機会がなくなっていますよね。
編集部冷えは現代病なのでしょうか?

エアコンの話と同じですが、現代の若い人たちは、良くも悪くも“大切に”育てられてきました。さまざまなストレスに対する耐性も弱くなってきているのでは。つまり冷えは現代病であり、文明・社会の発展が原因となって、若い人ほど冷えを感じるようになったと考えられるのです。
編集部冷えに限らず、体温調節の問題とも受け取れますが?

先ほどの福岡の事例を思い出してみてください。低体温で病院に搬送されたような子どもたちが長時間暑いところにいると、今度は熱中症になってしまうはずです。
簡単でお金もかからない!湯たんぽで冷えを改善して健康になる方法
編集部冷えを感じている人が体を温めるのに効果的な方法を教えてください

編集部ほかに、温めるのが効果的なところはありますか?

また、血液だけではなく、交感神経にも注目してみましょう。日中の緊張状態では、主に交感神経が働いています。その一方、腰の仙骨には、「休め」の指示を出す副交感神経が集中しています。ですから、この部分を温めると血管が開いてくることが期待できます。実際に腰を湯たんぽなどで温めると効率よく体温が上がってきますよ。
編集部熱をもらって温めるのではなく、体質改善のような方法はないのでしょうか?

また、冷えた飲み物に対する信仰みたいなものは、この機に見直してみましょう。このように、冷え対策は意外とシンプルですから、すぐに取り組めることから始めてみてはいかがですか。
編集部まとめ
冷えは、どちらかというと不快さのような「気持ちの問題」だと思っていました。ところが、体の冷えから血液の流れが悪くなるとさまざまな体の不調を引き起こし、逆に体を温めれば改善されるとのこと。川嶋先生のお話にあった冷え対策には次のようなものがありました。
・冷たいものを飲みすぎない
・エアコンの設定温度を調節する
・日中から湯たんぽで太ももを温める
・運動をして筋肉量を増やす
・エアコンの設定温度を調節する
・日中から湯たんぽで太ももを温める
・運動をして筋肉量を増やす
これらは、お金がかからないだけでなく、「やって損」にはならない対策ばかり。また、体の冷えは、体を痩せにくくしてしまうそうです。つらい冷えの悩みを解消したい方、知らないうちに冷えで体調を崩している方、そして冷えによって思ったほど痩せられない方は、できることからひとつずつでも取り組んでみてください。「病気が発症する前に手を打つ」。そのために、日ごろから体温を高める工夫をしてみましょう。