舌下免疫療法は子どもが受けても大丈夫? 対象年齢・副作用・安全性を医師が解説

花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎で、毎年つらい症状に悩んでいるお子さんは少なくありません。薬で症状を抑える対症療法が一般的ですが、根本的に体質を改善する方法はないのかと考える保護者の方もいるのではないでしょうか? 舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質を少量ずつ体に慣らし、体質改善を目指す治療法です。効果が期待される一方で、安全性や適応条件について正しく知ることが大切です。そこで今回は、その仕組みや効果、安全性について、おとキッズクリニック院長の久保田先生に詳しく解説していただきました。
※2026年2月取材。

監修医師:
久保田 七美(戸塚共立おとキッズクリニック)
舌下免疫療法とはどのような治療?

編集部
はじめに、舌下免疫療法とはどのような仕組みで症状の改善を目指す治療法なのか教えてください。
久保田先生
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量ずつ体内に取り込み、免疫の過剰反応を徐々に和らげていく治療法です。舌の下に薬剤を置いて吸収させることで、免疫細胞の反応を調整し、アレルギー反応を起こしにくい体質へと導きます。症状を一時的に抑える薬とは異なり、体質そのものの改善を目指す点が特徴です。継続することで、将来的な症状の軽減や薬の使用量の減少が期待できます。
編集部
どのような疾患やアレルギーに対しておこなわれる治療なのでしょうか?
久保田先生
現在、日本で保険適用となっているのは主に“スギ花粉症”と“ダニによる通年性のアレルギー性鼻炎”です。血液検査などでアレルゲンが明確に特定されていることが前提となります。全てのアレルギーに適応があるわけではありませんが、対象となる患者さんでは症状の軽減だけでなく、長期的な体質改善や将来のぜんそく発症リスクの低減が期待されるケースもあります。スギ花粉症の場合は花粉飛散期を避け、6〜11月頃に治療を開始する必要があります。しかし、実情として、原材料であるスギ由来成分の供給不足が続いており、開始時期が限られるケースもあります。
編集部
通常の内服薬による治療とは、どのような点で異なるのでしょうか? 効果に違いについて教えてください。
久保田先生
抗ヒスタミン薬などの内服薬は、くしゃみや鼻水など今出ている症状を抑える対症療法です。一方、舌下免疫療法は免疫の反応そのものを調整することで、長期的な改善を目指します。効果が出るまでに数カ月以上かかることもありますが、数年継続することで症状が軽くなり、薬の量を減らせる可能性があります。ただし、効果の現れ方には個人差がある点も理解しておく必要があります。
子どもが受けても大丈夫? 安全性と副作用について

編集部
子どもでも舌下免疫療法を受けることは可能なのでしょうか?
久保田先生
現在、日本では5歳以上のお子さんが舌下免疫療法の対象とされています。舌の下に薬を保持する必要があるため、指示を守って服用できる年齢が目安となります。実際には小学校入学後に開始するケースが多い印象ですね。小児における臨床データも蓄積されており、適切な管理のもとであれば治療選択肢の一つとなります。ただし、ぜんそくのコントロールが不十分な場合や体調が安定していない場合は慎重な判断が求められます。
編集部
子どもに対する安全性は、どの程度確認されているのでしょうか?
久保田先生
舌下免疫療法は国内外で多数の研究がおこなわれ、小児においても一定の安全性が確認されています。重篤な副作用の発生頻度は低いと報告されていますが、初回投与は医療機関でおこない、その後も定期的に経過を確認します。適応を正しく判断し、フォロー体制を整えることが安全に治療を進めるうえで重要です。
編集部
舌下免疫療法の副作用にはどのようなものがありますか? 重い症状が出ることはあるのか教えてください。
久保田先生
比較的多い副作用は、口の中のかゆみや違和感、軽度の腫れなどの局所症状です。多くは治療初期にみられ、時間の経過とともに軽減します。まれに全身性のアレルギー反応が起こる可能性もあるため、初回は医療機関で観察します。アナフィラキシーは頻度としては非常に低いとされていますが、万一に備えた対応体制が整っていることが重要です。
舌下免疫療法を始める前に知っておきたいこととは

編集部
治療期間はどのくらいかかり、どのような流れで治療が進んでいきますか?
久保田先生
治療は一般的に3〜5年間継続します。舌下免疫療法を開始する前には血液検査などでアレルゲンを確認します。初回は医療機関で服用し、その後は自宅で毎日決められた方法で服用します。定期的に通院して効果や副作用を確認します。即効性はなく、数カ月から1年ほどで徐々に症状の変化を実感するケースが多いですね。継続できる環境づくりが治療成功のカギとなります。
編集部
どのようなお子さんが舌下免疫療法の適応となり、どのような場合は慎重に判断すべきでしょうか?
久保田先生
アレルゲンが検査で明確に特定されていることが前提です。さらに、症状が日常生活に影響を及ぼしている場合に適応となります。毎日決められた方法で服用を継続できること、体調変化を保護者が観察できる環境が整っていることも重要です。一方で、重度またはコントロール不良のぜんそくがある場合、過去に重篤なアレルギー反応を起こしたことがある場合は慎重な判断が必要です。また、アレルギー症状が極めて強い場合には、治療開始直後に一時的な悪化がみられる可能性もあるため、慎重な検討が必要です。効果と負担のバランスを理解したうえで、ご家族が納得して開始することが大切です。
編集部
舌下免疫療法を検討する際、医療機関選びで確認すべきポイントは何でしょうか?
久保田先生
舌下免疫療法は長期管理が前提となる治療なので、通院のしやすさに加え、定期的な評価と副作用対応の体制が整っているかが重要です。具体的には、初回投与時の観察体制、アナフィラキシー対応マニュアルの有無、ぜんそく合併例への管理経験などが確認ポイントとなります。また、治療開始前に期待できる効果と限界、継続期間の目安を具体的に説明してくれるかどうかも大切です。
編集部まとめ
舌下免疫療法は、5歳以上の子どもでも、適切な条件と管理体制のもとで受けられる治療法です。体質改善を目指せる一方で、3〜5年の継続が前提となります。副作用や適応条件を正しく理解し、信頼できる医療機関と相談しながら判断することが大切であることを教えていただきました。本稿が読者の皆様にとって、お子さんの治療選択を考える一助となりましたら幸いです。
医院情報
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| 診療科目 | 小児科、耳鼻咽喉科 |
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