クレーター状の「ニキビ跡」はなぜできる? 医師が教える治療による改善法

ニキビはもちろん、治った後の「ニキビ跡」も同じくらい気になる人が多いのではないでしょうか? 赤みや色素沈着は時間とともに薄くなる場合がある一方で、肌がへこむ「クレーター」は自然には戻りにくいとされています。本記事では、なぜニキビ跡は生じるのか、どのような治療法があるのかについて、新宿Ladies&Gentlemen美容クリニック統括技術顧問 今井一臣先生に聞きました。
※2026年3月取材。

監修医師:
今井 一臣(新宿Ladies&Gentlemen美容クリニック)
ニキビ跡には種類がある?

編集部
ニキビ跡にはいくつかの種類があるのでしょうか?
今井先生
はい。ニキビ跡は、炎症後紅斑(赤み)、炎症後色素沈着(茶色っぽいシミ)、萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)の3つに分けられます。この萎縮性瘢痕が、いわゆる「クレーター」と呼ばれる状態です。赤みや色素沈着は自然に薄くなる場合がある一方で、真皮構造が破壊された萎縮性瘢痕は、自然改善が難しいという特徴があります。
編集部
萎縮性瘢痕について、もう少し詳しく教えてください。
今井先生
皮膚の深い層(真皮や皮下組織)にまでニキビの炎症が及ぶと、正常な組織構造が破壊されてしまいます。いったん真皮が損傷し瘢痕組織に置き換わると、皮膚が本来持つ再生力だけでは元の状態に戻りにくく、自然な改善は困難と考えられています。
編集部
単なるへこみではないのですね。
今井先生
はい。皮膚の「真皮」の欠損だけでなく、さらに深い皮下組織との線維性癒着も関与します。表面を整えるだけでは十分に改善しないため、医療機関での専門治療を必要とするケースが多くなります。
ニキビ後の「クレーター」を改善する治療法

編集部
クレーターは医療機関で治療できるのですか?
今井先生
医療機関の治療によって、目立たなくする効果が期待できます。治療は「皮膚を作り直す治療」と「癒着を緩める治療」の2軸で考えていきます。クレーターの形状や深さ、癒着の程度を評価し、治療法を組み合わせるのです。
編集部
「皮膚を作り直す治療」はどのような治療ですか?
今井先生
コラーゲンの産生を促し、創傷治癒反応(ケガや手術などでできた傷が、体自身の力で治っていくプロセス)を利用して皮膚表面を滑らかに整え、段差を目立ちにくくする治療です。具体的には、レーザーなどでクレーターのエッジに刺激を与え、線維芽細胞(コラーゲンなどを生み出す細胞)を活性化させます。
編集部
「癒着を緩める治療」についても教えてください。
今井先生
瘢痕化した皮膚では、皮下の組織が収縮し、下から皮膚を引き込む力が生じる場合があります。そこで、専用の針やカニューレを皮下に挿入して線維性癒着を切り離す「サブシジョン」という治療を行います。引き込みの原因を解除し、へこみの改善を図る方法です。ほかに「マイクロサブシジョン」という治療法もあります。
編集部
マイクロサブシジョンとは?
今井先生
浅い層や中間層の癒着に対して、より繊細な操作が可能な治療法です。クレーターの形や深さ、皮下の癒着の程度を正確に見極め、通常のサブシジョンと状態に応じて使い分けます。
編集部
皮下組織からの引き込みを解除するのですね。
今井先生
引き込みの解除だけではありません。最近は、ひきつれやへこみを剥離した部分に自己のコラーゲン生成を促す目的の製剤を注入したり、へこみ部分にヒアルロン酸を注入してボリュームを補ったりする再生医療も組み合わせて行われています。
治療を始める前に知っておきたいこと

編集部
治療期間はどのくらいかかるのでしょうか?
今井先生
数カ月から年単位で計画する場合があります。ダウンタイムを伴う施術もあるため、生活とのバランスを考慮しながら進める必要があります。
編集部
ニキビ跡治療について、ほかに知っておいたほうがよいことはありますか?
今井先生
ニキビ跡治療は基本的にすべて自費診療です。治療法や回数により費用や期間が異なるため、事前にしっかりと説明を受けてください。独自の治療法や治療システムを開発しているクリニックもあるため、値段だけで判断せず、治療内容を十分に理解したうえで検討するようにしましょう。
編集部
治療を進めるうえで大切なことなどがあれば教えてください。
今井先生
ニキビ跡治療はダウンタイムを挟みつつ、時間と回数を要します。長期で段階的に改善を目指すため、治療内容について医師と十分に相談し、信頼関係を築いたうえで継続してください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
今井先生
ニキビ跡のクレーターは、アイスピック型、ボックス型、ローリング型など形状によって原因や治療法が異なります。肌の状態やへこみの深さ、癒着の程度を見極めたうえで、サブシジョンやレーザーなどの治療を組み合わせる必要があります。ニキビ跡治療は一度で完了せず、回数を重ねながら少しずつ改善を目指します。医師と患者さんが同じ方向を向き、経過を確認しながら進めることが重要だと考えています。
編集部まとめ
クレーター状のニキビ跡は真皮破壊と癒着が複合的に関与するため、診断と治療設計が鍵です。焦らず段階的な取り組みが重要といえそうです。治療方針についてしっかりと理解し、信頼できる医師とともに治療を進めていきましょう。
医院情報
| 所在地 | 東京都新宿区新宿3-25-9 新宿モアビル7F |
| 診療科目 | 内科、形成外科、皮膚科 |
| 診療時間 | 月~土[午前]:11:30~15:00(30分前受付終了) 月~土[午後]:16:00~19:30(30分前受付終了) 日:13:00~18:00(30分前受付終了) |
| 休診日 | なし |




