いぼ痔は切らずに治せる? 「ジオン注射」の3つのメリットと適応を医師が解説

痔は日本人の3人に1人が経験するといわれるほど、身近な疾患の一つです。なかでも「いぼ痔(痔核)」は、多くの人が悩む疾患ですが、「治療=手術で切る」というイメージから受診をためらう方も少なくありません。しかし、いぼ痔の多くを占める「内痔核」であれば、切らずに治せる方法があるのだそうです。そこで、切らない治療「ジオン注射」について、「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」の端山軍先生に詳しく話を聞きました。

監修医師:
端山 軍(おなかとおしりのクリニック 東京大塚)
痔ってどんな疾患? 医師が解説

編集部
はじめに、痔とはどのような疾患なのか教えてください。
端山先生
痔とは、肛門周辺に起きる様々な疾患の総称です。主に「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「あな痔(痔ろう)」の3種類があり、中でも最も多いのが“いぼ痔”です。生活習慣や排便習慣の影響が大きく、男女問わず誰にでも起こり得る疾患です。
編集部
痔にはどんな治療法があるのでしょうか?
端山先生
痔の種類それぞれに応じた治療法があります。切れ痔は、排便のコントロールと軟膏治療が中心ですが、慢性化している場合は手術が必要になることもあります。あな痔は自然治癒が難しく、ほとんどの場合手術による根治治療が必要になります。治療法は痔の種類や症状の程度によって異なるため、まずは診察を受けることが大切です。
編集部
いぼ痔(痔核)の治療法についても教えてください。
端山先生
いぼ痔(痔核)の場合は、まずは排便コントロールを中心とした生活習慣の見直しや軟膏・内服薬による保存療法から始めます。それでも改善しない場合や脱出、出血が強い場合には、注射療法や手術といった外科的な治療が選択されます。
編集部
注射で痔を治せるのですか?
端山先生
はい。内痔核に対しては「ジオン注射(ALTA療法)」という注射による治療法があります。手術と違って切らずに済むのがメリットですが、全ての痔に適応できるわけではなく、外痔核には向いていません。診断のうえ、適応を見極めて治療を選ぶことが大切です。早期に診断を受けることで、切らずに治療できる選択肢が選べるケースも少なくありません。
切らずに治せる「ジオン注射」 メリットと術後の経過を詳しく解説

編集部
ジオン注射について、もう少し詳しく教えてください。
端山先生
ジオン注射は脱出を伴う内痔核に対する注射療法で、ALTAという硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を主成分とする薬剤を注射することにより、痔核に流れ込む血液の量を減らします。従来の切除術と比べて出血が少なく、治療は局所麻酔下にておこなわれるので痛みもなく、15分程度で終わるため日帰りでおこなえるという3点が大きなメリットです。
編集部
治療後に痛みや違和感はあるのでしょうか?
端山先生
治療後に軽度の痛みや違和感を覚えたり熱が出たりする人もいますが、鎮痛薬でコントロールできる範囲です。多くの場合、翌日にこれらの症状はほぼ消失します。ただし、個人差がありますので、症状が続く場合は早めに医師へ相談することをおすすめします。
編集部
術後はどのような経過となりますか?
端山先生
術後は30分ほど安静にしていただき、その後は帰宅できます。「効果が実感できるまで3カ月くらいは見ておいてください」と説明していますが、実際はもっと早く効果が出ることが多いようです。個人差はありますが、注射をした当日もしくは翌日から出血が止まり、数日で痔核が脱出しなくなるケースがほとんどですね。ただし、その間は無理をせず、排便コントロールや入浴など日常生活に注意していただきます。
ジオン注射治療後の生活や注意点について教えて!

編集部
「日常生活に注意」とは、具体的にどのような注意が必要ですか?
端山先生
まず、いきむと再発のリスクが上がってしまうため、排便がスムーズにおこなえるよう、水分や食物繊維の摂取を意識してください。アルコールや刺激物は控えめに、激しいスポーツなどもしばらく避けるのが望ましいですね。
編集部
術後の通院は必要ですか?
端山先生
そうですね。再発防止や症状の再評価のためにも、定期的なフォローが大切です。それぞれの症状やクリニックの方針にもよりますが、多くの場合、手術の翌日には再度受診していただき、その後1週間後→2週間後→1カ月後→3カ月後と、段階的に経過観察をし、頻度を徐々に減らしていきます。
編集部
ジオン注射を受ける際の注意点について教えてください。
端山先生
ジオン注射は比較的負担の少ない治療ですが、全ての痔核に適応できるわけではありません。繰り返しになりますが、外痔核や痔核の嵌頓(かんとん)といった強い炎症を伴うケースには向かない場合があります。術後は、まれに一時的な腫れや発熱、排便時の違和感が生じることもありますので、術後の体調変化には注意し、異常を感じた際は早めに医療機関を受診してください。治療前に医師としっかり相談し、適応を見極めることが何よりも大切です。
編集部
痔の治療は何科にかかればいいのでしょうか?
端山先生
痔の症状がある場合は、肛門科(肛門内科・肛門外科)を受診するのが最も適しています。肛門科では、いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・あな痔(痔ろう)といった痔疾患を専門的に診療しており、視診や肛門鏡検査などを用いて正確に診断し、保存療法から注射療法、手術まで幅広い治療選択肢の中から適切な方法を提案することができます。
編集部
近くに肛門科がない場合はどうすればいいですか?
端山先生
近くに肛門科がない場合や受診に抵抗がある場合は、消化器外科や外科でも痔の診療をおこなっている医療機関が多く、まずはこれらの診療科を受診していただいても構いません。 特に、出血が続く、強い痛みがある、痔が肛門の外に出て戻らないといった症状がある場合には、自己判断せず早めに医療機関を受診することが重要です。早期に診断を受けることで、切らずに治療できる選択肢が選べるケースも少なくありません。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
端山先生
痔はとても身近な疾患ですが、恥ずかしさから受診をためらう人も少なくありません。しかし、早めに相談すれば、切らずに治せる方法もありますし、痛みや不安を最小限に抑えた治療が可能です。「もしかして」と思ったら、我慢せず一度大腸肛門病専門医にご相談ください。おしりの悩みが解消されることで、日常生活の快適さが大きく変わります。皆さんが安心して治療を受けられるよう、私たち医師も丁寧にサポートします。
編集部まとめ
痔核治療の選択肢として注目されているジオン注射。切らずに治療できるメリットは大きい一方で、治療後の生活においても適切なケアが欠かせません。おしりの悩みは人に言いづらいものですが、注射で改善するかもしれません。気になる症状のある方は、一人で抱え込まず、医療機関に相談してみてはいかがでしょうか?
医院情報
| 所在地 | 東京都豊島区南大塚3-34-7 大塚carna 2階 |
| 診療科目 | 内科、消化器科、肛門科 |
| 診療時間 | 月火木金 8:30~12:00/14:00~17:30 土 8:30~12:00 |
| 休診日 | 水・土曜午後・日・祝 |



