「コーヒーを飲むと片頭痛が治まる」これってウソ? ホント? カフェインと頭痛の正しい付き合い方を医師が解説

頭痛が起きたときに「コーヒーを飲むと楽になる」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか? 一方で、飲みすぎると逆に頭痛が悪化するという話も耳にします。実は良かれと思って飲んでいる一杯が、知らぬ間に症状を慢性化させているかもしれません。効果を最大限に引き出し、リスクを避けるためにはどうすればいいのか。今回は、赤坂おかだ頭痛クリニックの岡田満夫先生に、カフェインと頭痛の関係、摂取量の目安などについて伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
岡田 満夫(赤坂おかだ頭痛クリニック)
カフェインと片頭痛の関係

編集部
「片頭痛はコーヒーを飲むと治まる」という話を聞いたことがあります。本当なのでしょうか?
岡田先生
確かに、効果を感じるケースはありますね。カフェインを摂取することで、発作の初期であれば痛みが和らぐことはあります。ただし、効果には個人差があり、症状やタイミングによっては十分に効かないこともあります。あくまで一時的な対処の一つと考えてください。
編集部
なぜカフェインで頭痛が楽になるのでしょうか?
岡田先生
片頭痛の痛みには、脳の血管の拡張や神経が敏感になっていることが深く関わっています。カフェインの血管収縮作用がこの一部に働き、痛みが軽く感じられると考えられています。また、一部の鎮痛薬にカフェインが配合されるのも、鎮痛効果を補う目的があります。
編集部
「一部では」ということは、効かないこともあるのですね。
岡田先生
そうですね。例えば、カフェインの摂り過ぎによる頭痛だと、カフェインを摂取しても頭痛が治まることはありません。また、多量のカフェインを習慣的に摂取している方が急にやめると、離脱症状として頭痛が出ることもあります。カフェインは「頭痛に効くこともある」一方で「摂取の仕方・やめ方」によっては頭痛が悪化することもある物質なのです。
編集部
自分にとってカフェインが「頭痛に効くのか、頭痛を引き起こすのか」を見分けるにはどうすればいいのでしょう?
岡田先生
頭痛が起きた日とカフェイン摂取の量・時間を記録すると傾向が見えてきます。飲んだ直後に楽になるのか、翌日に響くのか、飲まなかった日に出るのかなど、パターンを把握することが重要です。必要なら受診時に記録を持参すると診療にも役立ちます。
摂取量の目安と注意点とは

編集部
頭痛を抑制するためにカフェインを摂取する場合、どのくらいの量が適切なのでしょうか?
岡田先生
目安はコーヒーで1日1~2杯程度です。毎日“必ず同じ量”である必要はありませんが、摂取量を日によって大きく増減させないことが大切です。多い日と少ない日の差が大きいほど、頭痛が起こりやすくなることがあります。
編集部
毎日たくさんのコーヒーを飲んでいる人も多いと思います。
岡田先生
そうですね。繰り返しになりますが、そういう人が急に摂取量をゼロにすると離脱による頭痛が出ることがありますので、減らす場合は杯数や濃さを少しずつ落としていくのが安全です。頭痛対策としては「増やしすぎない」「急にやめない」「毎日の量を一定に保つ」の3点が基本になります。
編集部
ほかに、片頭痛の人がコーヒーを飲む場合、知っておいた方がよいことはありますか?
岡田先生
「コーヒーは1日1~2杯程度」と言いましたが、カフェインはほかの飲み物にも入っているため、コーヒー以外の飲み物の摂取量にも気を配ることが大事です。緑茶や紅茶、栄養ドリンク、エナジードリンクなど、複数の飲料からカフェインを摂っている方は、自分では少量のつもりでも合計量が増えることがあるため、1日のトータルで把握する意識が必要です。
編集部
カフェインをとる時間帯も関係するのでしょうか?
岡田先生
関係します。夕方以降にカフェインを摂取すると眠りが浅くなり、睡眠不足を招く恐れがあります。睡眠不足そのものが片頭痛の引き金になることもあるため、頭痛にお悩みの方は遅い時間の摂取を控え、眠りの質を優先しましょう。
食事と受診のタイミング

編集部
カフェイン以外で、頭痛の誘因になりやすい食品があれば教えてください。
岡田先生
人によって差はありますが、熟成チーズ、チョコレート、加工肉(ハム、ソーセージ)、人工甘味料、赤ワインやビールなどが誘因になることがあります。必ず避けるべきというより、自分に当てはまるかを把握し、誘因が明確なら調整する考え方が現実的です。
編集部
食事のとり方や水分補給で気をつけることはありますか?
岡田先生
空腹や低血糖、脱水は頭痛の引き金になりやすいので、食事を抜かずこまめに水分を摂ることが大切です。忙しい方ほど昼食や水分を抜くことが多いので、まずは生活の中で「欠食しない」「水分をこまめに摂る」ことを意識してください。こういった生活改善だけでも頭痛をかなり軽減できる場合がありますので、頭痛にお悩みの方は一度お近くの頭痛専門医に相談してみるとよいかと思います。
編集部
頭痛専門医に相談すると、どのような点が違うのでしょうか?
岡田先生
頭痛のタイプを正確に診断し、必要に応じてMRIなどで二次性頭痛(脳梗塞や脳腫瘍など、脳の障害による頭痛)を除外したうえで治療方針を立てられる点がメリットです。薬だけでなく、生活習慣指導や非薬物療法、慢性化を防ぐ予防治療を含めて、個々の状態に適した提案をしてくれると思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
岡田先生
カフェインは血管収縮作用により一時的に片頭痛の痛みを軽減することがありますが、慢性的な大量摂取や不規則な摂取は頭痛の悪化・慢性化につながる可能性が指摘されています。特に、日常的に高用量のカフェインを摂取している方が急に摂取をやめると、「カフェイン離脱頭痛」という独立した頭痛症状を引き起こすリスクがあります。頭痛のパターン(片頭痛、緊張型頭痛、混合型)や生活習慣を踏まえた上で、カフェインの適量摂取と安定した生活リズムを保つことが重要です。具体的な摂取量や頭痛発症との関連性に不安がある場合は、頭痛専門医による評価をおすすめします。
編集部まとめ
カフェインは片頭痛の初期に症状を和らげることがある一方で、摂り過ぎや急な中断で頭痛の原因にもなり得ます。目安は1日1~2杯程度とし、量を一定に保つことがポイントです。また、緑茶やエナジードリンクなど、ほかの飲料からの摂取量にも注意し、自身の頭痛パターンを記録することが改善への近道となります。食事や水分補給、睡眠の質も含めて整え、それでも頭痛が続く場合は我慢せず頭痛専門医に相談しましょう。
参考文献
日本頭痛学会(市民・患者さん向け:頭痛について知る)
厚生労働省(カフェインの過剰摂取に関するQ&A)
医院情報

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