「片頭痛は遺伝する」は本当なのか? 発症を防ぐための生活習慣を医師が解説

片頭痛は、日本人の約840万人が抱えているとされ、特に30〜40代の女性に多い疾患です。頭痛が起こると仕事や家事が手につかない方も多いのではないでしょうか? 近年は新しい治療薬の選択肢も増え、医療機関で適切なケアを受けることで症状を大幅に改善できる可能性が高まっています。痛みと上手に付き合い、自分らしい毎日を取り戻すためのヒントを探っていきましょう。そこで今回は、赤坂おかだ頭痛クリニックの岡田満夫先生に、片頭痛は遺伝するのか、また日常生活でできる予防策について詳しく伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
岡田 満夫(赤坂おかだ頭痛クリニック)
片頭痛の基本を医師が解説!

編集部
はじめに、頭痛にはどのような種類があるのか教えてください。
岡田先生
頭痛は大きく、「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の三つに分類されます。この中でも片頭痛は、強い頭痛に加えて吐き気や光・音への過敏さを伴うことが多く、日常生活に大きな支障をきたすのが特徴です。単なる体調不良ではなく、適切な診断と治療が必要な疾患と考えられています。
編集部
それぞれの頭痛について教えてください。緊張型頭痛とは、どのような頭痛なのでしょうか?
岡田先生
緊張型頭痛は、首や肩、頭の周囲の筋肉が緊張することで起こる頭痛です。頭を締め付けられるような鈍い痛みが特徴で、片頭痛のような吐き気や光過敏はあまりみられません。長時間のデスクワークや姿勢不良、ストレスが引き金になることが多く、日常生活の工夫やストレッチ、休息で改善するケースも少なくありません。
編集部
片頭痛では、どのような症状が現れますか?
岡田先生
ズキズキとした拍動性の頭痛が代表的ですが、必ずしも頭の片側だけが痛むわけではありません。体を動かすと痛みが悪化し、光や音に強く敏感になることもあります。吐き気や嘔吐を伴う場合もあり、症状が強いと仕事や家事が困難になることも少なくありません。
編集部
群発頭痛はいかがでしょうか?
岡田先生
群発頭痛は、目の奥をえぐられるような非常に強い痛みが特徴で、一定の期間に集中して起こります。多くは片側の目の周囲に激痛が生じ、涙や鼻水、目の充血を伴うこともあります。発作の強さから日常生活への影響が大きく、市販薬では効果が乏しいため、早めに専門医を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
片頭痛は遺伝するってホント?

編集部
片頭痛について、もう少し詳しく教えてください。実際どのような支障をきたすものなのでしょうか?
岡田先生
片頭痛のある方の多くが、日常生活や仕事への影響を感じています。集中力の低下により作業効率が落ちたり、痛みで接客業などに支障が出たりすることがあります。私生活でも外出や予定を控えるようになり、生活の質全体が低下してしまう点が大きな問題です。
編集部
親が片頭痛持ちなのですが、遺伝するものなのでしょうか?
岡田先生
片頭痛には遺伝的要因が関与していることが分かっています。家族に片頭痛の方がいる場合、発症しやすい体質を受け継ぐ可能性はあります。しかし、これは「必ず遺伝する」という意味ではありません。遺伝はあくまで「なりやすさ」に影響する要素の一つで、ほかの要素も大きく関係しています。
編集部
遺伝以外には、どのような要因が関係しているのですか?
岡田先生
ストレスや睡眠不足、食事の不規則さ、女性では月経周期などのホルモン変動が関与するとも言われています。遺伝的な体質に、こうした環境要因が重なることで片頭痛が起こると考えられており、同じ家族でも症状の出方や重さに差が生じます。
編集部
家族が片頭痛持ちであっても、片頭痛が出ないようにできるということでしょうか?
岡田先生
そうですね。体質的な傾向があっても、生活習慣を整え頭痛の誘因を避けることで発症や悪化を防ぐことは十分可能です。早い段階から正しい知識を持ち、無理を重ねない生活を心がけることが大切です。
日常生活でできる片頭痛の予防法

編集部
日常生活でできる予防策にはどのようなものがありますか?
岡田先生
規則正しい生活が基本です。睡眠不足や寝過ぎを避け、毎日できるだけ同じ時間に寝起きすることが重要です。また、長時間同じ姿勢を続けると首や肩の緊張が強まるため、定期的に休憩を取り、体を動かす習慣をつけましょう。
編集部
片頭痛も、筋の緊張が関係するのですか?
岡田先生
そうですね。片頭痛も首や肩の筋緊張が高まることで頭痛が起こりやすくなります。デスクワークの方は、椅子の高さや画面位置を調整し、首への負担を減らすことが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動や、首・肩・背中のストレッチを無理のない範囲で継続することも予防につながります。
編集部
食事や水分補給で気をつける点はありますか?
岡田先生
空腹や脱水は片頭痛の引き金になりやすいため、食事を抜かず、こまめに水分を取ることが重要です。マグネシウムやビタミンB2、オメガ3脂肪酸を含む食品は予防に役立つ可能性があります。カフェインやアルコールは摂りすぎないよう注意しましょう。
編集部
生活習慣の見直しだけで改善しない場合、クリニックではどのような治療があるのでしょうか?
岡田先生
近年は、片頭痛の仕組みが科学的に解明され、CGRP関連薬をはじめとした新しい予防治療も登場しています。エムガルティなどの注射薬が比較的有名ですが、注射はどうしても嫌だと言う方には、内服薬も出てきています。「市販薬が効かなくなってきた」「頭痛のせいで予定を立てにくい」と感じている方は、決して我慢せず、早めに頭痛専門医へ相談してください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
岡田先生
片頭痛は「遺伝だから仕方がない」「我慢するしかない」と誤解されがちですが、実際には体質(遺伝的ななりやすさ)と生活環境が重なって起こる疾患です。つまり、同じ体質を持っていても、睡眠・ストレス・食事・姿勢などを整えたり適切な診断と治療を受けたりすることで、発作の頻度や重症度を大きく減らせる可能性があります。頭痛に振り回されない生活を取り戻すための第一歩として、正しい知識を持つことが何より大切だと考えています。
編集部まとめ
片頭痛は「遺伝」だけで決まる病気ではなく、ストレスや睡眠、食事、姿勢など日常の積み重ねが発症や悪化に大きく関わります。体質だから仕方ないと諦めるのではなく、生活習慣の見直しや専門医への相談を早めにおこなうことで、発作の頻度やつらさの軽減が期待できます。特にCGRP関連薬のような新しい治療法の普及は、長年悩んできた方にとって大きな希望となります。我慢を美徳とせず、まずは専門医の扉を叩き、痛みに振り回されない未来への第一歩を踏み出してください。
参考文献
MSDマニュアル家庭版(一般向け):片頭痛
日本頭痛学会(ガイドライン関連・日本語):片頭痛は遺伝するか/関与遺伝子
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