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整腸剤は飲み続けて大丈夫? 効かない人の特徴と賢いやめどきを専門医が解説

 公開日:2026/01/24

整腸剤は飲み続けて大丈夫?

「とりあえずお腹の調子が悪いから」「お医者さんが出してくれたから」。そんな理由で、なんとなく整腸剤を飲み続けていませんか? じつはその習慣、効果がないばかりか、ごくまれにですがリスクを伴う可能性も指摘されています。今回、普段飲んでいる整腸剤が本当に必要なのかを見極めるための「3つのポイント」を、「YouTube医療大学」を運営する総合診療科の医師、舛森先生に伺いました。

舛森 悠

監修医師
舛森 悠(YouTube医療大学)

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2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者86万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。

整腸剤の本当の効果は? 「主役」になれる場面は意外と少ない

整腸剤の本当の効果は? 「主役」になれる場面は意外と少ない

編集部

多くの人が整腸剤を「お腹の調子を整える万能薬」のように思っているようですが、実際のところその効果はどうなのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

まず知っていただきたいのは、「整腸剤(プロバイオティクス)は万能薬ではない」ということです。もちろん有用な薬ですが、その効果が最も科学的に証明されているのは、非常に限定的な場面なのです。

編集部

それは具体的にどんなときなのか教えてください。

舛森 悠先生舛森先生

「抗菌薬(抗生物質)による下痢の予防」の場面です。風邪などで抗菌薬を飲むと、腸内のよい菌も悪い菌も攻撃してしまい、腸内環境が乱れて下痢(抗菌薬関連下痢)を起こすことがあります。整腸剤を抗菌薬と一緒に飲むことで、この下痢のリスクを大きく減らせることが、信頼性の高い研究(コクラン・レビュー)で分かっています。

編集部

感染性胃腸炎など、急なウイルス性の風邪のときにはどうですか?

舛森 悠先生舛森先生

それもよく聞かれる質問ですが、ウイルス性の下痢に対しては、「下痢の期間が少し(1日程度)短くなるかもしれない」といった限定的な効果に留まる、というデータがあります。過度な期待は禁物です。

「99%の人は安全」でも知っておきたい“意外な副作用”

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編集部

効果が限定的となると、逆に副作用が心配になってきました。

舛森 悠先生舛森先生

まず大前提として、整腸剤は極めて安全性の高い薬です。99%以上のほとんどの方は、副作用の心配なく服用いただけます。まず、そこはご安心ください。

編集部

それを聞いて安心しました。

舛森 悠先生舛森先生

ただし、ごく稀ではありますが、「菌血症(きんけつしょう)」という重篤な副作用が報告されているのも事実です。これは、本来は腸の中にいるべき善玉菌が、何らかの理由で血液中に入り込んでしまう状態を指します。

編集部

菌血症は、どんな人が特に注意すべきなのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

特に以下のような条件に当てはまる方は、このリスクに注意が必要です。ご自身が当てはまらないか、一度確認してみてください。
【整腸剤の服用に注意が必要な方(要注意チェックリスト)】
・免疫の働きを抑える薬(免疫抑制剤など)を使っている
・がんの治療中(抗がん剤治療など)である
・生まれつき免疫の働きが弱い(免疫不全)
・重い病気で入院している、または中心静脈カテーテルが入っている
※これらはあくまで一般的な注意点です

整腸剤の「やめどき」はいつ? 賢い使い方・やめ方

整腸剤の「やめどき」はいつ? 賢い使い方・やめ方

編集部

整腸剤を飲む場合、いつまで飲み続けるべきか「やめどき」が分かりません。

舛森 悠先生舛森先生

よい質問ですね。薬を飲む上で最も大切なのは「目的」と「期間」をはっきりさせることです。整腸剤も例外ではありません。

編集部

目的ごとの「期間」の目安を教えてください。

舛森 悠先生舛森先生

はい。まず「抗菌薬による下痢予防」が目的の場合ですね。これはやめどきが明確で、抗菌薬(抗生物質)を飲み終わるタイミングで、整腸剤も一緒に終了となります。

編集部

では、「便秘の改善」が目的の場合はどうでしょう?

舛森 悠先生舛森先生

その場合は、まず「2~4週間」のお試し期間を設けることをおすすめします。その期間飲んでみて、ご自身の症状(お通じの回数や硬さなど)が改善するかを客観的に判断してみてください。もし効果を実感できなければ、漫然と続ける必要はないかもしれません。効果を感じないのに「お守り代わり」に飲み続けることは、医療費の無駄遣いにも繋がってしまいますからね。「やめる勇気」を持つことも大切です。

編集部まとめ

整腸剤は「お腹の調子を整える万能薬」というイメージがありますが、舛森先生のお話から分かるのは、効果がはっきり証明されている場面は意外と限られているという事実です。とくに有用性が確立しているのは、抗菌薬(抗生物質)を服用した際の下痢予防であり、それ以外のケースでは効果は限定的で、過度な期待は禁物です。整腸剤を上手に使うために大切なのは、「得意な場面を知ること」「目的と期間を決めること」が重要です。抗菌薬と併用する場合は抗菌薬終了まで、便秘などの改善目的なら2~4週間を目安に効果を見極め、改善がなければ続けない判断も重要です。

参考文献

  • Goldenberg JZ, et al. Probiotics for the prevention of antibiotic-associated diarrhea in adults and children. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2017, Issue 12.
  • Allen SJ, et al. Probiotics for treating acute infectious diarrhoea. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2010, Issue 11.
  • Sada RM, Matsuo H, Motooka D, Kutsuna S, Hamaguchi S, Yamamoto G, Ueda A. Clostridium butyricum Bacteremia Associated with Probiotic Use, Japan. Emerg Infect Dis. 2024;30(4):665-671. doi:10.3201/eid3004.231633.
  • 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(編). 慢性便秘症診療ガイドライン2017. 東京: 南江堂; 2017.
  • ミヤリサン製薬株式会社. ミヤBM細粒/ミヤBM錠 医薬品インタビューフォーム. 2022年11月改訂(第7版)
  • ビオフェルミン製薬株式会社. ビオフェルミンR散/ビオフェルミンR錠 医薬品インタビューフォーム. 2025年10月改訂(第18版)

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