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脂質代謝異常症(脂質異常症・高脂血症)の症状・原因とは?

 更新日:2023/03/27

脂質代謝異常症(読み方:ししつたいしゃいじょうしょう/脂質異常症・高脂血症)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
遠藤渓 医師(遠藤クリニック 院長)

脂質代謝異常症とは

血液中の脂質にはLDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、トリグリセライド(中性脂肪)などがあります。
高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症といった血液中の脂質の異常を総称して「脂質異常症」といいます。
LDLコレステロールの値が高い状態が続くと動脈硬化を進展させます。一方で、HDLコレステロールは血管壁にたまった余分なコレステロールを取り出し、動脈硬化の進展をおさえる働きがあります。また、トリグリセライドの値が高い状態が続くと心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを発症する危険性が高まります。
脂質異常症に加え、肥満(特に内臓脂肪型肥満)、血糖値や血圧が高めという状態が重なるメタボリックシンドロームは、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患となる危険性がさらに高くなります。
引用:東京都病院経営本部
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/eiyou/koushi.html

遠藤渓 医師 遠藤クリニック 院長監修ドクターのコメント
脂質代謝異常症とは、脂質異常症とほぼ同じものをいいます。代謝は、脂質(コレステロール)を作り出したり、分解するものを指しますが、その脂質代謝関係の異常の全般的な病気の総称が脂質代謝異常症です。
脂質異常症は、主に高齢者や閉経後の女性、家族歴のある方(遺伝)はなりやすいと言われています。

脂質代謝異常症の症状

脂質代謝異常症の患者さんの大半は症状が全くありません。しかし、家族性高コレステロール血症の場合には、しばしば手足の腱(けん)や皮膚にコレステロールの成分がたまることによって、腱の一部が大きくはれたり、皮膚に結節(けっせつ)という「しこり」ができたりします。また黒目のふちにそってコレステロールの白い色素の沈着(ちんちゃく)がみられることもあります。いずれも一般人の数倍程度にLDLコレステロールが高くなっていることが原因です。
中性脂肪の高い患者さんの中には、膵炎を突然おこしてしまうことがあり、その場合は激しいお腹の痛みやはき気、下痢などを認めることがあります。
一方、脂質代謝異常症の合併症として特に重要なのが大血管合併症であり、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)といったものが一般的です。狭心症や心筋梗塞では胸の圧迫感や胸の痛みが特徴的です。脳梗塞では手、足の麻痺やろれつが廻らない、場合によっては意識がなくなるといった脳の働きの障害が症状として現れることがあります。
引用:慶応義塾大学病院

 

脂質代謝異常症の原因

脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどが関係しているといわれています。特に、お腹の中に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。
また、遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。このタイプは、遺伝性ではないタイプのものに比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが知られています。親や祖父母、兄弟など血のつながったご家族に脂質異常症や55歳未満(男性の場合)または65歳未満(女性の場合)で心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高いため、まず、ご自身のLDLコレステロール値を確認してみましょう。

引用:ファイザー
http://www.sageru.jp/ldl/knowledge/cause.html

脂質代謝異常症の検査法

脂質代謝異常症の診断は、早朝空腹時の血液検査で行われます。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪は1時間ほどで結果の確認が可能です。
引用:慶応義塾大学病院
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000067.html

遠藤渓 医師 遠藤クリニック 院長監修ドクターのコメント
脂質異常症の原因は、生活習慣病が深く関係しています。そのため、食事療法や運動療法等の生活指導を行っていくようになります。それでも良くならない、生活習慣そのものが改善できない場合(例えば、指導を行っても運動できない、食事が減らせない等の状況が続く場合)は薬物療法を行うこともあります。

脂質代謝異常症の治療方法

1.食事療法
過食がある場合は摂取カロリーの見直しをお勧めします。一般的な適正摂取カロリーは、1日あたり、標準体重×25~30kcalといわれています(標準体重(kg)=[身長(m)]2×22)。
LDLコレステロールが高い場合はコレステロールを多く含む食物のとり過ぎに気をつけましょう。中性脂肪が高くてHDLコレステロールが低い場合は、甘いものや脂肪の多いもの(特に動物性の脂質)、揚げ物をひかえることが大切です。そして、アルコールの制限はしばしば大きな効果が期待されます。食物繊維(しょくもつせんい)もしっかりとりましょう。(→病気と付き合うための食事療法の項を参照)

2.運動療法
1日30分くらいのウォーキングがお勧めです。週3日以上行うほうが効果的でしょう。ただし、心臓病などをお持ちで運動をあまりお勧めできないこともありますので、適宜主治医と相談してください。

3.薬物療法
食事療法や運動療法を行っても大きな効果がない場合は、薬物療法を行います。
LDLコレステロールを下げる薬
肝臓でのコレステロール合成をおさえる薬(スタチン薬といいます)、腸管でのコレステロール吸収を抑える薬などがあります。
中性脂肪を下げる薬
中性脂肪の代謝を進める薬を処方します。しかし、中性脂肪が高くなってしまう原因のほとんどが生活習慣の乱れによるものですので、生活習慣の見直しをせず薬だけに頼ろうとしてしまうと、なかなか良い効果が得られません。

引用:慶応義塾大学病院
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000067.html

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