放置は危険! 『糖尿病』の初期症状と合併症リスク、家族ができる生活改善とは【医師監修】

糖尿病と診断される人は増えており、「普段、どんなことに気をつけたらよいのか……」と不安を感じる人も少なくありません。糖尿病について理解を深めるなら、まずは症状を正しく認識し、治療の目的や日々の生活でできる工夫を知ることが大切です。今回は、糖尿病の基礎から治療のポイント、そして家族としての関わり方について、医師の吉良先生(さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック 和光市駅前院)に話を聞きました。
※2025年12月取材。

監修医師:
吉良 文孝(さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック和光市駅前院)
糖尿病って? 合併症が怖いってホント?

編集部
糖尿病とは、どんな病気なのでしょうか?
吉良先生
糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの効果が弱くなったり、インスリンの分泌が低下したりすることで血液中の糖が高くなる病気です。初期は自覚症状に乏しく進行に気づきにくいものの、放置すると血管が傷み全身の臓器へ影響が出るため、早期発見が重要です。
編集部
なぜ血糖値が高くなるのですか?
吉良先生
通常、食事で増えた糖はインスリンの働きによって細胞に取り込まれますが、インスリンが不足したり、うまく働かなかったりすると糖が血液中に残ってしまうからです。ちなみに、やせ型の人でも2型糖尿病は起こり得ます。
編集部
2型糖尿病の話題が出ましたが、糖尿病には種類があるのでしょうか?
吉良先生
はい、複数のタイプがあります。1型は自己免疫の異常で膵臓からインスリンが分泌されなくなるタイプ、2型は遺伝的体質と生活習慣が重なって発症するタイプで、日本人の多くは2型です。また、妊娠をきっかけに血糖値が上昇する「妊娠糖尿病」などもあります。妊娠糖尿病の場合は、母子の安全のため血糖管理が必要です。
編集部
糖尿病には、さまざまな合併症があると聞きました。
吉良先生
そうですね。高血糖が続くと血管が障害され、細い血管がダメージを受けて目、腎臓、末梢神経などに影響が出ます。この結果、糖尿病の三大合併症といわれる網膜症・腎症・神経障害が起こります。動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まるため、早期から血糖を整えることが合併症予防に直結します。
日常的な血糖コントロールと治療の基本

編集部
糖尿病の治療は、どのように進められるのですか?
吉良先生
1型はインスリン治療が必須ですが、2型の場合、治療の中心は食事療法と運動療法です。生活改善でも数値が十分に下がらない場合は、薬による治療を組み合わせて血糖を安定させます。とにかく継続することが非常に重要です。
編集部
糖尿病は治らないのでしょうか?
吉良先生
糖尿病治療の目標は、血糖値を単に下げるのではなく、長期的によい状態を保ち続けることです。生活の見直しや薬物療法で大きく改善し、薬の減量や中止が可能になる人もいますが、基本的に「完治」を目指す疾患ではありません。安定した状態を維持することが最も大事です。
編集部
生活そのものを見直す必要があるのですね。
吉良先生
その通りです。血糖値は食事内容、運動量、睡眠、ストレスなど日々の影響を大きく受け、内臓脂肪の増減も血糖に直結します。そのため、薬だけでは不十分で運動や食事、睡眠など、生活を整えることが治療の一部になるのです。これが糖尿病の大きな特徴でもあります。
編集部
運動はどの程度取り入れるとよいのでしょうか?
吉良先生
無理のない範囲で継続できるのが理想ですね。軽いウォーキングでも効果があり、筋肉を動かすことで血糖を処理しやすくなります。日常に取り入れやすい形で続けることが大切です。
家族が糖尿病になったら、どう関わるのか

編集部
食事面では、どんなことを意識するとよいでしょうか?
吉良先生
炭水化物の量に注意し、まず野菜から食べる「ベジファースト」や、良質なたんぱく質をしっかり取ることが重要です。過度な制限よりも、食材の選び方や食べる順番を工夫するだけで、血糖値の上昇を緩やかにできます。食事については、自己判断せずに医師や管理栄養士などから栄養指導を受けることをおすすめします。あとは、家族の協力も欠かせません。
編集部
家族が糖尿病になったら、どのように寄り添うことが望ましいのでしょうか?
吉良先生
強いストレスが続くとホルモンバランスが乱れ、血糖値が上がりやすくなるため、本人がリラックスできる時間を作ってあげてください。「軽い運動」「ちょっとした食事の工夫」であっても、ずっと続けるとなるとストレスがかかってきます。普段頑張っていることを褒めたり、時には好きなように1日を過ごさせたりするなどの気遣いも、病気と長く付き合っていく上では大切です。
編集部
そのほかに、家族として気をつけた方がよい点はありますか?
吉良先生
頑張り過ぎると続かなくなってしまうため、最初から「長く続けること」を前提に、目標やペースを決めるようサポートしてあげてください。また、「薬は使わない!」とこだわり過ぎないことも重要ですね。あとは、内服薬を自己判断で中止しないこと、副作用や低血糖リスクを主治医に確認することも忘れないでください。生活習慣だけでは改善が難しい場合、薬を適切に使うことで安全に血糖コントロールできることがあるため、必要な場面ではためらわずに活用していくことが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
吉良先生
糖尿病は、悪くならないうちにきちんと対応すれば怖い病気ではありません。放置すると合併症が起こり得るため、定期受診と検査が重要です。大事なのは、放置しないことです。健康診断で指摘されたときや、気になる症状があるときは、近くの糖尿病内科などで早めに相談してください。過度に怖がる必要はありませんが、適切なタイミングで向き合うことが何より大切です。
編集部まとめ
糖尿病は、日々の生活と密接に関わる病気で、治療と生活習慣の改善を続けることにより合併症の予防が可能です。食事・運動・睡眠の見直しが血糖管理の大きな一歩になります。家族が糖尿病になった場合は、生活の整え方を一緒に考え、時には息抜きをさせてあげる姿勢が治療継続の支えとなります。健康診断の数値に不安があれば、早めに受診してください。
医院情報

| 所在地 | 埼玉県和光市丸山台1丁目10-20 M.Nビル3階4階 |
| 診療科目 | 内科、消化器科、胃腸科 |
| 診療時間 | 月~金 9:00~12:00/15:00~18:30 土 9:00~12:30 |
| 休診日 | 日・祝 |




