「腎臓」が悪い人の尿は“健康な人の尿”とどう違う? 多尿は危険?【医師解説】

日中の頻尿や夜間のトイレの回数が増えると、「歳のせい」などと思いがちですが、じつは腎臓の機能低下が関係していることがあるのだそうです。では、腎臓の病気でどのように尿が変化するのでしょうか? 日本腎臓学会腎臓専門医の本田先生(ほんだ内科クリニック)に詳しく話を聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
本田 和也(ほんだ内科クリニック)
腎臓と尿の関係って? 医師が解説!

編集部
腎臓はどんな働きをしている臓器ですか?
本田先生
腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出し、水分や塩分のバランスを整える臓器です。また、血圧を調整したり、赤血球を作るホルモンを分泌したりと、全身の健康に深く関わっています。腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物が溜まり、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
編集部
多尿もその1つですか? 多尿とはどのような状態を指すのでしょうか?
本田先生
1日の尿量が2.5リットルを超える場合、多尿とされています。単なる水分の摂り過ぎだけでなく、糖尿病や慢性腎臓病などが原因のこともあります。特に夜間の多尿は腎臓のろ過機能が落ちているサインであることが多く、注意が必要です。
編集部
それはなぜですか?
本田先生
腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が弱まり、薄い尿がたくさん出るようになります。その結果、日中に摂取した塩分を日中のうちに排出できず、夜になっても尿として排泄しようとするため、夜間の尿が増える、いわゆる「夜間頻尿」が起こりやすくなるのです。
編集部
多尿と頻尿は違うのですか?
本田先生
はい。頻尿は「回数が多い」状態で、必ずしも尿量が多いわけではありません。一方で多尿は「尿そのものの量が多い」「1回の量が多い」状態を指します。例えば、頻尿は膀胱の問題、多尿は腎臓やホルモンの異常で起こることが多いです。両者を混同せず、原因を見極めることが大切です。もちろん、併発するケースもあります。
編集部
腎臓の不調で、尿の量が減ることはありますか?
本田先生
そうですね。腎臓のろ過機能がさらに低下すると、尿が減ることがあります。1日の尿量が400ml未満になると「乏尿(ぼうにょう)」と呼ばれ、急性腎障害や慢性腎不全の末期の可能性があります。
腎臓が悪い人の尿の特徴とは?

編集部
腎臓が悪くなると尿はどのように変化しますか?
本田先生
腎臓が悪いと、尿が泡立ったり、色が濃くなったり、逆に極端に薄くなったりすることがあります。泡立ちは尿中にたんぱく質が漏れているサインで、腎炎の可能性があります。また、血尿が混じることや、においが変化することもあり、見逃さないことが大切です。
編集部
尿のにおいが変化することもあるのですか?
本田先生
そうですね。よく書籍などには、腎臓の働きが落ちると老廃物がうまく排出されず、尿のにおいが変化すると記載されています。具体的には、甘いにおいやアンモニアのような強いにおいの尿になることもあり注意が必要、とは言われていますが、実際に尿のにおいで異変に気づくことは稀だと思います。
編集部
多尿以外に腎臓病を疑うサインはありますか?
本田先生
むくみ、疲れやすさ、食欲不振、息切れ、かゆみなどが代表的ですが、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期症状が乏しいため、尿の変化が最初のサインになることが多いです。尿検査をはじめとする、定期的な健康診断などが早期発見の鍵になります。
腎臓を守るための生活習慣とは?

編集部
腎臓を守るために日常生活でどのようなことに気をつけたらよいですか?
本田先生
まずは適切な食生活・生活習慣が基本です。具体的には塩分の摂取を控えること、十分な睡眠をとること、適度な水分補給を心がけること、禁煙することなどです。加工食品や外食には塩分が多いため注意しましょう。また、日常生活の中で血圧を意識して測定することも、腎臓の異常を早期発見するうえで非常に重要です。
編集部
ほかには何かありますか?
本田先生
そのほかには便秘を放置しないこと。便秘になると体内の老廃物や毒素が腸内に長くとどまり、腎臓に負担をかける原因になります。また、鎮痛薬のなかには腎臓に負担をかける成分を含むものもあるため、自己判断で長期間使用するのは避け、必要に応じて医師に相談して使ってください。あとは、健康診断で腎機能を定期的にチェックすることも大切です。早期発見・早期対応が進行を防ぐ鍵になります。
編集部
腎臓病を早期に見つけるにはどうすればよいですか?
本田先生
もっとも簡単なのは、定期的な尿検査です。尿たんぱくや尿潜血を測ることで、早期の腎障害を発見できます。市販の検査紙を使ったセルフチェックも有効です。健診で「要精密検査」となったり、市販の検査紙で異常があったりした場合は、必ず医療機関を受診してください。健康診断などの血液検査では、「eGFR」の値に注目するとよいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
本田先生
日本では約2000万人、5人に1人が慢性腎臓病を抱えています。「自分は大丈夫」と思わず、腎臓内科で早めにチェックを受けることが大切です。繰り返しになりますが、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期症状が乏しく、症状が出た時点でかなり進行していることが多いため、検診や人間ドックでの早期発見こそが何よりの予防になります。早ければ早いほど、治療の選択肢も広がりますので、先延ばしせず受診することが大事です。
編集部まとめ
多尿や尿の異常は、腎臓のSOSサインかもしれません。尿の変化を見逃さず、少しでも不安を感じたら早めに受診を。腎臓は一度悪くなると元に戻りにくい臓器だからこそ、日々の観察と定期的な検査が何より大切です。
医院情報

| 所在地 | 埼玉県川口市芝高木1丁目7-8 |
| 診療科目 | リハビリテーション科、内科、外科、胃腸科 |
| 診療時間 | 月火水金 9:00~12:30 / 15:00~18:30 土 9:00~12:30 |
| 休診日 | 木・日・祝 |




