健康診断の「腎臓の数値の見方」をご存じですか? 結果から考えられる疾患も医師が解説

健診で示される腎臓の数値は、体のSOSを早期に知る手がかりです。見落とさず理解することが、腎機能低下の予防につながります。そこで、つつじヶ丘駅前内科クリニックの小出先生に詳しく教えてもらいました。

監修医師:
小出 高彰(つつじヶ丘駅前内科クリニック)
健康診断で指摘される腎臓の数値にはどのようなものがあるのか?

編集部
腎臓の状態を見るときに重要な数値は何ですか?
小出先生
健診では「血清クレアチニン(Cr)値」「eGFR(推算糸球体濾過量)」「血中尿素窒素(BUN)」「尿蛋白(たんぱく)」が主に確認されます。これらは腎臓のろ過機能や老廃物処理の状態を示す数値であり、いずれかに異常があると腎機能の低下を疑うきっかけになります。
編集部
血清クレアチニンとはどのような数値ですか?
小出先生
クレアチニンは筋肉の代謝で生じる老廃物で、腎臓から尿として排泄されます。血液中の値が高いと、腎臓のろ過機能が落ちている可能性があります。
編集部
eGFRは何を表していますか?
小出先生
eGFRとは、腎臓がどれくらい血液をろ過できるかを推定する指標のこと。簡単にいえば、「腎臓の機能が万全なときを100%とすると、今は何%機能しているのか?」を示すものです。60未満は慢性腎臓病の疑いがあるとされ、早期発見の鍵になります。
編集部
血中尿素窒素(BUN)とはなんですか?
小出先生
BUNとは血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のこと。直接腎臓の機能を示す数値ではありませんが、血清クレアチニンとどれくらい乖離しているかによって腎臓の機能を評価することができます。
編集部
尿蛋白はどうして大切なのですか?
小出先生
尿にたんぱく質が混ざるのは、腎臓のフィルター機能が壊れ始めているサインです。健診で「尿蛋白+」と出た場合は、一過性か慢性かを区別するため、再検査や精密検査が推奨されます。
それぞれの検査数値が示す異常と、病気の可能性

編集部
血清クレアチニンが高いとどんな病気が考えられますか?
小出先生
クレアチニンの数値が高いときは、腎臓のろ過機能低下を示します。この場合には、慢性腎臓病や薬剤性腎障害などが考えられます。急性の腎障害でも急上昇することがあり、早期対応が必要です。
編集部
eGFRが低下するとどのような病気が疑われますか?
小出先生
eGFRが低下すると腎機能が低下していることが示唆されます。60未満に低下すると軽度~中等度の腎機能低下とされます。また、15を切ると人工透析をしなければならない可能性も生じてきます。
編集部
BUNが高いと何を意味しますか?
小出先生
BUN(血中尿素窒素)が高いと、老廃物がうまく排泄できていない可能性があります。腎不全のほか、脱水や消化管出血、たんぱく質の過剰摂取などでも上昇するため、総合的な判断が必要です。
編集部
尿蛋白が出るとどんな病気が考えられますか?
小出先生
腎臓に何らかの障害が生じている可能性があり、その原因としては糖尿病や高血圧に伴う腎機能障害が多くみられます。一時的に激しい運動や発熱で出る場合もありますが、繰り返しタンパクが確認される場合は腎臓の病気が隠れていることがあるため、精密検査が必要です。
腎臓の異常を放置することにはどんなリスクがあるのか?

編集部
腎臓の異常をそのままにしておくと、どんなリスクがありますか?
小出先生
初期の腎臓病は自覚症状が乏しいため軽視されがちですが、放置すると慢性腎臓病へ進行することがあります。やがて腎機能が大きく低下し、体に老廃物や余分な水分が蓄積。透析治療や腎移植が必要になるケースもあり、生活の質が大きく損なわれます。
編集部
腎臓以外への影響もあるのですか?
小出先生
はい。腎臓の異常は心血管疾患のリスクを高めます。腎機能が低下すると高血圧や動脈硬化が進み、心不全や心筋梗塞、脳卒中の発症率が上昇します。そのため、腎臓病は「心血管病の危険因子」としても重要視されています。
編集部
放置すると具体的にどんな症状が表れますか?
小出先生
ますます腎機能が低下してむくみや息切れ、倦怠感、食欲不振などが強まり、日常生活に支障をきたします。進行すれば食事制限や水分制限が必要になり、仕事や家庭生活にも大きな影響を及ぼします。
編集部
最悪の場合、どのような事態になりますか?
小出先生
腎機能が極端に低下すると腎不全に至り、透析や腎移植が不可欠になります。さらに放置すれば体内に老廃物が蓄積し、命に関わる状態に陥ります。腎臓の異常を早く見つけ、適切に対処することは命を守るために不可欠。健康診断で腎機能の異常を指摘されたら、放置せずに必ず医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小出先生
腎臓の機能は少しずつ低下しても自覚症状がほとんどありません。だからこそ、健診などで数値にわずかな異常が見つかった場合も軽視せず、早めに医療機関を受診し再検査をおこなうことが大切です。放置すると、慢性腎臓病が進行し、取り返しのつかない状態になることもあります。異常が見つかったら、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
編集部まとめ
腎臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、異常があっても症状が出にくいのが特徴です。健診結果を見て「少し高いだけ」と放置せず、医療機関への相談を早めにおこないましょう。早期発見・早期対応が、透析など深刻な事態を防ぐ最大のポイントになります。
医院情報

| 所在地 | 東京都調布市西つつじケ丘4-6-2 ル・ヴィザージュ109 |
| 診療科目 | 内科、腎臓内科 |
| 診療時間 | 午前: 月火木金土 9:00~12:30 午後: 月火木金 14:30~18:00 |
| 休診日 | 水・日・祝 |




