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「糖尿病」の人が『大腸がん検診』を“受けるべき理由”をご存じですか?【医師解説】

 公開日:2026/01/29
「糖尿病」の人が『大腸がん検診』を“受けるべき理由”をご存じですか?【医師解説】

糖尿病は、血糖が高い状態が続くことで全身にさまざまな合併症を引き起こす病気ですが、なかでも近年注目されているのが「がん」との関係なのだそうです。そこで、糖尿病と大腸がん検診の関係性について、佐々木先生(ささき内科クリニック)に解説してもらいました。

※2025年9月取材。

佐々木 康裕

監修医師
佐々木 康裕(ささき内科クリニック)

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琉球大学医学部卒業。その後、東京都保健医療公社豊島病院(現・東京都立豊島病院)初期研修や東京都医療保健協会練馬総合病院内科で経験を積み、2025年4月、練馬区土支田に「ささき内科クリニック」を開院、院長となる。日本内科学会認定 総合内科専門医、日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医。

糖尿病の基礎知識を医師が徹底解説!

糖尿病の基礎知識を医師が徹底解説!

編集部

糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンが十分に作用せず、血糖が慢性的に高くなる病気です。高血糖が続くことで血管が傷つき、全身にさまざまな障害をもたらす点が特徴です。初期には症状が乏しく、気づかないうちに進行することが多くあります。

編集部

糖尿病には種類があるのですか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

代表的なのは1型と2型です。1型は免疫異常によってインスリンがほとんど出なくなる病気で、注射で補う治療が不可欠です。2型は日本人に多く、遺伝要因に加えて食生活や運動不足など生活習慣が関与します。糖尿病患者さんの9割以上はこの2型にあたります。

編集部

糖尿病になると、どのような症状が出るのでしょうか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

初期はほとんど症状がありません。進行するとトイレの回数が増える、むくみや体重減少が見られることがあります。糖尿病そのものの症状よりも、気づかないうちに血管障害が進み、ある日突然合併症として症状が現れるのが糖尿病の怖いところです。

編集部

糖尿病の治療はどのようにおこなわれるのですか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

治療の基本は食事療法、運動療法、薬物療法です。生活習慣を整えることが大前提であり、その上で必要に応じて内服薬や注射薬を使います。最近は心臓や腎臓を守る新しい薬も登場し、全身の健康を守ることを目的に治療が進化しています。

糖尿病の本当の怖さ… さまざまな合併症

糖尿病の本当の怖さ… さまざまな合併症

編集部

薬を使わずに、糖尿病が治ることはあるのでしょうか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

早期に発見し、生活習慣を整えるなどの対応を取れば、血糖値が正常化して薬が不要になる人もいます。しかし、基本的には一生付き合う病気ですし、放置すれば合併症が進んでしまうため、医師の指導を受けながら継続的に治療をおこなうことが大切です。

編集部

糖尿病の合併症について教えてください。

佐々木 康裕先生佐々木先生

代表的なのは糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病腎症の三大合併症です。手足のしびれや視力低下、腎不全など、進行すると生活に大きな影響を及ぼします。いずれも初期は症状が乏しいため、定期的な検査が欠かせません。

編集部

三大合併症以外にも注意が必要な合併症はありますか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

動脈硬化が進むことで、心筋梗塞や脳梗塞、下肢の壊疽(えそ)などを引き起こしやすくなります。これらは糖尿病に伴いやすい合併症です。そのほか、感染症にかかりやすかったり、歯周病や認知症の発症リスクが上昇したりすることも知られています。糖尿病が全身にさまざまな影響を及ぼす病気であることを理解してもらうことが大切です。

糖尿病とがんのリスク 検診の重要性についても教えて

糖尿病とがんのリスク 検診の重要性についても教えて

編集部

糖尿病は「がん」にも関係があると聞きました。

佐々木 康裕先生佐々木先生

はい。糖尿病患者は、がんの発症リスクが高いことが多くの研究で示されています。とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がんなどの消化器系のがんが増える傾向があります。日本人糖尿病患者の死因の第1位ががんであることからも、両者の関係は無視できません。

編集部

なぜ糖尿病でがんが増えるのですか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

はっきりした原因はわかっていませんが、高血糖やインスリン抵抗性が細胞の増殖を促すこと、慢性的な炎症が関与することなどが考えられています。生活習慣の影響も重なり、糖尿病の人はがんになりやすいとされています。

編集部

糖尿病の人は、なぜ大腸がん検診を受けるべきなのでしょうか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

糖尿病そのものが大腸がんのリスクを高めます。大腸がんは早期であれば内視鏡で治療できることもありますが、進行すると開腹手術をしなければならなくなります。さらには、状態によってはすぐに手術ができないこともあるのです。糖尿病の人は症状がなくても検診を受けて早期に発見することがとても重要です。

編集部

「状態によってはすぐに手術ができない」というのはどういうことですか?

佐々木 康裕先生佐々木先生

がんが見つかっても血糖値が高いままでは、手術に先立って糖尿病治療を優先せざるを得ないことがあるのです。そのため、すぐに切除するべきがんが見つかっても、手術が遅れてしまうリスクがあります。だからこそ、普段から血糖を安定させておくことが大切なのです。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐々木 康裕先生佐々木先生

大腸がんは日本でがん死亡の上位を占める身近な病気です。特に40代以降は発症リスクが高まり、早期発見が重要になります。糖尿病のある人はもちろん、そうでない人も、40歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

糖尿病も大腸がんも、共通して大切なのは「早期発見と早期治療」です。血糖値が高いと指摘されたことのある人は、放置せず糖尿病内科を受診し、まずご自身の体の状態を確認してみてください。また、すでに糖尿病と診断されている人は、大腸内視鏡検査を一度検討されることをおすすめします。日常生活に支障がなくても、検査や受診を積極的に取り入れることが、ご自身の健康を守る大きな一歩につながります。

医院情報

ささき内科クリニック

所在地 東京都練馬区土支田2-20-8 PRIMA CLASSE 201
診療科目 内科、消化器内視鏡、糖尿病内科
診療時間 月火水金土 9:00~12:00 / 14:15~18:00
※午後の最終受付は17:30までとなります。
休診日 木・日・祝

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