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顔の半分が動かしづらい… 「顔面神経麻痺」の原因とは? 症状・後遺症・治療法も医師が解説!

 更新日:2025/10/24

突然、顔の片側が動かしにくくなる「顔面神経麻痺」。まばたきができない、口元がゆがむなどの症状が表れて、日常生活に大きな影響を与えることもあります。そこで、顔面神経麻痺の原因や症状、後遺症の可能性、そして早期治療の重要性について、「中尾形成外科」の中尾先生に解説していただきました。

中尾 崇

監修医師
中尾 崇(中尾形成外科)

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大阪医科薬科大学医学部卒業。その後、日本大学医学部附属板橋病院、鹿児島市立病院、東京女子医科大学附属足立医療センターなどで形成外科医として経験を積む。2024年、東京都港区に「中尾形成外科」を開院。日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会レーザー分野指導医/再建・マイクロサージャリー分野指導医。日本美容外科学会(JSAPS/JSAS)、日本頭蓋顎顔面外科学会、日本鼻科学会の各会員。

顔面神経麻痺とは?

顔面神経麻痺とは?

編集部編集部

まず、顔面神経麻痺について教えてください。

中尾 先生中尾先生

顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)が障害されることで、表情がうまく作れなくなる状態です。片側のまぶたが閉じられない」「口角が下がる」「笑えない」などの症状が典型的です。また、見た目の変化だけでなく、「食べ物や飲み物がこぼれる」「目が乾燥する」など、生活に支障が出ることもあります。

編集部編集部

顔の片側だけに起こるのですか?

中尾 先生中尾先生

はい、顔の片側に生じます。両側に症状が出ることは稀で、多くの場合は全身性の疾患が背景にあります。左右どちらかの顔の筋肉が思うように動かなくなることで、笑顔や会話に違和感が出て、他人に気づかれるケースも多くみられます。

編集部編集部

顔面神経麻痺には種類があるのですか?

中尾 先生中尾先生

大きく「末梢性」と「中枢性」に分けられます。末梢性は神経自体の障害で、代表的なのが「ベル麻痺」や「ラムゼイ・ハント症候群」です。一方、中枢性は脳出血脳腫瘍脳梗塞によって脳の神経中枢が障害されるタイプです。原因で治療法も大きく異なるため、診断が重要です。

編集部編集部

早期に医療機関を受診した方がいいのでしょうか?

中尾 先生中尾先生

顔面神経麻痺の背景にはウイルス感染や脳疾患など、放置できない病気が隠れている可能性もあります。発症してから治療開始までの時間が予後に直結するため、「顔が動かしにくい」と感じたら、すぐに耳鼻咽喉科や脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。

顔面神経麻痺の原因・症状

顔面神経麻痺の原因・症状

編集部編集部

顔面神経麻痺の原因について教えてください。

中尾 先生中尾先生

代表的なのはベル麻痺で、顔面神経がヘルペスウイルスに感染し、それがストレスや疲労で活性することが原因と考えられます。そのほかに、ラムゼイ・ハント症候群もあります。ラムゼイ・ハント症候群は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性で起こり、耳の痛みや水ぶくれを伴うのが特徴です。また、外傷、脳梗塞、脳腫瘍などが原因になることもあります。

編集部編集部

後遺症はありますか?

中尾 先生中尾先生

発症から治療までが遅れると、回復が不十分で後遺症が残ることもあります。意識せずに顔がピクピクする「不随意運動」、口を動かすと目も閉じてしまう「共同運動」などはその典型です。適切な治療を早期におこなえば、多くは数カ月で改善しますが、完全に回復しない例もあります。

編集部編集部

顔面神経麻痺が起こりやすい人の特徴はありますか?

中尾 先生中尾先生

誰にでも起こり得ますが、特に疲労やストレスで免疫が落ちていると発症しやすいとされています。また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を持つ人も発症リスクが高いとされていますし、加齢に伴ってリスクが高まる人もいます。

顔面神経麻痺の治療法や注意点

顔面神経麻痺の治療法や注意点

編集部編集部

顔面神経麻痺の治療は、どのようにおこなわれるのですか?

中尾 先生中尾先生

基本はステロイド薬で炎症を抑えながら、抗ウイルス薬も併用します。症状の程度によっては入院で点滴治療をおこないます。また、リハビリテーションとして顔の筋肉を動かす訓練も有効です。

編集部編集部

手術が必要になるケースもあるのですか?

中尾 先生中尾先生

重症で神経の圧迫や損傷が疑われる場合には、神経減圧術などの外科手術が検討されます。ただし、これは一部のケースであり、ほとんどは薬物療法とリハビリテーションで改善が期待できます。

編集部編集部

手術をすることはほとんどないのですね。

中尾 先生中尾先生

多くの場合、手術は不要とされています。ただし、神経がむくんでいる場合などは、脳外科や耳鼻科など専門性の高い医療機関で手術をおこなうこともあります。

編集部編集部

発症後、日常生活で注意すべきことは?

中尾 先生中尾先生

目が閉じにくい場合は角膜が乾燥して傷つきやすいため、点眼薬や眼帯で保護することが大切です。また、バランスのよい食事や十分な休養で体の回復力を高めることも重要です。

編集部編集部

顔の筋肉がきちんと動くよう、マッサージをするのはどうでしょうか?

中尾 先生中尾先生

リハビリテーションの一部として、鏡を見てマッサージをすることはありますが、必ず医師などの指示に従っておこなうことが大切です。自己流のマッサージはかえって症状を悪化させることがあるため、できる限り避けましょう。

編集部編集部

早期受診の目安はありますか?

中尾 先生中尾先生

顔が動かしにくい、目や口が閉じにくいと気づいた時点で、すぐに医療機関を受診するのがベストです。発症から72時間以内に治療を始めるかどうかで、予後が大きく変わります。脳疾患が原因となっている可能性もあるため、少しでも違和感を覚えたら「様子を見る」ではなく、専門医に相談しましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中尾 先生中尾先生

顔面神経麻痺は、発症から治療までのスピードが回復の鍵を握ります。症状に気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診してください。適切な治療によって多くの人は改善しますが、残念ながら一部では後遺症があることもあります。その場合、形成外科での外科的治療が選択肢となります。正確な診断や最適な治療を受けるためにも、経験豊富な専門医の診察を受けることを強くおすすめします。

編集部まとめ

顔面神経麻痺は生活に支障をきたすケースもあるので、早期対応が重要とのことでした。年間、人口10万人あたり50人ほど発症し、2割以上に後遺症があるという報告もあります。違和感を覚えたら、迷わず受診するよう心がけましょう。

医院情報

中尾形成外科

中尾形成外科
所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 5-12-1 虎ノ門ワイコービル 1階
アクセス 東京メトロ「神谷町駅」 徒歩1分
診療科目 形成外科、美容外科、美容皮膚科

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