「喘息」が悪化するサイン・シチュエーションはご存じですか? 受診の目安も医師が解説!

「ただの風邪」と思っていたら、咳や息苦しさがどんどん悪化した経験はありませんか? それは「喘息」のサインかもしれません。見逃してはいけない悪化の兆しや、病院に行くべきタイミングを「ひらた循環器クリニック」の平田先生に解説していただきました。

監修医師:
平田 彩(ひらた循環器クリニック)
喘息が悪化するサイン

編集部
喘息が悪化しているとき、どのような症状がサインになりますか?
平田先生
「普段より咳や痰が増える」「夜間や早朝に咳き込む」「息苦しさや胸の圧迫感が強くなる」などは、喘息が悪化しているサインと言えるでしょう。また、「ゼーゼー・ヒューヒュー」という呼吸音が目立つ場合も要注意です。
編集部
夜間や早朝の咳き込みも危険なのですね。
平田先生
夜間や早朝に咳や呼吸困難で目が覚めるのは、喘息悪化の典型的なサインです。睡眠の質も下がるため、放置せずに薬の調整や受診が必要になります。
編集部
日常生活で息切れが出るのも悪化のサインですか?
平田先生
はい。階段や歩行など軽い動作でも息苦しさを感じるようになったら、気道が狭くなっている可能性があります。“普段できていたこと”がつらくなるのは、悪化を示す大事なサインです。悪化が気になる場合には、「ピークフローメーター」の使用をおすすめします。
編集部
ピークフローメーターとは?
平田先生
空気の通り道である気道の狭さを簡単に測定できる医療機器のことです。ピークフローメーターにより、喘息の重症度を把握して、大きな発作を予防する効果が期待できます。息を吐く強さを測定して、普段の値から20%以上低下した場合は悪化のサインとなり、早めの受診や治療調整が必要です。
喘息が悪化するシチュエーション

編集部
季節や環境で喘息が悪化することはありますか?
平田先生
花粉やダニ、寒冷刺激、気温差などで悪化しやすくなります。特に季節の変わり目は、注意が必要です。空気の乾燥も発作を誘発する要因になります。そのほかに、気圧の変化によって喘息が悪化することもあります。そのため、台風が来るときや雨が降る前などに喘息の発作がひどくなる人もいらっしゃいます。
編集部
風邪を引くと喘息が悪化するのはなぜですか?
平田先生
通常なら数日で治まる咳も、喘息の人は気道に慢性的な炎症があるため長引きやすく、発作に発展することがあります。また、喘息の人は気道の過敏性が高まっています。そのため、風邪自体は治っても咳だけが残り、冷たい空気やちょっとした刺激でも咳が出やすくなります。
編集部
ストレスや運動も悪化の原因になりますか?
平田先生
強いストレスや過度な運動も発作の引き金になります。適度な運動は予防に役立ちますが、冷たい空気の中での運動は悪化しやすいため注意が必要です。
編集部
薬を自己判断でやめると悪化しますか?
平田先生
症状が落ち着いても薬を勝手に中止すると、炎症が再び強まり悪化することもあります。必ず医師の指示に従って、治療を継続しましょう。
喘息の治療法や受診の目安

編集部
喘息の受診の目安について教えてください。
平田先生
「咳や息苦しさが数日以上続く」「夜間に目が覚める」「吸入薬を使っても改善しない」といった場合は、医療機関への受診が必要です。重症化を防ぐためにも、早めの対応が大切です。また、普段からピークフローメーターの数値を記録し、普段から20%以上数値が下がった場合にも受診しましょう。
編集部
救急外来を受診すべき状況はありますか?
平田先生
「会話が途切れるほど息苦しい」「胸の苦しさが強い」「顔色が悪い」などは危険なサインです。これらの場合は、救急外来をすぐに受診してください。放置すると命に関わることもあります。
編集部
喘息の治療は、どのようにおこなうのでしょうか?
平田先生
吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を基本としつつ、症状に合わせて薬の量や種類を調整し、長期的に炎症をコントロールすることが治療の柱となります。また、症状に応じて抗アレルギー薬や生物学的製剤を追加したり、発作時にはステロイドの内服、点滴の治療を追加したりすることもあります。
編集部
普段からできる喘息の予防法やセルフケアはありますか?
平田先生
「掃除を徹底してハウスダスト対策をする」「喫煙している場合には禁煙をする」「十分な睡眠をとる」「しっかり感染症を予防する」などが大切です。また、ピークフローメーターを使って毎日数値を記録すると、悪化の兆候を早く察知できます。あとは、定期的な通院も重要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
平田先生
喘息は一見落ち着いているように見えても、治療を中断すると症状が再び悪化し、重症化すると命に関わる危険もある病気です。症状がないときでも、治療を続けることが大切です。定期的に医療機関を受診して、体調が崩れたときには早めに相談してください。かかりつけ医と二人三脚で治療を継続することで、発作を抑えて安心して日常生活を送ることができます。しっかり治療を続け、喘息をコントロールしていきましょう。
編集部まとめ
喘息の治療では普段から症状を観察し、悪化の兆候をいち早く掴むことが肝心です。ピークフローメーターを上手に活用しながら、悪化の予防に努めていきましょう。しっかりと治療を受ければ普段どおりの日常生活を送ることができるので、喘息が気になる場合は医療機関に相談しましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒184-0004 東京都小金井市本町5丁目40-3 |
| アクセス | JR「武蔵小金井駅」 徒歩10分 |
| 診療科目 | 内科、循環器内科、呼吸器内科 |




