「本当は育児がしんどい…」本音を相談できる“オンライン診療”とは【医師監修】

育児は喜びも大きい一方で、孤独や疲労、思うように進まない毎日に悩むことも少なくありません。「育児がつらい」と思っても、周囲に言い出せず1人で抱え込んでしまう人も多いはずです。そこで今回は、竹田先生(ウィーミート永田町)に、育児中のつらさにどう向き合い、どのような支援が受けられるのか伺いました。

監修医師:
竹田 美香(ウィーミート永田町)
育児がつらい… 自分が頑張るしかないの?

編集部
育児がつらいと感じるのは、どんなときが多いですか?
竹田先生
夜泣きや授乳、家事との両立が続き、身体的にも精神的にも疲れがたまっているときに、「つらい」と感じやすいです。特に、パートナーや家族に頼れず、1人で頑張りすぎていると、孤独感や自己否定感が強くなることがあります。周囲に相談できず、1人で抱え込んでしまうと、育児そのものが負担になってしまうこともあります。
編集部
どのように解決していけばいいのでしょうか?
竹田先生
まずはパートナーに正直に相談してみましょう。当事者であるパートナーに伝えてみても解決が難しいなら、周囲に頼ってほしいです。家事代行やベビーシッター、自治体の育児支援サービスなどを活用することで、日々の負担を減らせます。「人に頼ってはいけない」と感じる人もいらっしゃると思いますが、サポートを受けることは、育児を続ける上でむしろ必要なことです。少しでも休める時間を作ることで、気持ちにも余裕が生まれます。
編集部
それでもつらさが続く場合、どうすればいいでしょうか?
竹田先生
自己判断で無理を続けず、専門家への相談を検討してください。話すことで気持ちの整理がついたり、少しだけ心が軽くなったりするかもしれませんし、専門家ならではの生活上の工夫を提案してもらえることもあります。早めの相談が大切です。
編集部
具体的に、どこに相談したらいいのでしょうか?
竹田先生
出産後は、医療機関や助産院で助産師や看護師、産婦人科医に相談することもできますが以後、赤ちゃんの健診などのような話せる機会は意外と少なく、「いま相談したい」と思ってもすぐには受診しづらいことがあります。そんなときには、精神科や心療内科に相談するのがおすすめです。ご自身でできるケアのアドバイスを受けられるだけでなく、必要と判断された場合には、カウンセリングや薬物療法などの適切な治療も受けることができます。
医療機関の受診そのものが負担、ストレス… どうしたらいい?

編集部
子どもを連れて受診と考えるだけでも疲れてしまいそうです。
竹田先生
お気持ちはよくわかります。そうした人には、当院でも導入している「オンライン診療」が有効です。自宅で相談できるため、移動や子どもの預け先を心配せずに受診できます。診療時間も柔軟に設定できる医療機関が増えており、育児中でも無理なく利用可能です。
編集部
オンライン診療とは、具体的にどのようなものですか?
竹田先生
ビデオ通話を通じて医師と直接やり取りする診療です。育児中の人は、子どもを連れて外出することが難しい場合も多いため、自宅にいながら安心して相談できる点が大きなメリットです。
編集部
オンライン診療で、治療も受けられるのですか?
竹田先生
はい、可能です。カウンセリングや行動面での具体的なアドバイス、軽度のうつ症状に対する薬物療法などを受けられます。また、オンライン診療中に症状の変化や相談内容に応じて、必要であれば対面診療や専門機関への紹介状を作成してもらえることもあります。
編集部
薬も処方してもらえるのですか?
竹田先生
医療機関にもよると思いますが、例えば当院の場合、医師が症状を確認したうえで必要なお薬を処方します。処方箋に基づいて薬局が調剤を行い、薬は薬局から直接ご自宅へ配送されます。また、「手伝いに来てくれている親に知られたくない」などの場合は、お近くの宅配便センター留めにしておくこともできます。
編集部
どうやったらオンライン診療を受けられますか?
竹田先生
オンライン診療に対応している医療機関を探し、そちらの公式サイトや専用アプリから予約することができます。産後の抑うつ傾向についての相談を得意としている医療機関だと安心ですね。診療予約の際に症状や希望の時間帯を入力し、予約が完了すると、当日ビデオ通話で診療が始まります。必要に応じて、オンライン上で問診票の記入や保険証の提出もおこないます。初めてでも簡単に利用できます。
オンライン診療の費用や注意点

編集部
オンライン診療の費用についても気になります。
竹田先生
診療には保険が適用されるので、1割負担、3割負担など、それぞれの負担割合に応じた料金がかかります。また、医療費のほかに、システム利用に要する費用などが保険外負担としてかかります。例えば当院の場合は、診察料・システム利用料込みで初回が5400円前後、2回目以降が2900円前後です。
編集部
オンライン診療の注意点はありますか?
竹田先生
通信環境の確保が必要です。また、プライバシーが確保されている個室での受診が必要なので、例えばカフェや自転車を運転しながら、といった形での受診はNGです。診察内容やご状態によってはオンラインだけでは十分に判断できない場合があるので、重度の症状がある場合などは、対面診療をしてもらうようにお伝えしています。
編集部
ほかに、オンライン診療について知っておいた方がいいことはありますか?
竹田先生
精神科を受診すると「それは病気ではありません」と言われてしまうのではないかと、不安に思う人もいます。しかし、オンライン診療は「生活の中でストレスを感じている」という理由だけでも受けて大丈夫です。「育児がつらい」「子どもが可愛いと思えない」といった相談で受診して、適応障害と診断される人もいます。「病気ではない」と否定される心配も不要ですし、薬を希望しない場合も可能な限り対応します。まずは困っているときに気軽に受診してほしいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
竹田先生
子育ては大きな幸せをもたらしてくれる一方で、孤独感や疲労、思うようにいかない日々に心が沈むこともあります。1人で抱え込んだり、そんな自分を責めたりする必要はありません。ぜひオンライン診療を活用してみてください。診療中に子どもが泣いていても構いません。専門の医師がじっくりと話を聞き、カウンセリングや薬による治療など適切なサポートを受けることが可能です。「自分だけが我慢すればいい」と無理をせず、安心して私たちを頼ってくださいね。
編集部まとめ
育児がつらいときには、1人で抱え込まずに精神科や心療内科、オンライン診療で相談するのがおすすめとのことでした。ご自身でできるケアのアドバイスを受けられるだけでなく、必要と判断された場合には、薬物療法などの適切な治療も受けることができます。「自分さえ我慢すれば」と頑張りすぎず、ぜひオンライン診療を活用してみてください。


