運動で膝を痛めた… 放置するリスクをご存じですか? 受診の目安・治療法も医師が解説!

角田先生

繰り返しのジャンプや着地、方向転換といった動作の積み重ねが、膝関節やその周囲の組織に負荷をかけ、それが痛みにつながります。また、競技特性や体の使い方も要因になり得ます。代表的なものに腱の炎症、半月板損傷、靭帯損傷などが挙げられます。

角田先生

はい。成長期は骨や腱が未成熟であるため、「オスグッド・シュラッター病」や「膝蓋腱炎（ジャンパー膝）」など、スポーツをする子ども特有の膝痛が起こりやすい傾向にあります。早めに対処すれば悪化を防げるので、我慢せず受診することが重要です。

角田先生

もちろんあります。特に、変形性膝関節症がある人や日常的に運動習慣がない人が急に運動を始めると、軟骨や筋肉に負担がかかって痛みを生じるケースがあります。そのため、年齢に応じた適切な運動負荷が大切です。

角田先生

「痛みが運動後に数日続く」「腫れや熱感がある」「曲げ伸ばしがしづらい」「歩行に支障が出る」といった症状は、医療機関を受診するサインです。特に安静にしても痛みが引かない場合は要注意です。

角田先生

一時的な対処としては有効ですが、根本的な原因が特定されないままだと症状が長引く可能性があります。痛みの原因によって対処法は異なるため、まずは専門医の診断を受けた上で対処するのが理想です。

角田先生

まずは問診と視診・触診で、関節の状態を確認します。X線で骨の異常を調べて、必要に応じて超音波エコー検査やMRIなどで靱帯や半月板の状態を評価します。スポーツの種類によって異なる膝への負担のかかり方も考慮し、必要と思われる検査をおこないます。

角田先生

以前は「とにかく安静」が中心でしたが、今は積極的な治療が可能です。保存療法だけでなく、「PRP療法」や「体外衝撃波治療」といった新しい選択肢もあり、早期復帰を目指すアスリートにとって大きな支えになっています。

角田先生

PRP療法は、自分の血液から血小板を多く含む血漿を抽出し、患部に注射する再生医療です。血小板に含まれる成長因子が組織修復を促し、痛みの軽減や治癒の促進が期待されます。保険外診療となりますが、多くの人がPRP療法の効果を実感しています。

角田先生

患部に強めの音波（衝撃波）を照射することで血流を促進し、組織の回復をサポートする治療法です。膝蓋腱炎など膝の疾患のほか、足底腱膜炎やテニス肘など、慢性的な痛みに悩む人に対して用いられています。副作用が少なく、外科的な介入を避けたい人にも向いています。

角田先生

これらの治療は保険適用外であり、自費診療となる点には注意が必要です。また、効果には個人差があるため、全ての人に確実な改善が得られるわけではありません。保険診療の範囲内でも、スポーツ障害に詳しい医師や理学療法士のもとで適切な治療やリハビリテーションを受けることで、単に安静にしていたり、一般的な整形外科での画一的なリハビリテーションを受けたりするよりも高い効果が期待できます。

角田先生

スポーツをしていると、休むのが怖くて痛みを我慢してしまうことがあるかもしれません。しかし、「痛みや違和感はあるけれどなんとか頑張れる」と無理をすると、逆に悪化を招く可能性があります。例えば、膝の靭帯が緩んだままで運動を続けると、周りの軟骨や半月板に過剰な負担がかかり、損傷のリスクが高まります。ダメージを大きくしないためにも、おかしいと感じたら早めの受診をおすすめします。見た目ではわからない問題も、MRIなどの検査で初めて明らかになることがあります。