「表情が変にならないか心配…」 額・眉間のしわにボトックス注射は問題ない?【医師解説】

額や眉間のしわに効果的とされるボトックス注射ですが、「表情が不自然になるのでは」と不安に思う人も多いのではないでしょうか? そこで自然な仕上がりにするためのポイントやリスクについて、ほんだ皮フ科クリニックの本田先生に、医師の視点から解説をお願いしました。

監修医師:
本田 治樹(ほんだ皮フ科クリニック)
額や眉間のしわに、なぜボトックスがよいのか?

編集部
額や眉間のしわには、なぜボトックス注射が向いているのですか?
本田 先生
額や眉間のしわは、無意識の表情ぐせや筋肉の収縮によってできる表情じわです。ボトックスは筋肉の動きを一時的に弱め、しわの原因を抑えるため、特にこの部位のしわに適しているのです。
編集部
ボトックスはどのように効くのですか?
本田 先生
ボトックスは、筋肉を動かす神経の信号をブロックします。そのため、額や眉間の筋肉の動きが和らいでしわが寄りにくくなり、表面の皮膚も滑らかに見えるようになります。
編集部
ほかのしわ治療と比べたメリットはなんですか?
本田 先生
同じく、表情じわに多くおこなわれる治療にヒアルロン酸注射がありますが、ヒアルロン酸はいってみれば溝を埋める治療。一方、ボトックスはしわの原因を抑えるというアプローチが特徴です。特に額や眉間の表情じわには効果的で、ダウンタイムも短く、即効性があるのも人気の理由です。多くの人が施術後2~3日で効果を実感しています。
編集部
表情じわに悩んでいる人にはおすすめですね。
本田 先生
はい、表情じわの治療というと中高年が対象というイメージがあるかもしれませんが、じつは20~30代でも「しわを予防したい」「表情ぐせが強い」という人にはおすすめです。表情じわは繰り返されることで定着してしまうため、ボトックスは溝が深く刻まれる前のケアとして有効です。また、「しわを抑えて表情を柔らかく見せたい」という人にもおすすめです。
「ボトックス注射をすると表情が変になる」と聞いたけれど本当?

編集部
ボトックスで顔の表情が不自然になると聞いたのですが、本当ですか?
本田 先生
たしかに注入量が多かったり、部位を誤っていたりした場合には、表情が固く見えたり、不自然に見えたりすることがあります。ただし、適切な部位に適量を打てば、通常は自然な表情を保ちながらしわを抑えることができます。
編集部
額にボトックスを打つと、眉やまぶたが下がることがあると聞きました。
本田 先生
はい、額の筋肉が動きにくくなると、眉がやや下がることがあります。特に、従来額の筋肉を使って眉毛を上げるくせのある人や、そもそもまぶたにたるみが強い人はこうした現象が見られやすいとされています。ただし、これは注入の位置や量の調整で予防可能であり、眉の動きや表情バランスを見ながら自然に仕上げることができます。
編集部
笑えなくなる、怒って見えるといった話も聞いたことがあります。
本田 先生
たとえば笑っているときに頬の動きだけが強調され、額がまったく動かないような状態になると、不自然な印象を与えてしまいます。そのため、ボトックスを注入する際には適切な用量の調整がとても重要です。とはいえ、効果の現れ方には個人差が大きいため、初回から多く打ちすぎないことが大切です。
編集部
「初回から多く打ちすぎない」とは?
本田 先生
まずは様子を見極めるために控えめの量を注入し、2週間ほど経過を観察します。そのうえで、しわが残っている部位や効果が不十分な部分に追加で注入する。このように小分けに治療をおこなう方法がおすすめです。
編集部
万が一、表情が気に入らなかった場合はどうなるのでしょうか?
本田 先生
ボトックスの効果は一時的であり、通常3〜6カ月とされています。そのため、もし表情に違和感があっても、時間とともに元に戻ります。また、次回以降に量や部位を調整すれば、より理想に近づけることは可能ですが、先述したように初回は慎重に、控えめに打つ方がやはり安心です。
ボトックス治療で後悔しないために注意すべきことは?

編集部
施術を受ける前に、何を確認すべきですか?
本田 先生
治療は自費診療となります。ただし、費用だけで医療機関を選ぶのではなく、きちんとアフターケアをしてくれるかも確認しましょう。特に施術後、効果が今ひとつの場合には追加でフォローアップをしてくれるか、といったことは重要です。
編集部
ほかに確認すべきことはありますか?
本田 先生
そもそもボトックス注射が本当に自分に適しているか、医師としっかり相談しましょう。しわの種類や皮膚の状態によっては、ほかの治療の方が向いている場合もあります。また、使用する薬剤が正規品であるか、医師の経験が十分かもしっかり確認しましょう。
編集部
施術を受けた日は何に気をつければよいですか?
本田 先生
当日は、激しい運動、長風呂、マッサージ、飲酒などを避けましょう。これらによってボトックスの効果が落ちることがあります。また、薬剤を定着させるために最低でも施術後4時間は横になったり、うつ伏せになったりしないようにしましょう。患部を強くこすったり、もんだりする行為も治療効果を損ねてしまうので気をつけましょう。
編集部
ボトックス注射は誰でも受けられますか? 受けてはいけない人は?
本田 先生
妊娠中や授乳中の女性、神経筋疾患のある人、ボツリヌストキシンにアレルギーがある人は基本的に施術できません。また、すでにほかのクリニックでボトックス注射やフィラー注射を受けている場合は、施術歴をしっかり伝えてもらうことが重要です。
編集部
後悔しないために、医師選びのポイントは?
本田 先生
「自然な表情を保つために、どこに、どれだけの量を注射すべきか」を見極めるには、顔の筋肉構造や表情バランスに対し、深い理解を持っていることが必要になります。そのために大切なのは、医師の技術や実績、症例写真、カウンセリングの丁寧さ、アフターフォローの有無をしっかりチェックすること。納得のいくクリニックを選ぶようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
本田 先生
しわ治療の効果は個人差が大きいため、初回は「控えめ」「慎重」が基本だと考えます。少量から開始し、打つ量と部位を細かく調整したうえで、約2週間後に必ず経過を確認し、しわが残る箇所や効果が不十分な部位にのみ追加する。この二段階のアプローチをおこなってくれるクリニックを選びましょう。初回から過度に注入すると、「不自然さ」の原因になります。また、ボトックスは治療を継続すると、目的の筋肉の過剰な動きが抑えられ、表情じわが刻まれにくい状態が“くせづく”ようになります。その結果、効果の持続期間は徐々に延び、日常の表情は自然なまま、しわのない滑らかな印象を長く保ちやすくなります。満足度はとても高い治療なので、もししわで悩んでいる人は、ぜひ医師にご相談ください。
編集部まとめ
ボトックスに興味はあっても、表情が不自然になるのではないかなど不安を感じている人も多いはず。その場合に大事なのは医師選び。アフターケアが充実している医療機関を選び、納得のいく治療を受けるようにしましょう。
医院情報

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| アクセス | 叡山電車『八幡前駅』より徒歩5分 叡山電車『宝ヶ池駅』より徒歩7分 地下鉄烏丸線『国際会館駅』より徒歩9分 |
| 診療科目 | 皮膚科、小児皮膚科、小児外科、形成外科、美容皮膚科 |



