皮膚科医が教える「シミの治し方」 肌質や生活習慣に合わせた治療法を解説!

シミ治療を検討している人はとても多いと思います。しかし、シミ治療と一口にいっても、様々な種類がありますし、肌質や生活習慣に合わせて治療法を選択しなければ、効果が半減してしまうこともあるそうです。一体、どのようにしてシミ治療を始めたらいいのか、「麗ビューティー皮フ科クリニック」の松村先生に解説していただきました。

監修医師:
松村 迪(麗ビューティー皮フ科クリニック)
シミ治療にはどのような方法がある?

編集部
自分に合った治療法を選ぶには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?
松村先生
まずはシミと一口にいっても、様々な種類があることに注意が必要です。シミには、日光に当たることが原因となって出現する老人性色素斑、ADMなどのあざ、ほほ骨や額、口の周りなどに出現する肝斑などの種類があり、それぞれ治療法が異なります。そのため、治療を始めるにあたってはカウンセリングを受け、どのタイプのシミが出現しているのか、正確に診断してもらう必要があるのです。
編集部
シミにも種類があるのですね。それぞれの治療法について詳しく教えてください。まずは老人性色素斑から。
松村先生
現在、日本でおこなわれているシミ治療には様々な方法がありますが、最も一般的なものはレーザー治療です。例えば、レーザー治療の一種であるピコレーザーは、シミ治療によく用いられる医療機器です。また、シミだけでなくあざの改善に効果が期待できたり、しわや毛穴など肌質改善の効果が得られたりする特徴があります。非常に短い時間でレーザーを照射し、シミなどの原因となるメラニン色素を破壊することで、シミやあざなどの改善を目指します。
編集部
レーザー治療以外にも、老人性色素斑の治療法はありますか?
松村先生
シミや肌の状態に応じて、Qスイッチレーザーやヤグレーザーなどの機器も使用します。そのほか、場合によってはIPL(光治療)もおこないます。IPLとは、インテンスパルスライトの略で、広い波長域を持つ光のことです。顔に照射するとメラニン色素や毛細血管など複数の色素にダメージを与えることができ、シミだけでなくそばかすや赤みなどにも対応することができるのです。
肌質や生活習慣に合わせたシミ治療の選び方

編集部
肝斑に対しては、どのような治療をおこなうのですか?
松村先生
一般的には、トラネキサム酸やビタミンCを内服したり、外用薬を使用したりします。また、これらの薬を使わなくても、生活習慣を改善したり、紫外線対策をおこなったりするだけで、改善することもあります。
編集部
あざはどのようにして治療するのですか?
松村先生
あざにはレーザー治療をおこないます。ADMや異所性蒙古斑などのあざには老人性色素斑と同じく、当院の場合はピコレーザーを使います。ただし、あざはタイプによって特徴が異なるので、それぞれのあざに応じてレーザー機器を使い分けることが必要です。
編集部
シミ治療で気をつけなければならないことはなんですか?
松村先生
とても多いのが、肝斑とシミが合併している状態です。この場合、強いレーザーを照射すると肝斑が悪化してしまうことがあるので、先に肝斑治療をおこなって状態を良くしてから、レーザーでシミ治療をおこなうことがあります。
編集部
肝斑とシミが合併している場合には、肝斑治療を先におこなうのですね。
松村先生
必ずしもそうとは限りません。というのも、シミ治療をおこなった後は炎症後色素沈着が起こることもあるからです。これはレーザー治療で肌にダメージが加わったことで生じた色素沈着です。じつは、この炎症後色素沈着と肝斑の治療法は同じなのです。そのため、まずはレーザーによるシミ治療をおこない、その後に肝斑と炎症後色素沈着の治療をおこなう場合もあります。
編集部
肌の状態に応じて、治療の順番を考える必要があるのですね。
松村先生
様々なシミが合併している場合には、状態にあわせて治療戦略を講じる必要があります。そのためにも、まずはカウンセリングでしっかり医師と相談し、入念に治療スケジュールを立てる必要があると考えています。
シミ治療をおこなう上での注意点

編集部
シミ治療をおこなう上では、生活習慣を考慮に入れることも大切なのでしょうか?
松村先生
そうですね。例えば、営業職で日中外を歩く機会が多いなど、紫外線を浴びる時間が長い人の場合には注意が必要です。日焼けが強い場合にはレーザーやIPLなどの治療をすることが難しい場合もあります。そのようなときには紫外線が少し落ち着く冬を待って、シミ治療をおこなうこともあります。
編集部
シミ治療の注意点を教えてください。
松村先生
誤解されがちなのですが、シミ治療は一度やったらおしまいではなく、その後も継続すべきものです。シミの大敵は紫外線なので、シミ治療を受けた後は、より一層、入念に紫外線対策をおこなってほしいと思います。最低3時間ごとに日焼け止めを塗るのが基本です。特に、外出の機会が多い人は気をつけてほしいと思います。
編集部
そのほか、注意点はありますか?
松村先生
レーザーでシミの治療をした後にも、必要に応じて内服薬による治療を継続する場合があります。例えば当院では、レーザー治療の1カ月後に検診をおこない、炎症が治っていれば内服薬を中断しますが、炎症が継続しているようであれば、その後も内服薬の治療を続けていただきます。炎症後色素沈着を早く改善する効果が期待できるため、「レーザー治療をおこなったからおしまい」「シミが取れたので治療終了」と考えるのではなく、美肌を維持するためにも治療を継続してほしいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
松村先生
現在はシミ治療の医療機器が非常に進化しているので、大きな効果が期待できるようになりました。ただし、治療を始めるにあたって気をつけていただきたいのが、肌診断機を備えた医療機関で治療を選択するということです。肌診断機とは、肌の状態を観察するための特殊な医療機器で、この機械で顔を撮影することで、肉眼では見えない隠れたシミやしわ、毛穴、血管の様子などを詳細に映し出すことができます。普通のカメラで撮影するのと違って、常に一定の条件で光を顔に照射することができるので、治療の経過を正しく評価することができますし、肌診断機によっては肌年齢やシミの個数を数値化できるものもあります。自由診療となるシミ治療は高額な費用がかかることもあります。期待通りの効果を得るためにも、肌診断機を備え、定性的かつ客観的に、正しく評価してくれる医療機関を選んでほしいと思います。
編集部まとめ
シミに悩んでいる人は男女とも多いはず。シミ治療には様々な方法がありますが、一番大事なのは「どの医療機関で治療を受けるか?」とのことでした。肌診断機を備えるなど、正しい評価をもとに適切な治療をおこなっているところを選びましょう。
医院情報
所在地 | 〒525-0037 滋賀県草津市西大路町4-32 クサツエストピアホテル1F |
アクセス | JR「草津駅」 徒歩3分 |
診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科 |