「日焼け」が原因で脱毛が断られるって本当? 脱毛で気をつけたほうがいいことは?

脱毛を始めたいと思っても、じつは、日焼けが原因で施術を断られることがあるのをご存知ですか? 安全に受けるための注意点を鎌倉かまりんヒフクリニックの福永先生に聞きしました。

監修医師:
福永 有希(鎌倉かまりんヒフクリニック)
日焼けが原因で脱毛が断られるのは本当?

編集部
日焼けしていると脱毛はできないって本当ですか?
福永先生
はい、本当です。レーザー脱毛や光脱毛をおこなっているクリニックやサロンでは、肌が日焼けしていると施術を断られる場合があります。日焼けで肌が炎症を起こしてメラニンが増えていると、毛のメラニンに合わせるはずの波長が肌のほうに反応してしまい、脱毛の効率が落ちたり、やけどのリスクが高まったりするからです。
編集部
軽い日焼けでもダメなのですか?
福永先生
軽度の日焼けであっても、肌の赤みやヒリつきがある状態では施術を見送られることがあります。また、日焼けした直後も要注意。このタイミングでは、まだ皮膚が黒く見えないかもしれませんが、内部ではメラニンが増えてしまっていることも多いのです。このように、見た目には問題がなくても、肌の内部がダメージを受けている可能性があるため、脱毛前の日焼けは十分気を付ける必要があります。
編集部
そうなると、夏に脱毛を始めるのは避けた方がいいのでしょうか?
福永先生
夏のレーザー・光脱毛がNGなわけではありません。しかし、日焼けのリスクが高まる季節なので一層、注意が必要になります。「日焼けをしているけれど、どうしても脱毛したい」という場合には波長帯を工夫するなどして対処することもありますが、肌トラブルや脱毛効率の観点からいえば、秋や冬から始める方がおすすめです。ただし脇の下のように日焼けをすることが少ない部位であれば夏でも脱毛することは可能です。
そもそも脱毛の仕組みとは?

編集部
脱毛は、どういう仕組みで毛がなくなるのですか?
福永先生
レーザー脱毛はメラニンに反応しやすい特定の波長を、光脱毛は広範囲の波長をもつフラッシュライト(IPL:intense pulsed light)を使用し、いずれも毛の黒い色素(メラニン)をターゲットとしています。毛のメラニンに反応する光を当てると、メラニンが光を吸収して熱に変わり、その熱で毛を作るおおもとの組織を破壊することで毛が生えにくくなる仕組みです。これにより、施術で反応したムダ毛は時間が経つと自然と抜け落ち、新しい毛は次第に生えにくくなっていきます。
編集部
脱毛の機械がメラニンをターゲットとするため、日焼けをしていると危険なのですね。
福永先生
はい、脱毛のレーザーや光は黒い色をしたメラニンという色素に反応します。ここで注意したいのが、日焼けした肌はメラニンの量が増えているということ。そのため本来は毛に集中するはずの熱が、毛の根本に届く前に肌に反応してしまい、やけどや炎症のリスクが高くなるのです。
編集部
敏感肌やアトピーでも脱毛できますか?
福永先生
肌の状態によります。敏感肌やアトピー肌でも、炎症や乾燥が落ち着いているときは施術可能な場合があります。ただし、炎症後に色素沈着を起こしている場合には、レーザーや光がそちらに反応してしまうリスクが高くなります。その場合には波長帯をコントロールしたり、照射する部位を細かく調整したりすることが必要です。医師の診察を受け、肌の状態をしっかり見極めてもらってから脱毛施術を受けるようにしましょう。
編集部
1回施術を受けただけで永久に生えてこなくなるのですか?
福永先生
残念ながら、1回では不十分です。毛には「成長期」「退行期」「休止期」という周期があり、脱毛の効果が出るのは成長期の毛だけ。1回の照射で反応するのは、一般に全体の2割程度と言われています。そのため毛のサイクルに合わせ、複数回の施術が必要となります。
編集部
何回くらいおこなえばよいのでしょうか?
福永先生
個人差はありますが、4〜8回程度の施術を繰り返すと満足のいく結果が得られるのではないかと思います。
脱毛前に気を付けること

編集部
脱毛前に気を付けることを教えてください。
福永先生
屋外では日焼け止めをこまめに塗り、帽子や長袖で肌を守ることが基本です。短時間の外出でもそれなりに紫外線を浴びているので、日常的にUVケアを意識しましょう。
編集部
ほかに気を付けることは?
福永先生
脱毛施術後の肌は乾燥しやすく、敏感な状態になります。肌を健康に保つために、毎日の保湿ケアを心がけましょう。保湿の際にはアルコールや香料などの少ない低刺激の保湿剤がおすすめです。また、施術前には毛を剃ってもらいますが、剃り残しがあると表面の毛にレーザーや光が反応してしまい、根本まで熱エネルギーを届けることが難しくなります。きれいに剃り上げた状態で来院することをおすすめします。
編集部
脱毛には気を付けることがたくさんあるのですね。
福永先生
それから、レーザー・光脱毛前には毛を抜かないようにしましょう。抜いてしまうと毛根がなくなり、レーザーや光が反応しなくなってしまいます。治療前には毛を抜かず、カミソリなどで剃るようにしてください。
編集部
施術後に気を付けることはありますか?
福永先生
施術後は肌がデリケートな状態なので保湿をしっかりし、炎症を予防するため清潔に保ってください。毛穴に細菌感染を起こす毛嚢炎などのリスクも高まりますので、生活リズムにも気をつけて免疫力を高めておきましょう。施術後の日焼けも要注意。日焼けをすると炎症が重なり、炎症性色素沈着のリスクが高まります。
編集部
そのほかに気を付けることは?
福永先生
熱いお風呂、激しい運動、摩擦など、皮膚に刺激となる行為は避けましょう。また、赤みやひりつきが出た場合は冷やすなどの対処をし、長引く場合は施術先に相談してください。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあれば。
福永先生
脱毛は夏でも可能ですが、肌への負担や日焼けのリスクを考えると、秋や冬に始めるのがおすすめです。脱毛は1回で完了するものではなく、継続的な施術が必要です。今年の夏に間に合わなくても、来年や再来年に向けてじっくり計画を立てていきましょう。
編集部まとめ
脱毛は効果を実感するまでには時間がかかるため、早めのスタートがカギになります。秋冬から始めれば、来年の夏には自己処理の負担が軽くなる可能性も。無理なく続けられるスケジュールを考えてみましょう。
医院情報
| 所在地 | 〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-15-11 |
| アクセス | JR湘南新宿ライン・江ノ島電鉄線 鎌倉駅 徒歩3分 |
| 診療科目 | 皮膚科 アレルギー科 小児皮膚科 形成外科 美容皮膚科 |



