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「脳卒中」のリスクが高い人とは? 「男性・60歳以上の運動不足」要注意

 公開日:2025/08/07

脳血管障害には色々な種類がありますが、中でも突然、脳の血管が詰まったり破れたりする「脳卒中」は、命にかかわるだけでなく、片麻痺や言語障害など、重い後遺症が残ることも多い恐ろしい疾患です。だからこそ、リスクを早めに把握し、予防に取り組むことが重要です。そこで、日本脳卒中学会専門医の東田先生(おおたかの森駅前クリニック)に、脳卒中の種類や治療法、リスクの見分け方とセルフチェック、予防のポイントについて教えてもらいました。

東田 哲博

監修医師
東田 哲博(おおたかの森駅前クリニック)

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横浜市立大学医学部卒業。その後、NTT東日本関東病院で臨床研修。大学院進学後に医学博士を取得し、在学中に米国医師免許も取得。2008年から渡米し、ウェイン州立大学およびテネシー大学の大学病院で診療に従事。2012年に帰国し、横浜市立大学関連施設や流山中央病院で経験を積み、2024年、おおたかの森駅前クリニックを開院、院長となる。医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術認定医。

脳血管障害とはどんな病気? 種類と特徴を解説

脳血管障害とはどんな病気? 種類と特徴を解説

編集部編集部

脳血管障害とは、どのような病気を指すのですか?

東田 哲博先生東田先生

文字通り、脳の血管が何らかの異常をきたすのが「脳血管障害」で、中でも、急に発症する脳血管障害がいわゆる「脳卒中」と呼ばれる病態です。脳卒中は、突然脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に障害が起きる病気の総称です。代表的な3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

編集部編集部

それぞれのタイプについて教えてください。

東田 哲博先生東田先生

1つ目は「脳梗塞」で、脳の血管が詰まり血流が途絶えて脳組織が死んでしまうものです。最も多く、高齢者や生活習慣病を抱える人に多くみられます。2つ目は「脳出血」で、脳内の血管が破れて出血し、周囲の脳組織を破壊します。3つ目が「くも膜下出血」で、脳の表面の血管が破れて脳の周りの「くも膜下腔」に出血するもので、突然の激しい頭痛が特徴です。

編集部編集部

発症した場合、どのような治療がおこなわれるのですか?

東田 哲博先生東田先生

脳梗塞では、血流を再開させるための血栓溶解薬の投与や血管内治療がおこなわれます。脳出血やくも膜下出血では、出血を止めるための薬物治療や、場合によっては血管内治療を含めた外科的処置が必要です。どのタイプでも、早期の対応が予後を大きく左右します。

編集部編集部

救急搬送が必要な目安はありますか?

東田 哲博先生東田先生

タイム・イズ・ブレイン」という言葉があります。これは、脳卒中の治療において、時間がいかに重要かを表すために使われるものです。発症からの時間が経過するほど、脳細胞の損傷範囲が広がり、後遺症が残る可能性が高まるため、基本的には、脳血管障害が疑われた場合は、すぐに救急搬送を検討しましょう。具体的には、顔がゆがんでいる、手足の動きに左右差がある、言葉が出ない・理解できないなどの症状が突然出たら、迷わず救急車を呼んでください。

脳血管障害のリスクと、予防のための対策とは?

脳血管障害のリスクと、予防のための対策とは?

編集部編集部

脳血管障害になる人は多いのですか?

東田 哲博先生東田先生

そうですね。脳卒中の発症数は以前より減少傾向にあるものの、依然として日本における死因の第4位に位置し、寝たきりの最大の原因でもあります。高齢者に多く見られる病気ですが、若い世代でも発症することがあるため、誰にとっても注意が必要です。

編集部編集部

どんな人が脳卒中のリスクが高いのでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満といった生活習慣病を抱える人、喫煙や過度の飲酒をおこなう人は、明らかにリスクが高まります。また、加齢ストレスの多い生活も影響します。それらを抱えている方は、特に注意が必要です。

編集部編集部

脳卒中のリスクを自分でチェックする方法はありますか?

東田 哲博先生東田先生

以下のようなリストがありますので、ご自身がいくつ当てはまるか試してみてください。
1.基礎疾患・健康状態

  • 高血圧と診断された、または上の血圧が140以上、下が90以上のことがある
  • 糖尿病と診断されている
  • 高コレステロール(脂質異常症)と診断されている
  • 不整脈(特に心房細動)がある
  • 心疾患(心筋梗塞、狭心症など)の既往がある
  • 睡眠時無呼吸症候群と診断されている

2.生活習慣

  • 喫煙している(または過去に喫煙歴がある)
  • 飲酒を毎日、または多量にしている(日本酒換算で2合以上/日)
  • 運動不足(週1回未満の運動)
  • 野菜や果物をあまり食べない
  • 塩分の多い食事を好む
  • 肥満(BMIが25以上)

3.家族歴・過去の病歴

  • 脳卒中の家族歴がある(両親、兄弟姉妹など)
  • 自分が過去に脳梗塞や一過性脳虚血発作を起こしたことがある
  • 認知症の家族歴がある

4.年齢・性別

  • 60歳以上である
  • 男性である(※女性にもリスクはありますが、男性の方がやや高い傾向があります)

結果判定

  • 該当0~2項目:現在のリスクは比較的低いですが、生活習慣を維持・改善しましょう。
  • 該当3~5項目:中等度のリスク。定期的な健康診断と生活習慣の見直しが推奨されます。
  • 該当6項目以上:高リスク。医療機関での評価・相談を強くおすすめします。

編集部編集部

健康診断などで特に注目すべき項目はどれですか?

東田 哲博先生東田先生

上の血圧が140以上ある場合、HbA1cが高値の場合、LDLコレステロールや中性脂肪が高い、尿たんぱくがあるなどの項目は、脳卒中リスクの目安になります。複数の異常値が重なる場合は、リスクがかなり高いと考えますね。

自分は脳血管障害のハイリスク? どうしたらよい?

自分は脳血管障害のハイリスク? どうしたらよい?

編集部編集部

先のセルフチェックで当てはまる項目が多かった場合、どうすればよいですか?

東田 哲博先生東田先生

まずは医療機関で血圧や血液の状態、動脈硬化の進行度などをしっかり評価してもらうことです。そのうえで、必要に応じて生活習慣の改善指導や薬の処方をおこない、リスクをコントロールしていきます。

編集部編集部

生活の中でできる脳血管障害の予防などはありますか?

東田 哲博先生東田先生

適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、節酒や禁煙といった基本的な生活習慣の見直しが、脳血管障害の予防につながります。これらはリスクの高い人に限らず、今はリスクが高くない人にとっても、将来の発症リスクを下げることにつながる重要な習慣です。無理のない範囲で、日常の中に取り入れていくことをおすすめします。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

東田 哲博先生東田先生

脳卒中は、ある日突然、私たちの日常を変えてしまう恐ろしい病気です。命を落とすこともありますし、命が助かっても後遺症により生活の質が大きく損なわれることもあります。しかし、脳卒中は予防可能な病気でもあります。生活習慣の見直しや、血圧や血液検査で異常が見つかった場合の治療が、脳卒中予防の第一歩。「予防こそ最も効果的な治療」と言っても過言ではありません。先ほどのチェックリストで中リスク以上だった人は、ご自身やご家族の健康を守るためにも、日本脳神経外科学会専門医や日本脳卒中学会専門医のいる医療機関に相談することをおすすめします。

編集部まとめ

脳卒中は日本人に多い深刻な疾患ですが、生活習慣を整えることで予防が可能です。自分のリスクを把握し、必要な対策を講じることが、健康寿命を延ばす大きな鍵となります。また、リスクが高い人、健康診断で心配な項目があった人などは、早めの受診を心がけましょう。

医院情報

おおたかの森駅前クリニック

おおたかの森駅前クリニック
所在地 〒270-01280 千葉県流山市おおたかの森西1-2-3 アゼリアテラス3階
アクセス つくばエクスプレス・東武野田線「流山おおたかの森」駅西口より徒歩1分
診療科目 内科、外科、脳神経外科

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