「骨粗しょう症」は生活習慣の見直しで改善できる? 予防の“コツ”を医師が解説!

加齢とともに骨が脆くなり、ちょっとした転倒でも骨折してしまう「骨粗しょう症」は、早期からの予防が重要とされています。そこで今回は、骨粗しょう症を防ぐために、日常生活でどんな工夫ができるのかについて、「下河辺整形外科クリニック」の下河辺先生に解説していただきました。

監修医師:
下河辺 仁(下河辺整形外科クリニック)
骨粗しょう症になりやすい人の特徴

編集部
そもそも骨粗しょう症とは、どのような病気なのでしょうか?
下河辺先生
骨の密度や質が低下し、骨がスカスカになって脆くなるのが骨粗しょう症です。転んだ拍子に骨折しやすくなるだけでなく、背骨が潰れて背中が曲がったり、慢性的な腰痛の原因になったりすることもあります。
編集部
骨粗しょう症になりやすい人の特徴はありますか?
下河辺先生
加齢とともに発症リスクは高まります。特に女性は、閉経後に骨量が急激に減少するため注意が必要です。また、痩せ型の人や過去に過激なダイエットをしていた人、運動習慣がない人、日光にあたる時間が少ない人などもリスクが高いとされています。
編集部
骨粗しょう症は自覚症状がないと聞きました。
下河辺先生
そのとおりです。初期は無症状で、骨折して初めて骨粗しょう症に気づくケースが多い傾向にあります。特に背骨や手首、大腿骨の骨折が多く、生活の質を大きく低下させてしまいます。
編集部
骨粗しょう症を早期発見するためには、どうしたらいいですか?
下河辺先生
50歳を過ぎたら、一度は「骨密度検査」を受けてください。特に女性や骨折の既往がある人は、できる限り早めに検査しましょう。
骨粗しょう症の予防法

編集部
骨粗しょう症の治療について教えてください。
下河辺先生
骨粗しょう症の治療法としては、「栄養療法」「運動療法」「薬物療法」の3つに大きく分けられ、それぞれに改善効果や進行抑制効果があります。ただ、それよりも「骨粗しょう症を発症しないために予防する」という考え方が重要です。
編集部
骨粗しょう症は予防できるのでしょうか?
下河辺先生
完全に防げるわけではありませんが、生活習慣を整えることで発症リスクを減らすことは十分に可能です。
編集部
具体的には、どのようなことに気をつければいいですか?
下河辺先生
栄養療法と運動療法は、骨粗しょう症の治療だけでなく予防にも有効と言われています。
編集部
食事で気をつけるべきことはありますか?
下河辺先生
骨の材料となるカルシウムはもちろん、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨の形成を促すビタミンKも意識して摂りたい栄養素です。牛乳、小魚、緑黄色野菜、大豆製品などをバランスよく摂りましょう。
骨粗しょう症予防の“コツ”

編集部
運動も骨粗しょう症予防に効果的なのですか?
下河辺先生
はい、効果的です。骨に適度な刺激を与えることで、骨密度を維持・向上させることができます。ウォーキングや軽いジョギング、階段の上り下り、スクワットなどの筋力トレーニングが有効です。「それも大変そう」と感じる人は、足踏みや踵落としでもいいと思います。運動することでバランス感覚も養われるため、転倒予防にもつながります。無理なく続けられる範囲で、毎日の習慣にすることが大切です。
編集部
ほかに意識した方がいいことはありますか?
下河辺先生
適度な日光浴も効果的です。先述したビタミンDは、日光を浴びることで体内でも合成されるからです。1日15〜30分程度、手や顔に日光を浴びることを習慣にするといいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
下河辺先生
「運動は負担」と考える人も多いと思いますが、私はよく患者さんに「週に3、4回は外歩きをしましょう」とお伝えしています。ぜひ、散歩程度でもいいので、外を歩く習慣をつけてください。その際、できれば3分くらいの速歩きを実施するとより効果的です。速歩きは、通常のウォーキングと比べて運動効果も高く、骨への刺激も促されます。生活習慣を見直して、骨粗しょう症の予防に努めましょう。
編集部まとめ
骨粗しょう症は高齢になってからの病気と思われがちですが、若い頃からの生活習慣が大きく影響するとのことでした。食事、運動、日光浴など、日々の小さな積み重ねが、将来の骨の健康につながります。骨密度検査とともに、ぜひ生活に取り入れてみてください。
医院情報

| 所在地 | 〒184-0003 東京都小金井市緑町2丁目1-30 |
| アクセス | JR「東小金井駅」 徒歩7分 |
| 診療科目 | 整形外科、リウマチ科、内科 |




