大腸カメラで「生検」が勧められる人は『大腸がん』確定? 生検はどんなときに必要?【医師解説】

大腸カメラ(内視鏡検査)は、大腸の疾患を早期に発見するために非常に有効な検査です。検査中に組織を採取することもできるそうですが、痛くはないのでしょうか? そこで、大腸カメラや生検の特徴や痛みなどについて、山田先生(横浜内科おなかクリニック)に解説してもらいました。

監修医師:
山田 晃弘(横浜内科おなかクリニック)
大腸内視鏡検査とは? 医師が解説

編集部
大腸カメラ(内視鏡検査)とはどんな検査ですか?
山田先生
大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入して、大腸内を直接観察する方法です。この検査により、大腸の最深部である盲腸から、大腸の表面や粘膜に異常がないかを詳しく確認することができます。
編集部
どんな人が大腸カメラを受けるとよいのですか?
山田先生
40歳以上で、これまでに大腸内視鏡を受けたことがない人は一度受けた方がよいと思います。近年は大腸疾患の若年化が進んでおり、20代や30代でも血便など気になる症状がある場合は、自己判断せずに医師へ相談しましょう。また、家族に大腸がんになった人がいる、ポリープができたことがあるというような人も、医師に相談してみるとよいかもしれません。
編集部
大腸カメラでわかる疾患にはどんなものがありますか?
山田先生
大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、直腸カルチノイド、虚血性腸炎、大腸憩室、大腸メラノーシスなどがあります。これらの疾患を早期に発見し、適切な治療をおこなうことで、病気の進行を防ぐことができます。
編集部
大腸がんもわかるのですか?
山田先生
はい。大腸カメラは大腸がんを早期に発見するために非常に有用です。また、大腸がんの前段階であるポリープを早期に発見し切除することができれば、大腸がんの発症を未然に防ぐことができるため、がんの早期発見だけでなく、予防にも役立つ検査です。
検査だけではなく、こんなこともできる内視鏡検査

編集部
検査なのに、切除もできるのですね。
山田先生
大腸カメラで異常が見つかった場合、その場で切除することができます。また、生検もおこなうことができ、適切な治療方針を早期に決定することができます。
編集部
どんなケースでもその場で切除できるのですか?
山田先生
すべてのケースというわけではありません。数が多かったり、大きさが非常に大きかったりして、医師が「後日改めて切除しましょう」と判断する場合もあります。
編集部
では、生検とはなんですか?
山田先生
生検は組織を採取し病理検査することで、良性・悪性や病気の診断の確定、病気の活動性の程度などを調べるための検査です。大腸カメラは、精度のよいカメラで大腸内部を直接確認することができるため、良性か悪性か、ほぼ明確に判断することができます。ただ、確定診断をつけるためには腫瘍の一部を採取して、実際に確認することが必要なこともあります。また、潰瘍性大腸炎などは炎症の程度を調べることによって、治療の方針を決定することができます。
編集部
生検はどんな場合におこなわれるのですか?
山田先生
生検は、大腸カメラ中に異常が見つかった場合におこなわれます。具体的には、腫瘍性病変の良性・悪性の判断や潰瘍性大腸炎の活動性の評価が必要なときに実施されます。小さなポリープなどは、生検をせずにそのまま切除することもあります。
大腸内視鏡検査は痛い? 生検はどう?

編集部
大腸カメラは痛いのですか?
山田先生
大腸カメラは通常、多少の不快感を覚えることがありますが、大きな痛みを感じることはほとんどありません。それでも不安があるという人には、鎮静剤を使って眠っている間に検査を受けることもできます。鎮静薬を使用すれば、痛みや不安をほとんど感じることなく検査を終えることができます。
編集部
では、生検は痛いのですか?
山田先生
生検についても、痛みを伴うことはほとんどありません。組織を採取する際に軽い不快感があることもありますが、痛みを感じることはほとんどありません。特に、鎮静剤を使用している場合、検査中に痛みを感じることはほとんどありません。
編集部
鎮静剤を使った場合、検査後に気を付けることはありますか?
山田先生
鎮静剤を使った場合、検査後に30分~1時間程度の休息が必要です。検査当日は運転や激しい労働、正確な判断を要求される作業などは避けてください。帰宅する際にも自動車や自転車は避けてもらい、徒歩や公共交通機関、もしくはどなたかにお迎えをお願いすることをおすすめしています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山田先生
大腸カメラは、大腸がんやポリープなどの大腸疾患を早期に発見することができます。「痛い」「苦しい」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそれほどでもなく、痛みが不安な人には鎮静薬を使用して、眠っている間に検査を受けることができます。参考までに、当院で実際に受けた人の多くは「思っていたよりも楽だった」「次回も大丈夫そう」とおっしゃっています。大腸がんの予防と早期発見のためにも、40歳を過ぎたら、定期的に検査を受けましょう。
編集部まとめ
大腸カメラ(内視鏡検査)は、大腸がんやポリープ、そのほかの病気を早期に発見するために非常に有効です。痛みが心配な人には、鎮静薬を使用して眠っている間に検査を受けることもできます。検査中に異常が見つかった場合、その場で切除や生検ができるため、その後の治療方針の決定に役立てることができます。40歳を過ぎたら定期的な検査を受け、大腸がんの予防と早期発見に努めましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒225-0002 横浜市青葉区美しが丘2-14-4 KMビル2階 |
| アクセス | 東急田園都市線「たまプラーザ駅」 徒歩2分 |
| 診療科目 | 内科、消化器科 |




