「ストレス」で『胃が痛くなる人・ならない人』の違いとは? 症状を放置する危険性を医師が解説

「ストレスで胃が痛くなった」という経験をした人は、意外と多いのではないでしょうか? 一体なぜ、ストレスを感じると胃が痛くなるのかご存じですか? また、胃痛を感じたとき、どのように対処したらいいのかも気になるところです。そこで、ストレスで胃が痛くなるメカニズムと対処法について、「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ」の鈴木先生に解説してもらいました。

監修医師:
鈴木 隆二(千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ)
ストレスで胃が痛くなる原因

編集部
なぜ、ストレスを感じると胃が痛くなるのでしょうか?
鈴木先生
ストレスを受けると自律神経の働きが乱れやすくなり、その結果、胃の運動が不安定になったり、胃酸が過剰に分泌されたりします。そのため、胃の粘膜が傷つきやすくなり、痛みや違和感が表れるのです。
編集部
検査で異常が見つからない場合もあるのですか?
鈴木先生
はい。特に胃に異常が見つからなくても、痛みや吐き気が起きることもあります。
編集部
ストレスによる胃の不調でみられる症状には、どのような特徴がありますか?
鈴木先生
胃の痛み以外に、胃もたれ、食欲不振、吐き気、膨満感などがみられることもあります。これらは一過性の場合もありますが、ストレスが続くと慢性的な症状に変わることもあります。
編集部
ストレスがあっても、胃が痛む人と痛まない人がいます。これは体質なのでしょうか?
鈴木先生
体質というより、ストレスの感じ方や対処の仕方が影響します。「真面目で責任感が強い人」や「感情を内にため込みやすい人」は、体に症状が出やすい傾向があるとされています。実際、ストレスによる胃の痛みを訴える人のなかには、仕事が忙しい人や家庭に悩みがある人など、様々な人がいらっしゃいます。
ストレスによる胃痛を放置するリスク

編集部
ストレス性の胃痛を放置するリスクはありますか?
鈴木先生
「慢性的な胃の炎症」「胃潰瘍」「機能性ディスペプシア」など、消化器疾患につながる可能性があります。これらはストレスによって胃の粘膜が守られにくくなり、傷つきやすい状態が続くことが原因となります。
編集部
胃の不調が続くと、全身にも悪影響がありますか?
鈴木先生
はい。痛みや食欲不振によって栄養が偏ってしまい、体力や免疫が落ちる可能性もあります。また、睡眠不足やイライラ、気分の落ち込みを招き、心身ともに悪循環に陥ることも少なくありません。
編集部
ストレスが原因の胃痛で、「がん」になることはあるのでしょうか?
鈴木先生
ストレスそのものが直接がんを引き起こすことはありませんが、胃の炎症が慢性的に続くと胃の粘膜に炎症や潰瘍が作られやすくなります。その結果、がんのリスクが高まることもあります。そのため、長引く症状は軽視せず、適切にケアするようにしましょう。
編集部
放置してはいけないサインがあれば教えてください。
鈴木先生
胃痛とともに黒い便、吐血、体重の急激な減少、夜間の強い痛みなどがみられる場合は注意が必要です。また、胃痛が繰り返し起きて日常生活に支障をきたす場合も、受診をおすすめします。
ストレスによる胃痛の対処法

編集部
ストレスによる胃の不調を防ぐには、どのような生活を心がけるべきでしょうか?
鈴木先生
規則正しい生活が基本です。具体的には「十分な睡眠をとる」「バランスのとれた食事」「過度なカフェインやアルコールを避ける」「ストレスをためこまない」といったことを心がけましょう。
編集部
胃痛がひどいときには、市販薬を使ってもいいのでしょうか?
鈴木先生
一時的な症状であれば市販薬を使って様子を見てもらってもいいですが、根本の原因であるストレスに向き合わなければ、症状は繰り返すことになります。症状が続いている場合は自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。
編集部
そうなると、心のケアも治療の一部になるのですね
鈴木先生
はい。ストレスが根本にある場合は、心のケアも大切です。心理カウンセリングやストレスマネジメント、場合によっては心療内科の受診も検討してほしいと思います。
編集部
じつは、メンタルの疾患が隠れていることもあるのでしょうか?
鈴木先生
一般的に、うつ病患者の約8割は、最初に心療内科や精神科ではなく、消化器内科を受診するとも言われています。うつ病と胃腸の不調は深く結びついており、胃腸の症状だけを治そうとしても、根本的な回復にはつながらないことが多いのです。
編集部
受診の目安について教えてください。
鈴木先生
「症状が1週間以上続く」「痛みが強くなる」「食欲が落ちてきた」などは受診のサインです。特に「いつもと違う」と感じたら、早めに医療機関を受診して原因を調べましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
鈴木先生
胃の不調を感じると「ストレスのせいかな」と考えたり、自己判断で市販薬に頼ったりしがちですが、早めに胃腸科を受診することが大切です。じつは、胃の不調は「ピロリ菌」の感染が原因だったということも少なくありません。内視鏡検査を受けることで、胃の状態を詳しく調べられるほか、ピロリ菌に感染しているかどうかも確認できます。感染が見つかれば、除菌治療によって症状の改善が期待できます。根本的な原因を突き止める第一歩として、医療機関での適切な診断と対応が重要です。
編集部まとめ
ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、胃酸が過剰に分泌されたり、胃の動きが悪くなったりします。その結果、胃の痛みや不快感が生じるとのことでした。ストレスだけでなく、ほかの原因も考えられるため、つらい症状が続くときは医療機関を受診しましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒277-0852 千葉県柏市旭町1丁目1−2 YK-7ビル 1F |
| アクセス | JR「柏」駅西口より徒歩1分 |
| 診療科目 | 胃腸科、消化器内科、内視鏡内科、肛門科 |




