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「関節リウマチ」の人におすすめの食事や運動をご存じですか? 日常生活のコツも医師が解説

 更新日:2025/08/26

「関節リウマチ」は、日常生活にさまざまな影響をおよぼす疾患ですが、近年では治療の進歩によって症状コントロールや進行予防が可能になりつつあるのだそうです。そこで、みやもと内科・リウマチ科クリニックの宮本俊明先生に、関節リウマチの治療、生活の工夫などについて話を聞きました。

宮本 俊明

監修医師
宮本 俊明(みやもと内科・リウマチ科クリニック)

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浜松医科大学医学部医学科卒業。その後、浜松医科大学医学部附属病院第3内科にて臨床研修を開始し、聖隷浜松病院 総合診療内科および膠原病・リウマチ内科にて経験を積む。2008年に同院膠原病・リウマチ内科部長、2020年にはリウマチセンター センター長を歴任。2024年5月、静岡県浜松市にみやもと内科・リウマチ科クリニックを開院、院長となる。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医。

関節リウマチってどんな病気? 医師が解説

関節リウマチってどんな病気? 医師が解説

編集部編集部

関節リウマチとは、どのような病気なのでしょうか?

宮本 俊明先生宮本先生

関節に炎症が起こった結果、痛みや腫れ、こわばりが生じる病気です。放置しておくと骨や軟骨の破壊により関節の変形や機能障害を来たすこともあります。本来ならば自分自身の身を守るべき免疫が異常を来たし、自分自身の関節を攻撃してしまうのです。中高年以降の女性に多いイメージがあるかもしれませんが、若い人でも発症することは少なくありません。

編集部編集部

どんな症状が出るのですか?

宮本 俊明先生宮本先生

代表的な初期症状は関節の痛み、腫れ、こわばりです。多くは左右対称に手足の小さな関節に症状が出ると言われていますが、大きな関節に現れたり、左右どちらかに強く症状が出たりする場合もあります。

編集部編集部

関節リウマチは治るのですか?

宮本 俊明先生宮本先生

現段階では、関節リウマチは完治する病気ではありません。しかし治療の進歩により、発症前の生活すべてを取り戻すことは十分可能です。そのためには早期診断と早期治療開始がポイントとなります。

関節リウマチの治療について教えて 生活でできる工夫もある?

関節リウマチの治療について教えて 生活でできる工夫もある?

編集部編集部

関節リウマチの治療法について教えてください。

宮本 俊明先生宮本先生

治療の基本は、免疫の異常を抑える抗リウマチ薬(DMARDs)による薬物療法です。メトトレキサートを代表とする内服薬のほか、生物学的製剤という注射、そして近年は注射製剤と同様な効果が期待できるJAK(ジャック)阻害薬といった内服薬も登場し、治療の選択肢は増えてきています。

編集部編集部

注射薬や強い内服薬もあるのですか?

宮本 俊明先生宮本先生

そうですね。私が医師となった約30年前はなかったこのような薬剤も、現在は特別なものではありません。多くの関節リウマチ患者さんが治療目標を達成するために必要とされる、いわば標準的といってよい治療薬といえます。近年は治療目標が極めて高いこともあり、使用されるケースが大幅に増えてきています。また前述の通り注射薬と同等の効果を持つ内服薬もあり、関節リウマチ治療は進歩しています。

編集部編集部

関節リウマチの人は、日常生活ではどんな点に注意するとよいのでしょうか?

宮本 俊明先生宮本先生

活動性が高い時期は無理な動作を避ける工夫が大切です。自助具などの道具を使って関節への負担を減らしたり、日常生活において、こまめな休息を取ったりすることも重要です。床座りよりも椅子生活、布団よりもベッドなど、無理のない範囲で生活環境を見直していく必要もあります。ただし、これはあくまで活動性が高い時期のみの話です。

編集部編集部

運動療法もよいと聞きました。

宮本 俊明先生宮本先生

はい。関節に負担をかけないウォーキングやストレッチ、お近くにプールなどがあれば水中ウォーキングなどの軽い有酸素運動がおすすめです。動かさないと関節は硬くなりやすく、筋力も低下してしまいますので、軽い負荷の運動をこまめに継続することが大事です。ただし、これも活動性が高く、痛みが強いときは無理をしないようにしましょう。

編集部編集部

おすすめの食事などはありますか?

宮本 俊明先生宮本先生

関節リウマチに効く特別な食事はありません。しかし、注意すべき点はあります。関節リウマチの患者さんは痛みのため食欲が落ちてしまい、かつ炎症に伴い筋肉量も落ち、徐々に日常生活動作に困難を生じる可能性があります。さらに関節リウマチによる炎症、そして運動量の低下に伴い、骨粗しょう症を合併している人も非常に多いことがわかっています。したがって、食生活で以下の2つのポイントに注意してもらいたいと思います。
  • たんぱく質をしっかり摂る
  • 筋肉を作るたんぱく質を十分に摂取することが重要です。良質なたんぱく質は肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれています。
  • カルシウム、ビタミンDをしっかり摂る
  • カルシウムは牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品に多く含まれています。そのほか海藻、小魚、大豆製品、野菜などにも含まれているため、バランスのよい食生活を心がけましょう。ビタミンDは日光を浴びることにより、体内で生成されるので、適度な日光浴も効果的ですが、食事で摂取することも重要です。ビタミンDを豊富に含む食材はサバ、マグロ、サーモンなどの魚、シイタケなどのきのこ類、卵黄などが挙げられます。

関節関節リウマチについて知っておくべきこと

関節関節リウマチについて知っておくべきこと

編集部編集部

軽症でも治療は必要なのですか?

宮本 俊明先生宮本先生

はい。発症早期ほど骨が壊れる速度が速いため、早期の治療が必要です。さらに、関節リウマチは時間が経過するにつれて薬の効果が出にくくなることもわかっています。「しばらく様子を見よう」と思って放置すると、次第に骨が壊れてしまい、大きなダメージが残ることもあるため、早期から受診、治療することが大事です。

編集部編集部

治療のゴールはありますか?

宮本 俊明先生宮本先生

目標は「やりたいことをあきらめない、発症前の生活を取り戻すこと」です。昔は「痛みが出なければOK」でしたが、今は関節破壊の進行を防ぎ、将来的な機能障害を防ぐことが重視されています。

編集部編集部

症状が落ち着いても薬は継続、ということでしょうか?

宮本 俊明先生宮本先生

そうですね。現時点で何年続ければ休薬してもよいというデータはありませんので、特に自己判断での中止は避けてください。再発(症状が再燃)が起こりやすい病気なので、主治医と相談しながら薬の量を調整していくことが大切です。将来的には「こうなったら薬をやめてもよいですよ」と言えるようになる時代が来ることが期待されます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

宮本 俊明先生宮本先生

関節リウマチにより破壊されてしまった骨を元通りに治すことは難しいからこそ、早期診断、治療開始、早期治療目標達成が重要になります。早期ほど症状が軽く、採血、X線検査で異常がないことも多々あるため、少しでも疑わしいことがある場合、特に少なくとも1カ月以上痛みやこわばりに悩まされている場合はリウマチ専門医を受診することをおすすめします。

編集部まとめ

関節リウマチは、適切な時期にしっかりと治療すれば、以前と変わらない生活を取り戻すことも可能な病気です。そのためには、症状の早期発見と治療の継続、そして、食事や運動、生活の中の工夫なども大切なのだそうです。気になる症状がある人は、お近くの医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

参考) 日本リウマチ財団 リウマチ情報センター
https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/faq-list/meal/

医院情報

みやもと内科・リウマチ科クリニック

みやもと内科・リウマチ科クリニック
所在地 〒430-0906 静岡県浜松市中央区住吉2丁目8番地21号
アクセス 浜松駅より【13のりば50:山の手医大線】乗車「せいれい病院入口」より徒歩1分
診療科目 リウマチ科・内科

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