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「不整脈」の原因・治療法はご存じですか? 薬の副作用や服用期間も医師が解説!

 公開日:2025/02/25

不整脈の治療には、症状や病状に応じて様々な薬物療法が用いられます。しかし「薬を一生飲み続けなければならないの?」と、不安に思う人も多いのではないでしょうか。今回は、不整脈治療における薬物療法のポイントや副作用について、「新中野なべよこ内科」の高昌先生に解説していただきました。

高昌 秀安

監修医師
高昌 秀安(新中野なべよこ内科)

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杏林大学医学部卒業、杏林大学大学院医学研究科修了。その後、杏林大学医学部付属病院、立正佼成会附属佼成病院(現・杏林大学医学部付属杉並病院)などで経験を積む。2024年、東京都中野区に「新中野なべよこ内科」を開院。医学博士。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。日本医師会認定産業医。

不整脈とは?

不整脈とは?

編集部編集部

まず、不整脈について教えてください。

高昌 秀安先生高昌先生

不整脈は病名ではなく、文字通り「脈が不整、整っていない状態」の総称を指します。脈が速い・遅い、脈が飛ぶ(1拍〜数拍抜けてしまう)、途切れる、不規則になるなど、脈が乱れる状態は全て不整脈です。

編集部編集部

脈のスピードも関係しているのですか?

高昌 秀安先生高昌先生

平常時の脈拍数も人によって異なるため、多少の速い・遅いがあるのは普通ですが、それが一定の範囲を超えると不整脈に含まれます。具体的には、1分間に100回以上だと「頻脈」、50回以下は「徐脈」と呼びます。

編集部編集部

なぜ、不整脈が起こるのですか?

高昌 秀安先生高昌先生

不整脈の原因は人によって様々です。循環機能に問題がなくても、過労やストレス、睡眠不足などによって不整脈が起こることもある一方、深刻な心疾患などによって不整脈が引き起こされることもあります。また、不整脈そのものが脳梗塞などの原因になり得ます。

編集部編集部

不整脈になると、どのような症状が出るのですか?

高昌 秀安先生高昌先生

動悸や胸の不快感、息切れなどが起こることもありますが、すぐに不整脈だとわかる特徴的な症状というのはあまりないかもしれません。また、全く症状がなく、健康診断などではじめて指摘される人も一定数いらっしゃいます。逆に言うと、自覚症状がないため長期間気がつかず、脳梗塞などになってはじめて診断されるというケースも多くあります。健康診断などで不整脈を指摘されたら、症状がなくてもできるだけ早く医療機関で検査することが大切です。

不整脈の治療法

不整脈の治療法

編集部編集部

不整脈と診断されると、どのように治療するのですか?

高昌 秀安先生高昌先生

こちらも原因により様々なので、まずは原因疾患を特定し、それぞれにあった治療をおこないます。多くの場合、薬物療法やカテーテル治療などで改善を図ります。

編集部編集部

それぞれの治療法について教えてください。まずは薬物療法から。

高昌 秀安先生高昌先生

不整脈の薬物治療は、様々な抗不整脈薬を使っておこなわれます。それぞれの病態に応じて、拍動のリズムを安定させたり、症状を抑えて心拍数を調整したりすることで不整脈を抑制します。どの薬をどのように用いるかは、ガイドラインによって細かく決められています。

編集部編集部

では、カテーテル治療は?

高昌 秀安先生高昌先生

カテーテルという太さ2~3mmほどの細い管を用いて、不整脈の原因となる異常な回路や部位を焼灼して消滅させる治療法です。焼灼は「アブレーション」とも呼ばれるため、「カテーテルアブレーション治療」とも呼ばれています。

編集部編集部

そうなのですね。

高昌 秀安先生高昌先生

ほかには、植え込み型除細動器やペースメーカーを用いる方法もあります。さらに、薬物治療と非薬物治療を組み合わせたハイブリッド治療も多くおこなわれています。

不整脈の薬物治療、薬は一生飲み続ける? 副作用は?

不整脈の薬物治療、薬は一生飲み続ける? 副作用は?

編集部編集部

不整脈の薬は、一生飲み続けなければならないのでしょうか?

高昌 秀安先生高昌先生

不整脈の状況によって異なるため一概に言えませんが、カテーテル治療などで原因疾患が治療され、結果として薬が必要なくなることはあっても、薬を飲んでいることで不整脈の原因が改善され、徐々に飲まなくて良くなるということは考えにくいかもしれませんね。

編集部編集部

薬の副作用も気になります。

高昌 秀安先生高昌先生

もちろん、副作用はあります。患者さんの年齢によっては腎臓・肝臓に負担がかかることもありますし、ある不整脈を薬で抑えることで、別の不整脈が出ることもあります。様々なリスクをきちんと管理するためにも、同じ薬を処方してもらう治療だったとしても、循環器専門医のいる医療機関などを選ぶことをおすすめします。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高昌 秀安先生高昌先生

不整脈の治療は近年大きく進歩しており、様々なアプローチやデバイスの開発によって、より早期に発見しやすくなっています。早期に治療をおこなうことで、原因となる疾患を改善できれば、薬の使用をやめることも可能です。一方で、不整脈に気づかず放置したことで脳梗塞を引き起こしてしまうケースもあります。このようなリスクを避けるためにも、40歳を過ぎたら毎年の健康診断を受け、不整脈がないか確認することをおすすめします。

編集部まとめ

不整脈とそのリスクや治療法について解説していただきました。不整脈は早期に発見し治療をおこなうことで、原因疾患が改善できる可能性があります。しかし、見逃すと脳梗塞など重大な合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。40歳を過ぎたら毎年検診を受け、不整脈の有無を確認することをおすすめします。また、40歳未満であっても、気になる症状がある方は医療機関を受診しましょう。

医院情報

新中野なべよこ内科

新中野なべよこ内科
所在地 〒164-0012 東京都中野区本町4丁目43-11
アクセス 丸の内線「新中野駅」 徒歩3分
診療科目 内科、循環器内科、腎臓内科

この記事の監修医師

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