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精神疾患があると医療保険に入れないってホントですか?【医師に聞く】

 公開日:2025/03/01
精神疾患があると医療保険に入れないってホントですか?【医師に聞く】

「精神疾患があると医療保険に入れない」と聞いたことはありませんか? 精神疾患の診断歴があると、一般的な医療保険への加入が難しくなるケースがあるようです。そこで、精神疾患と医療保険の関係について、関谷秀子先生(初台クリニック)に解説してもらいました。

関谷 秀子

監修医師
関谷 秀子(初台クリニック)

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東京女子医科大学卒業。法政大学現代福祉学部教授。初台クリニック(東京・渋谷区)院長。前関東中央病院精神科部長。2020年に「不登校、うつ状態、発達障害- 思春期に心が折れた時 親がすべきこと-」を出版。医学博士。精神保健指定医。日本医師会認定産業医。日本精神神経学会精神科専門医・指導医。日本児童青年精神医学会認定医。日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー。

精神疾患があると医療保険はどうなる? 医師が解説

精神疾患があると医療保険はどうなる? 医師が解説

編集部編集部

精神疾患があると医療保険には入れないのですか?

関谷 秀子先生関谷先生

一般的な医療保険では、精神疾患の診断歴があると加入が難しくなることはあります。

編集部編集部

そうなのですね。

関谷 秀子先生関谷先生

ただし、ほかの疾患と同じように、診断名やその重症度、治療状況などによって保険会社の判断も変わりますので、「すべての医療保険が絶対に無理」ということもありません。

編集部編集部

状況によっては保険に加入できる方法はあるということでしょうか?

関谷 秀子先生関谷先生

検討してみる余地はあると思います。例えば「引受基準緩和型保険(告知する健康状態が少ない保険)」や「無選択型保険(健康状態とは関係なく契約ができる保険)」など、加入条件が緩やかな保険であれば、加入できる可能性があります。ただし、保険料が高くなったり、保障範囲が限定されたりすることも多いかもしれません。

「精神疾患と保険」を医師が解説

「精神疾患と保険」を医師が解説

編集部編集部

すでに加入している医療保険があり、加入後に精神疾患になったらどうなりますか?

関谷 秀子先生関谷先生

すでに加入している保険なら、契約内容に基づいて保障を受けられる可能性がありますし、契約も継続できることが多いかと思います。ただし、精神疾患が保障の対象外になっている場合もあるため、契約内容を確認しましょう。

編集部編集部

過去の精神疾患の病歴は申告しなければならないのでしょうか?

関谷 秀子先生関谷先生

医療保険は、加入時にいくつかの質問に答えなければならないことがほとんどです。正確な告知義務があるため、ここで病歴を隠して加入すると、後に保険金の支払いが拒否される可能性があります。正直に申告することが重要です。

編集部編集部

一度精神疾患の診断がつくともう普通の医療保険に入れないのでしょうか?

関谷 秀子先生関谷先生

そんなことはありません。症状が落ち着き、治療を終了してから一定期間が経過すれば、加入できる場合があります。「◯年以上受診していない」「◯年以上薬を服用していない」など、保険会社や商品ごとに条件は異なるため、こちらも事前に確認してください。

編集部編集部

がん保険などはどうでしょうか?

関谷 秀子先生関谷先生

がんと精神疾患は関係ないと思われるかもしれませんが、がん保険でも加入時に健康状態の審査があり、精神疾患の診断歴が影響する可能性があります。ただし、繰り返しになりますが、商品によっては加入できる可能性もあります。

保険に入れない場合の医療費負担と対策を教えて

保険に入れない場合の医療費負担と対策を教えて

編集部編集部

保険に入れないと、医療費の負担が心配です。

関谷 秀子先生関谷先生

精神疾患で通院しているのに、医療保険の保障がないとなると、経済的に不安ですよね。しかし、医療保険に入れない場合でも、公的な制度を活用すれば治療費の負担を軽減できます。例えば、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると、通院費が軽減されます。これは、指定した精神疾患の治療などを受ける際に、医療費の自己負担割合が原則1割になるというもので(所得により上限あり)、自治体での手続きが必要になります。

編集部編集部

そういった制度が利用できるのですね。

関谷 秀子先生関谷先生

ほかにも、国民健康保険の高額療養費制度なども利用できます。これは、1ヶ月(1日〜月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、 一定の金額を超えた分があとで払い戻される制度です。年齢や所得によって対象となる自己負担額が変わりますので、こちらも市町村窓口などで確認してみてください。

編集部編集部

最後にメディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

関谷 秀子先生関谷先生

精神疾患があると、医療保険への加入が限られたもののみになってしまうことが多いようです。しかし、全く加入できないわけではありません。医療保険以外に使える制度としては、先ほど紹介したもののほかにも、精神障害者保健福祉手帳制度によるサポートもありますので、主治医に確認してみましょう。なお、ここでお伝えした内容は、あくまで現時点でのものであり、この先変化していくこともありますので、利用を検討する際にはその都度ご確認をお願いします。

編集部まとめ

精神疾患がある場合、医療保険への加入が制限されることは確かですが、一部の保険には加入できる可能性があり、また、公的な支援を活用することで医療費の負担を軽減することも可能なのだそうです。不安がある方は、主治医や自治体に相談し、利用できる制度や選択肢を確認してみましょう。適切な情報を得ることで、安心して治療を続けることができるかと思います。

医院情報

初台クリニック

初台クリニック
所在地 〒151-0061 東京都渋谷区初台1-7-7 Court初台1F
アクセス 京王新線「初台」駅南口より徒歩2分
小田急線「参宮橋」駅より徒歩10分
診療科目 心療内科、精神科

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