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【闘病】絶句。緑内障と思っていた視界不良は「脳」に原因が…《未破裂脳動脈瘤》(1/2ページ)

 公開日:2025/02/04
【闘病】絶句。緑内障と思っていた視界不良は「脳」に原因が…《未破裂脳動脈瘤》

脳動脈瘤は自覚症状があまりなく、くも膜下出血にもつながる可能性がある「サイレントキラー」とも呼ばれる疾患です。話を聞かせてくれた夏生さん(仮)は、まったく別の診療科にかかったことがきっかけで、脳動脈瘤が判明したそうです。そこで、夏生さんがどのようにして脳動脈瘤を発見し、手術に至ったのかという経緯や手術後の生活について語ってもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年10月取材。

夏生 幸さん

体験者プロフィール
夏生 幸(仮称)

プロフィールをもっと見る

1968年生まれ、埼玉県在住。2024年に脳動脈瘤と診断される。1つの脳動脈瘤の手術を終え、これから2つ目の脳動脈瘤の手術を行う予定(取材時)。4匹の猫と暮らす愛猫家。

緑内障だと思っていたら…

緑内障だと思っていたら…

編集部編集部

最初に不調や違和感に気づいたのはいつですか? どういった状況だったのでしょうか?

夏生 幸さん夏生さん

もともとドライアイでかかりつけの眼科を定期的に受診して目薬を処方してもらっていたのですが、昨年(2023年)より「緑内障の疑いあり」とのことで経過観察中でした。2024年7月下旬の仕事中、視界に異変が生じ、視界の下方がチカチカ眩しく、視野の一部が欠けたようにぼんやりする現象が何度かありました。「もしやこれが緑内障の症状か?」と眼科を受診しましたが、先生からは『これは眼(が原因)ではないですよ。すぐに紹介状を書くので脳神経外科に行ってみてください』と言われました。

編集部編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

夏生 幸さん夏生さん

紹介されたのがたまたま自宅に近い病院だったこともあって、その日の午後一番に、地域の設備の整った脳神経外科を受診しました。そこで初めてMRI検査を受け、すぐに「少なくとも2つ、脳内に動脈瘤がある」と指摘されました。自分自身、つい数時間前まで緑内障だと思っていたので、「脳に異変がある」と言われても、自分の診断として受け入れ難く、絶句してしまいました。

編集部編集部

どんな病気なのでしょうか?

夏生 幸さん夏生さん

脳内の動脈の血管壁が風船のように膨らんでいるのが「脳動脈瘤」です。破裂する前の状態を「未破裂脳動脈瘤」というのですが、これが破裂すると突然死に多い「くも膜下出血」に至ります。半数近くは死亡、残り2割は何らかの後遺症を抱えながら生きていくことになり、残り3割は生還とのことでした。割合はあくまでも平均で、年代ごとに変わるそうです。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

夏生 幸さん夏生さん

血管内カテーテル治療で、動脈瘤の内部をコイルで埋めてしまう方法と、開頭手術で瘤の根元をクリップで止めてしまう方法の2種類があると説明されました。私の場合「10年後以降の再発率や経過観察に必要な検査回数などを考慮すると、開頭手術での治療が良い」とのことでした。

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

夏生 幸さん夏生さん

「開頭」「手術」という言葉に動揺し、自分のこととしては全く受け容れられない心境でした。

いざ開頭手術を迎える

いざ開頭手術を迎える

編集部編集部

実際の治療はどのように進められましたか?

夏生 幸さん夏生さん

担当医師の説明には、身内も全員参加して意見交換しました。先生は元々、多くの脳動脈瘤の症例と向き合ってこられた方で、経験値も高く知識も豊富、そしてとても穏やかで腰が低く大変信頼できる先生でしたので、命のかかった大手術ですが、セカンドオピニオンは受けず、その先生に開頭手術をお願いすることに決めました。2つの動脈瘤を同時にはできないということで、まずは破裂のリスクの高い方の動脈瘤を治療することになりました。

編集部編集部

大きな決断になりましたね。

夏生 幸さん夏生さん

はい。そこからは未破裂動脈瘤手術に向けて、必要な検査入院などをスケジューリングしていきました。とは言っても、とても怖くて、手術が近づくにつれ恐怖で血圧も上がり、逃げ出してしまいたい気分でしたが、可愛い飼い猫たちのためにも、なんとしても元気に回復しなければと意を決して臨みました。

編集部編集部

手術はどうでしたか?

夏生 幸さん夏生さん

先生はわたしが不安になるようなことはほぼせず、手術室に運ばれいよいよ恐怖の局面という時も、早々に麻酔で眠らせてくれました。それが先生のスタイルなのか、特別な配慮だったのかは分かりません(笑)。8〜9時間はかかると言われていた長時間のオペでしたが、自分の記憶では、目覚めたら明るい照明のあるカーテンで仕切られた、両サイドには別の患者さんが横たわる一室、そこがICUでした。

(後編)人生いろいろ! 幸か不幸かは捉え方次第

この記事の監修医師

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