目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 動悸・多汗・手の震えなどが起こることもある甲状腺異常。超音波検査について医師に聞いてみた

動悸・多汗・手の震えなどが起こることもある甲状腺異常。超音波検査について医師に聞いてみた

 公開日:2025/01/26
動悸・多汗・手の震えなどが起こることもある甲状腺異常。超音波検査について医師に聞いてみた

首の違和感や動悸、手の震えといった症状を感じたことはありませんか? その原因は「甲状腺の異常」によるものかもしれません。甲状腺は、代謝やエネルギー調整を担う重要な臓器ですが、異常があっても自覚症状が乏しいことがあります。そんな甲状腺の健康状態を調べるために有効なのが「超音波検査」です。本記事では、甲状腺超音波検査でわかることや検査を受けるべき人などについて、よこすか甲状腺内科クリニック院長の向笠先生にお話を伺いました。

向笠 浩司

監修医師
向笠 浩司(よこすか甲状腺内科クリニック)

プロフィールをもっと見る
1995年横浜市立大学医学部卒業。同大学大学院修了。2001年に米ハーバード大学Brigham and Women’s Hospitalに留学。帰国後は横浜市立大学附属病院講師や伊藤病院内科医長、中島内科クリニック副院長を歴任。2021年より現職。日本甲状腺学会専門医、日本内分泌学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。横浜市立大学医学部および聖マリアンナ医科大学非常勤講師。

甲状腺超音波検査では何がわかるのか

甲状腺超音波検査では何がわかるのか

編集部編集部

甲状腺の超音波検査では、どのようなことがわかるのでしょうか?

向笠 浩司先生向笠先生

超音波検査では、甲状腺の内部構造を詳しく確認できます。触診では表面の腫れや硬さしかわかりませんが、超音波検査では奥深くにある腫瘍や結節も発見できます。たとえば、気管に近い部分や甲状腺の裏側にある異常など、触診では見逃しやすい箇所も詳細に調べることができます。また、腫瘍の大きさや形、内部の特徴まで確認できるため、腫瘍の性質を推測する手助けになります。ただし、確定診断には追加の検査が必要です。

編集部編集部

超音波検査だけではわからないこともあるのですか?

向笠 浩司先生向笠先生

はい。超音波検査では形状や腫瘍の有無は確認できますが、甲状腺ホルモンの分泌量に関する情報は得られません。ホルモンの分泌が多すぎる、または少なすぎるといった「機能的な異常」を調べるには、採血検査が必要です。超音波検査と採血検査を組み合わせることで、形と機能の両面から正確な診断が可能になります。

編集部編集部

超音波検査はどのような方法でおこなわれるのですか?

向笠 浩司先生向笠先生

検査はとても簡単で負担が少なくなっています。患者さんはベッドに仰向けで横になり、首を露出していただきます。次に、ゼリーを首に塗り、プローブと呼ばれる超音波を発する機械を肌に当てて観察します。このゼリーは超音波をスムーズに通すためのもので、冷たさを感じる程度です。痛みはほとんどなく、検査時間も10〜15分ほどで終わるため、どなたでも気軽に受けることができます。

どのような人に甲状腺超音波検査は必要なのか

どのような人に甲状腺超音波検査は必要なのか

編集部編集部

甲状腺超音波検査で異常が疑われる場合、その後の流れはどうなりますか?

向笠 浩司先生向笠先生

超音波検査で腫瘍が見つかり、悪性の可能性がある場合には、さらに詳しい検査をおこないます。たとえば、腫瘍の周囲がギザギザしている、内部にカルシウムの沈着があるといった特徴がある場合は「吸引細胞診」を実施します。これは細い針を腫瘍に刺して細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。一方、良性であると判断された場合は、数ヶ月おきに経過を観察し、腫瘍の変化がないか確認します。

編集部編集部

どのような症状のある人が、甲状腺超音波検査を受けるべきですか?

向笠 浩司先生向笠先生

主に首の違和感や圧迫感を感じる方、飲み込むときに「何か引っかかる」と感じる方が検査の対象となります。こうした症状は、甲状腺が腫れている、あるいは内部に異常がある可能性を示唆している場合があります。気になる症状がある方は、早めに医療機関で御相談ください。

編集部編集部

自覚症状がない場合でも検査を受けることはありますか?

向笠 浩司先生向笠先生

はい。自覚症状がなくても、医師の触診で異常を指摘されるケースはよくあります。首の腫れや硬さといった触診での所見が、甲状腺の問題を示すサインとなることがあります。そのため、定期的な健康診断や医師の診察で異常を指摘された場合は、超音波検査を受けることで詳細な情報が得られます。

甲状腺超音波検査を受ける前に知っておくべきこと

甲状腺超音波検査を受ける前に知っておくべきこと

編集部編集部

甲状腺超音波検査は定期的に受ける必要がありますか?

向笠 浩司先生向笠先生

異常がなければ定期的に受ける必要はありません。ただし、一度異常が見つかった場合には、変化を確認するために数ヶ月おきに検査を受けることが推奨されます。たとえば、腫瘍が大きくなったり形が変化したりする場合、早期に対処することで進行するリスクを抑えられます。

編集部編集部

検査の費用はどのくらいですか? 保険適用できるか気になります。

向笠 浩司先生向笠先生

日本では、甲状腺超音波検査は疾患が疑われれば基本的に保険適用となり、患者さんの自己負担額はおおよそ1500円程度(3割負担の場合)です。この検査は痛みがなく短時間で済むうえに、費用負担も軽いため、必要があれば積極的に受けることをお勧めします。

編集部編集部

超音波検査を受けるために特別な準備は必要ですか?

向笠 浩司先生向笠先生

特別な準備は必要ありません。空腹である必要もなく、薬を飲む必要もありません。ただし、首を露出しやすい服装で来ていただけるとスムーズです。ゼリーが服につかないようにご自身でタオルを用意する場合もありますが、クリニック側で対応してくれることがほとんどですので、気軽に受けられます。

編集部まとめ

甲状腺超音波検査は、首の違和感や圧迫感、飲み込みづらさといった症状がある方に適した検査です。痛みがなく短時間で済むうえ、腫瘍や異常の有無を詳細に確認できるため、早期発見・治療につながります。甲状腺の異常は放置すると全身に影響を及ぼす可能性があるため、気になる症状があればぜひ医療機関で御相談ください。

医院情報

よこすか甲状腺内科クリニック

よこすか甲状腺内科クリニック
所在地 〒238-0011 神奈川県横須賀市米が浜通1-7-2 サクマ横須賀ビル1階
アクセス 京浜急行本線「横須賀中央」駅より徒歩5分
診療科目 甲状腺内科

この記事の監修医師