関節や脊椎の痛みは「ペインクリニック」と「整形外科」どっちに行けばいいの?【医師監修】
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膝や腰、肩の痛みが続くとき、どの診療科に行けばいいか迷ったことがある方も多いと思います。整形外科とペインクリニック、それぞれで行われる治療は異なり、選び方によって治療効果にも違いが出ます。この記事では、どちらを選ぶべきか、痛みが続くときに考えられる病気、そしてペインクリニックの治療のメリットについて、園ペインクリニック松本先生の意見を基に解説します。
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監修医師:
松本 園子(園ペインクリニック)
ペインクリニックと整形外科の選び方
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編集部
ペインクリニックと整形外科、どちらを選べば良いか迷った場合、何を基準にすれば良いでしょうか?
松本先生
基準は「手術の必要性」と「痛みの治療に重点を置くか」です。整形外科は骨折や関節の変形など、外科的処置が必要な場合に選択されることが多いです。一方、ペインクリニックは、手術を伴わない痛みの管理や緩和を目的とした治療が得意です。ただし、手術が必要な状態でペインクリニックを選んでしまうと、治療の遅れが症状を悪化させる可能性もあります。そのため、症状に合わせて適切な診療科を選ぶことが重要です。
編集部
整形外科を受診すべき症状や状況を教えてください。
松本先生
骨折や関節の変形、関節が腫れているなどの症状がある場合は整形外科を受診してください。また、動きが制限されている、強い痛みが伴っている場合も整形外科が適切です。画像診断を通じて原因を特定し、外科的処置を含む治療が行われる場合もあります。整形外科は、骨や関節の構造的な問題に対して迅速かつ専門的な対応が期待できます。
編集部
逆に、ペインクリニックを選ぶべき状態はどのような場合でしょうか?
松本先生
痛みが慢性化している場合や、手術を避けたいと希望する方にはペインクリニックが適しています。例えば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの神経圧迫が原因の痛みは、神経ブロック療法で効果が期待できます。また、肩こりや頭痛、気圧の変化による体調不良に伴う痛みにも、ペインクリニックが有効です。ただし、治療の効果には個人差があるため、適切な診断と治療計画が重要です。
痛みが続いたときに考えられる病気とは
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編集部
長引く膝や腰の痛みの原因にはどのような病気がありますか?
松本先生
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などが主な原因として挙げられます。椎間板ヘルニアは、脊椎の間にあるクッションが飛び出し、神経を圧迫することで痛みを引き起こします。以前は手術が一般的でしたが、現在では神経ブロック療法など非手術的な治療が第一選択となることもあります。一方、脊柱管狭窄症は、脊椎の中を通る神経の通り道が狭くなる病気で、加齢が主な原因です。これらの病気は適切な治療で改善する可能性が高いため、早めの受診が推奨されます。
編集部
痛み止めを使用し続けている人がいますが、これにリスクはありますか?
松本先生
痛み止めは一時的な対症療法であり、根本的な原因を治すものではありません。例えば、椎間板ヘルニアを放置していると、神経への圧迫が長引き、感覚障害や運動障害を引き起こす可能性があります。また、慢性的な痛みが続くと、痛みを抑える神経機能が過敏化し、治療が難しくなることもあります。痛みが続く場合は、早期に専門医を受診し、原因を特定した上で適切な治療を受けることが重要です。
編集部
痛みを感じたとき、どのくらいのタイミングで病院を受診すべきですか?
松本先生
痛みが数日で軽減しない場合は、1週間以内に病院を受診するのが理想的です。慢性化した痛みは治療が困難になるため、早期の受診が重要です。ペインクリニックでは、痛みの詳細な評価と個別化した治療が行えるため、原因に応じた最適なアプローチを受けられます。
ペインクリニックでの治療
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編集部
整形外科ではどのような治療が行われますか?
松本先生
整形外科では、主にヒアルロン酸注射や関節の手術が行われます。例えば、膝関節の変形や動かしにくさがある場合、ヒアルロン酸を注入して滑らかさを取り戻し、痛みを緩和します。また、変形が進行している場合には、人工関節の置換手術など、外科的治療が選択されることがあります。整形外科は、構造的な問題に対して専門的な治療を行うことが得意です。
編集部
ペインクリニックの治療にはどのようなものがありますか?
松本先生
ペインクリニックでは、神経ブロック療法や筋膜リリース、高周波熱凝固療法などが行われます。神経ブロック療法では、痛みの原因となる神経に薬剤を注入して炎症を抑えます。筋膜リリースでは、筋肉を覆う膜の緊張を緩和し、痛みの原因を取り除きます。また、高周波熱凝固療法は、神経の一部に熱を加えて過敏な神経を鎮静化する治療法で、特に慢性的な痛みに効果的です。
編集部
ペインクリニックの治療にはどのようなメリットがありますか?
松本先生
ペインクリニックでは、痛みの原因を細かく特定し、最適な治療を提供できる点が最大のメリットです。例えば、手術を避けたい方や、局所的な痛みに特化した治療を求める方には、ピンポイントのアプローチが可能です。また、副作用を最小限に抑えた治療ができるため、体に優しい治療を希望する方にも適しています。早期に受診することで、治療の効果を最大化し、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
編集部まとめ
整形外科とペインクリニックは、それぞれの得意分野が異なるため、症状に応じた選択が重要です。特に慢性的な痛みの場合、ペインクリニックでの治療は手術を避けたい方にとって有力な選択肢となります。今回の記事が、自分に合った診療科選びの参考となりましたら幸いです。
医院情報
所在地 | 〒136-0071 東京都江東区亀戸7-64-3 |
アクセス | JR総武本線「亀戸」駅より徒歩14分 東武亀戸線「亀戸」駅より徒歩14分 |
診療科目 | ペインクリニック科・漢方内科・麻酔科 |