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「いつも片方だけ鼻づまり」 これ病気? 手術が必要なケースとは? 【医師に聞く】

 公開日:2024/11/11
いつも「片方だけ鼻づまり」 これって病気? 手術が必要になるケースとは?

鼻づまりに悩まされている人のなかで、いつも「片方だけが詰まっている」という人はいませんか? 特定の側だけ詰まっているという場合には、風邪や鼻炎とは異なる原因が考えられます。目黒本町耳鼻咽喉科の小松﨑先生に詳しく教えてもらいました。

小松崎 敏光

監修医師
小松崎 敏光(目黒本町耳鼻咽喉科)

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2010年昭和大学医学部 卒業、2014年昭和大学大学院医学研究科修了、2014年昭和大学病院耳鼻咽喉科 助教、2016年東京都保健医療公社荏原病院(現・東京都立荏原病院)医員、2017年昭和大学横浜市北部病院耳鼻咽喉科 助教、2019年昭和大学横浜市北部病院耳鼻咽喉科 講師。医学博士、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医・専門医研修指導医、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医、日本めまい平衡医学会めまい相談医、身体障害者福祉法15条指定医。

人体には、片方の鼻だけが詰まる仕組みが備わっている

人体には、片方の鼻だけが詰まる仕組みが備わっている

編集部編集部

片方の鼻だけ詰まることがあるのは、なぜですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

鼻づまりはとても一般的な症状で、風邪をひいたり、花粉が飛んだりする時期に鼻が詰まることは珍しくありません。しかし、そのようなときには大抵の場合、両鼻同時に詰まったり、片側ずつ交互に詰まったりするものです。もし、特定のどちらかだけがいつも詰まっているなら、ほかの原因が考えられます。

編集部編集部

片側ずつ、交互に詰まることもあるのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

はい、もともと人間の鼻にはネーザルサイクルという仕組みが備わっています。これは、2〜3時間ごとに左右の鼻の詰まりが変化するというもの。つまり健康な人であっても、「さっきまで右が詰まっていたのに、しばらくしたら左の方が詰まってしまった」と感じるのです。

編集部編集部

なぜ、そのような仕組みが備わっているのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

鼻の粘膜は、肥厚と収縮を繰り返しながら呼吸を行い、空気を出し入れしています。しかし、鼻の穴は外気にさらされ続けると痛んでしまいます。そのため片側をわざと腫れさせて通りを悪くし、一時的に休ませることで呼吸が継続できるようになっているのです。機序はまだ詳しくわかっていませんが、おそらく自律神経が関与しているのではないかと考えられています。

編集部編集部

では、片方だけ鼻が詰まるというのは、異常ではないのですね。

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

2~3時間の周期で詰まっている側が入れ替わるという症状は、異常ではありません。しかし、いつも特定の側だけが詰まっているという場合には、なんらかの原因が考えられます。

鼻中隔弯曲症などが原因であることも

鼻中隔弯曲症などが原因であることも

編集部編集部

特定の側だけがいつも詰まっている感じがするときには、どのような疾患が考えられるのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

多いのは、鼻中隔弯曲症です。鼻中隔とは、左右の鼻の穴を分ける壁のような部分(軟骨)のこと。鼻中隔弯曲症とはこの鼻中隔が曲がっていて、鼻づまりや嗅覚障害などを引き起こす疾患です。

編集部編集部

なぜ、そのようなことが起きるのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

もともと鼻中隔が正確に真っ直ぐという人はほとんどいません。鼻中隔は思春期から大きく成長し始め、その過程で誰しもがある程度は曲がるものです。しかし、転んでぶつけたり、スポーツなどで怪我をしたり、事故にあったりしたことが原因で、この鼻中隔の曲がりがひどくなると、鼻づまりなどの症状を引き起こしてしまいます。なかには特に原因がなく、自然発生的に鼻中隔が弯曲してしまうこともあります。

編集部編集部

自然発生的に鼻が曲がってしまうこともあるのですね。

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

はい。本来なら真っ直ぐ伸びるはずだった軟骨の部分が回りの骨よりも早く多く成長することで、行き場を失った軟骨が曲がって発育してしまい、鼻のなかに盛り上がりができたり、尖った部分ができたりします。このように、鼻中隔が弯曲すること自体は病気ではありません。そのため、鼻中隔が弯曲しているからといって、必ずしも治療が必要というわけではありません。

編集部編集部

どのようなときに治療が必要になるのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

曲がりが過度になると、狭まった鼻の穴側で鼻づまりが生じたり、粘膜が刺激されて鼻血や炎症が起こりやすくなったりします。弯曲している側と外側の下鼻甲介の粘膜が当たり、頭痛が起きることもあります。そのような理由から日常生活に支障が生じている場合には、手術が必要になります。

鼻中隔弯曲症の手術とは?

鼻中隔弯曲症の手術とは?

編集部編集部

鼻中隔弯曲症の手術はどのようにして行うのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

内視鏡下で大きく曲がった鼻中隔の軟骨や骨を一部摘出し、鼻の通りをよくします。これを「鼻中隔矯正手術」と言います。

編集部編集部

その手術をすることで片側の鼻づまりが解消されるのですか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

はい、鼻中隔が真っ直ぐになり、空気の通りもよくなります。そのため鼻づまりの解消が期待できます。また鼻中隔の弯曲にあわせ、下鼻甲介(鼻のなかにある一番下のひだ)の粘膜が腫れていることもあるので、鼻中隔を真っ直ぐにする手術とともに、下鼻甲介の骨を削ったり、粘膜を切除したりといった手術を行うこともあります。

編集部編集部

鼻中隔弯曲症のほかにも、片側だけ鼻づまりが起きる原因はありますか?

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

鼻茸と言って、鼻の内側の粘膜が膨らんでキノコのような形になる疾患があります。この鼻茸ができているときにも、片側の鼻だけが詰まりやすくなります。鼻茸は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に付随する症状であるため、内服薬などでの治療を行い、改善しない場合は手術を行うのが一般的です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小松﨑 敏光先生小松﨑先生

片側だけ鼻が詰まるといっても、生活に不便がなく、これまでとあまり変わりがなければ気にする必要はありません。しかし、「最近、片側だけが詰まるようになってきた」「片側だけに違和感がある」というような場合には、何かしらの治療対象と考えられます。「言われてみれば詰まっているかもしれない」というような時も、長期の経過のために本来の鼻通りよりも悪い状態に慣れてしまっている場合もあります。こうした症状にお気づきの際はぜひ一度、専門医にご相談ください。

編集部まとめ

鼻づまりは命に関わるような症状ではありませんが、集中力が欠如するなど日常生活の質を低下させる重大な原因になります。手術によって症状を大きく改善できることもあるので、困っている人はまず専門医に相談してみましょう。

医院情報

目黒本町耳鼻咽喉科

目黒本町耳鼻咽喉科
所在地 〒152-0002 東京都目黒区目黒本町2-5-4 ウェルスクエアプラザ目黒本町3F
アクセス 東急東横線「学芸大学」駅より徒歩13分
東急バス「目黒郵便局」バス停より徒歩2分、「清水庚申」バス停よりすぐ
診療科目 耳鼻いんこう科、小児耳鼻いんこう科、アレルギー科

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