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60歳以上の半数は「骨粗しょう症」!? 早期発見・治療が大事な理由を医師が解説

 更新日:2025/02/21

社会の高齢化に伴い、「健康寿命をあげること」「年齢を重ねても元気に活動できること」が、ますます注目されています。元気な身体活動のためには、内臓や筋肉だけではなく「骨の健康」も大切です。そこで骨粗しょう症について、整形外科医の中谷 創先生(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)に解説してもらいました。

中谷 創

監修医師
中谷 創(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)

プロフィールをもっと見る
2005年4月 防衛医科大学校病院 自衛隊中央病院 初期研修医
2007年6月 自衛隊中央病院 整形外科、習志野駐屯地医務室
2009年8月 防衛医科大学校病院 整形外科、埼玉社会保険病院 整形外科
2012年10月 防衛医科大学校 医学研究科(大学院)
2016年10月 自衛隊札幌病院 整形外科部長
2018年8月 自衛隊中央病院 整形外科医長、自衛隊体育学校 医官
2022年12月 つくる整形外科 開院

骨粗しょう症って?医師が解説!

骨粗しょう症って?医師が解説!

編集部編集部

骨粗しょう症について教えてください。

中谷 創先生中谷先生

骨粗しょう症は、骨の密度や質が低下して骨が脆くなり、骨折しやすくなる疾患です。加齢に伴い、骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量が減少することで、骨の密度が低下しやすくなります。その結果、骨の量が減少し、スカスカになってしまうことが多いのです。

編集部編集部

何歳くらいから発症するのですか?

中谷 創先生中谷先生

骨のミネラル量は20歳代ごろがピークで、そこから徐々に減少していきます。骨密度が低下し始めるのは50歳頃からで、60歳を超えると半数以上の人が骨粗しょう症の状態になっていると言われています。

編集部編集部

女性に多いというのは本当ですか?

中谷 創先生中谷先生

本当です。骨というのは、常に合成と分解を続けていますが、女性ホルモンには骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあるため、分解のスピードが早くなりすぎないようにしてくれています。しかし、女性の閉経前後ではこのスピードが速まるため、新しい骨の合成が追いつかず、骨がどんどん脆くなってしまうのです。

編集部編集部

そういった原因があるのですね。

中谷 創先生中谷先生

ただし、加齢や女性ホルモンだけが原因ではありません。偏った食生活や無理なダイエット、喫煙、過度の飲酒なども骨粗しょう症の一因となり得ます。そのため、近年では、高齢女性に限らず、若い女性の間でも骨粗しょう症が深刻な問題として注目されています。

骨粗しょう症の治療法は?

骨粗しょう症の治療法は?

編集部編集部

骨粗しょう症の治療にはどんなものがあるのですか?

中谷 創先生中谷先生

大きく分けると食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。食事療法であれば、骨の構成要素であるカルシウムやタンパク質、さらに骨の生成に欠かせないビタミンDやKなどの栄養素が重要です。これらを意識して摂取しつつ、栄養バランスの取れた食事を心がけることを指導しています。

編集部編集部

運動療法についても教えてください。

中谷 創先生中谷先生

運動によって骨に適度な負荷をかけることで、骨は強化され、丈夫になります。とくに、踵の骨(踵骨)に刺激を入れると骨量が増えやすいと言われているため、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの中強度の運動が効果的です。ジムなどに行って激しい運動をする必要はなく、毎日の散歩や週に数回の軽い運動でも十分効果があります。1回の運動強度よりも、継続的に取り組むことが大切ですので、無理なく続けられる運動を習慣化しましょう。

編集部編集部

薬で治療することも可能なのですか?

中谷 創先生中谷先生

骨粗しょう症が進行した場合は、食事療法や運動療法と併行して薬物療法が行われます。現在、骨粗しょう症の治療には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」や新しい骨の形成を促進する「骨形成促進剤」、さらにビタミンやカルシウムなどの骨に必要な栄養素を補う薬が用いられています。また、腰や背中の痛みを和らげるための鎮痛薬も処方されることがあります。どの薬を使用し、治療をいつ始めるかは、それぞれの年齢や症状の進行度を考慮して医師が判断します。

骨粗しょう症、治療よりも大事なのは予防と早期発見

骨粗しょう症、治療よりも大事なのは予防と早期発見

編集部編集部

色々な治療法があるのですね。

中谷 創先生中谷先生

そうですね。しかし大事なのは、まずは予防、そして早期発見です。先ほど解説した食事療法や運動療法は、予防という意味でも非常に有用なので、骨粗しょう症と診断されていない人も、無理のない範囲で取り入れてみてください。

編集部編集部

予防が大事なのですね。

中谷 創先生中谷先生

その通りです。さらに、若い頃の過度なダイエットが、閉経後の骨粗しょう症の発症に関連しているというデータもありますし、子どもの頃からの運動習慣で丈夫な骨を作り、骨量のピークを高くしておくことも大事だと言われています。骨粗しょう症は中高年以上のもの、と思わずに、若いうちから骨の健康を意識してほしいところです。

編集部編集部

骨粗しょう症を早期に発見するためにはどうしたら良いですか?

中谷 創先生中谷先生

骨粗しょう症は、初期〜中期くらいまでは症状がほとんどありませんので、早期発見には定期的な検査がとても大切です。骨の強さを測定する重要な尺度の1つである「骨密度」を1回も検査したことがないという人は、ぜひお近くの整形外科などで調べてもらうことをお勧めします。また、「身長が縮んできた」「急に猫背になってきた」などは、骨粗しょう症が疑われます。こういった方もお近くの整形外科に相談してみましょう。

編集部編集部

整形外科で検査できるのですね。

中谷 創先生中谷先生

全ての整形外科で検査できるわけではありませんし、逆に整形外科以外でも検査しているところもありますので、事前に骨密度検査の実施について調べてから受診することをお勧めします。また、40~70歳の女性に対しては、5歳刻みで自治体の骨粗しょう症検診が受けられますので、そちらも調べてみてください。自治体によっては年齢を拡大していたり、男性も対象となっていたりするところもあります。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあればお願いします。

中谷 創先生中谷先生

骨粗しょう症は症状がほとんどないため、骨密度検査で異常が見つかっても治療を先延ばしにする方がいます。しかし、骨密度がさらに低下しないように、早期から治療を始めることが非常に重要です。骨折が原因で杖や車椅子が必要となり、生活の質が低下するケースも多く見られますので、骨折してからでは遅い可能性もあるのです。普段から運動やバランスの良い食生活を心がけ、定期的な検査や早めの治療を行うようにしましょう。

編集部まとめ

「骨粗しょう症」は、自覚症状がほとんどなく進行するため、予防と早期発見・早期治療が非常に重要です。日々の運動や栄養バランスに気を配り、定期的な検査で骨の健康状態を確認し、必要に応じて早めに治療を始めることで、骨粗しょう症やそれに伴う骨折などのリスクを軽減し、将来の生活を守ることができます。

医院情報

つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック

つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック
所在地 〒153-0052 東京都目黒区祐天寺2-14-20 祐天寺駅前ビル3階
アクセス 東急東横線「祐天寺」駅東口2を出てすぐ
診療科目 整形外科・リハビリテーション科・スポーツ整形外科

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