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「肉離れ」「捻挫」「靱帯断裂」の治療と回復プロセスをご存じですか?【医師解説】

 更新日:2025/02/19

スポーツをしていると、怪我は避けられないリスクの一つです。しかし、適切に対応することで、速やかに回復や競技復帰し、再発を防ぐことが可能です。本記事では、「肉離れ」「捻挫」「靱帯断裂」を中心に、これらの故障に対する保存療法とや回復プロセスについて整形外科医の中谷創先生(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)に解説してもらいました。

中谷 創

監修医師
中谷 創(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)

プロフィールをもっと見る
2005年4月 防衛医科大学校病院 自衛隊中央病院 初期研修医
2007年6月 自衛隊中央病院 整形外科、習志野駐屯地医務室
2009年8月 防衛医科大学校病院 整形外科、埼玉社会保険病院 整形外科
2012年10月 防衛医科大学校 医学研究科(大学院)
2016年10月 自衛隊札幌病院 整形外科部長
2018年8月 自衛隊中央病院 整形外科医長、自衛隊体育学校 医官
2022年12月 つくる整形外科 開院

アスリートによくみられる故障について医師が解説

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編集部編集部

スポーツ競技中の故障は多いのですか?

中谷 創先生中谷先生

スポーツの種類やそれぞれのポジションにもよりますが、やはり人とぶつかったり、必死に走ったり向きを変えたりすることで、故障してしまうケースは一定数みられます。特に多いのは「肉離れ」「捻挫」「靱帯断裂」でしょう。

編集部編集部

それぞれについて解説をお願いします。

中谷 創先生中谷先生

肉離れは、筋肉が過度に伸ばされることなどで、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂する状態です。急な動きや無理な負荷が原因となり、特に太ももやふくらはぎの筋肉で発生しやすい傾向にあります。症状としては、激しい痛みや筋肉のこわばりが特徴です。

編集部編集部

捻挫はどうですか?

中谷 創先生中谷先生

捻挫は、関節が通常の可動範囲を超えて捻られることで、靱帯が損傷した状態です。足首や手首などでよく起こり、痛みや腫れ、関節の動きが制限されるのが特徴です。

編集部編集部

では、靭帯断裂は?

中谷 創先生中谷先生

靱帯断裂は、関節を安定させる靱帯が、通常以上に大きく、または急激に引き伸ばされて部分的、または完全に断裂することです。特に膝や足首の関節で多く見られます。関節が不安定になり、痛みや腫れを伴います。捻挫と靭帯断裂はほぼ似たような状態ですが、捻挫には、靭帯の断裂だけではなく、過剰に引き伸ばされてしまった状態なども含まれます。「捻挫をして、靭帯も断裂していた」ということももちろん起こり得ます。

突然の故障 どうしたら良い? 治療法は?

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編集部編集部

肉離れや捻挫、靭帯断裂を起こしたと感じたら、まず何をすべきですか?

中谷 創先生中谷先生

ただちに運動を中止し、患部を冷やして腫れを抑えます。可能であればその部分を圧迫し、心臓より高いところに保持して、できる限り早めに医師の診察を受けることが重要です。

編集部編集部

医療機関ではどのような治療をするのですか?

中谷 創先生中谷先生

靭帯断裂については手術が必要な場合もありますが、捻挫や肉離れの場合は、ほとんど保存療法が選択されます。特に急性期は、患部に負担をかけないことが第一ですので、サポーターなどで患部を固定し、必要であれば一定期間は松葉杖などを使って、患部にかかる荷重を軽減させます。

編集部編集部

回復にはどれくらいの時間がかかりますか?

中谷 創先生中谷先生

故障の程度にもよりますし、個人差も大きいと思いますが、軽度の肉離れや捻挫であれば2〜3週間で回復することが多く、中度から重度の場合は数ヶ月かかることもあります。ただしこれは、競技復帰までの期間ではなく、あくまでも通常の生活が送れるようになるまでの期間です。

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編集部編集部

運動はいつ再開して良いのですか?

中谷 創先生中谷先生

痛みや脹れ、筋力回復の程度を見なから、徐々に運動を再開しますが、競技復帰には医師や理学療法士の判断が必要です。そもそもスポーツで起こる故障は、日常生活でのケガとはかなり異なりますので、スポーツ診療を得意とする診断・治療が可能な医師や理学療法士と相談しながら進めていくことをお勧めします。

編集部編集部

一般的な回復プロセスについて教えてください。

中谷 創先生中谷先生

初期には安静にして、患部を固定すると述べましたが、安静に固定していると筋力が衰え、関節も動きにくくなってしまうため、炎症が落ち着き始めた時期からは、筋力回復や関節可動域(曲げたり伸ばしたりできる範囲)の改善を目的としたリハビリを行います。また、安静に固定をしていると、感覚や反応速度も鈍ってくることが多いので、外部の情報をキャッチして対応するためのバランス訓練などを行うこともあります。

編集部編集部

「炎症が落ち着き始めた時期」というのは具体的にどうやってわかるのですか?

中谷 創先生中谷先生

医療機関では、保存療法の場合はエコー検査などで炎症反応を調べることができます。目安としては、腫れや熱感、赤みがある場合はまだ炎症が起こっていると考えることができます。エコー検査では、炎症反応だけでなく、組織の回復状態などもわかるため、そういった確認をした上でリハビリを始めるのです。ただし、炎症などが完全に治るのを待ってからではなく、「治まりつつある時期」から、徐々にリハビリをします。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあればお願いします。

中谷 創先生中谷先生

昔は、肉離れや捻挫は「骨がなんともないなら大丈夫」とすぐ復帰していた傾向にありますが、長い目で見るとパフォーマンスを大きく下げます。きちんと競技復帰するためには、肉離れや捻挫を軽く考えず、休んだほうがいい時期はしっかり休み、適切な時期に速やかにリハビリを始められるよう、専門の整形外科などに相談することをお勧めします。

編集部まとめ

適切なリハビリとともに、体の回復プロセスをしっかりサポートすることで、再発を防ぎながら元の競技パフォーマンスに近づけることも可能とのことでした。無理せずに段階的にリハビリを進めることで、スポーツや日常生活への復帰をスムーズにすることが大切です。専門職による適切なケアが、その後の競技復帰を左右する鍵となります。

医院情報

つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック

つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック
所在地 〒153-0052 東京都目黒区祐天寺2-14-20 祐天寺駅前ビル3階
アクセス 東急東横線「祐天寺」駅東口2を出てすぐ
診療科目 整形外科・リハビリテーション科・スポーツ整形外科

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