整形外科医が伝授する「日常でできる腰痛予防」 腰の痛みの原因・対処法も解説!
高齢化が進むにつれて、腰痛を訴える人は増えています。何をしても良くならないと嘆いている人も多いのではないでしょうか。身体のプロである整形外科医は、腰痛予防のためにどんなことをしているのか気になりますよね。「入船整形外科リハビリテーションクリニック」の稲田先生に、日常生活でできる腰痛の予防法を伝授していただきました。
監修医師:
稲田 大悟(入船整形外科リハビリテーションクリニック)
目次 -INDEX-
腰痛の原因
編集部
一体なぜ、腰痛が起きるのですか?
稲田先生
腰痛の原因は、多岐にわたります。例えば、腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患が原因になることもありますし、中腰や猫背などの姿勢を長時間続けたことが原因かもしれません。そのほか、細菌感染やがん、内臓疾患などが原因で腰痛になることもあります。
編集部
様々な原因が考えられるのですね。
稲田先生
そうですね。腰痛といっても、痛む場所は人それぞれで、肋骨の下あたりが痛む人もいれば、お尻の下あたりが痛む人もいます。また、腰には様々な組織や神経が通っているので「腰が痛いと思っていても、じつはお尻から痛みが生じていた」というケースもあり、原因を見つけるのが困難な場合もあります。
編集部
腰痛に悩まされているときは、どうしたらいいですか?
稲田先生
急な腰痛が起きたらときは安静にするよりも、ある程度の活動性を維持することが推奨されています。ただし、長期間痛みが持続する場合には、整形外科を受診しましょう。
編集部
腰痛はとても一般的な疾患で、「わざわざ受診するなんて」と思う人も多いかもしれません。
稲田先生
たしかにそうかもしれませんね。しかし、もしかしたら気づかないうちに圧迫骨折が起きているかもしれませんし、内臓の疾患が原因で腰痛が起きている可能性もあります。また、腰痛に加えて、足の痺れなどの神経症状が出ている場合にも、早めに受診することをおすすめします。
腰痛の治療法
編集部
腰痛を予防することはできるのでしょうか?
稲田先生
原因にもよりますが、腰痛を予防することはできます。ただし、そのためには検査をおこない、腰痛の原因を明確にすることが大切です。
編集部
どのような検査が必要ですか?
稲田先生
レントゲン検査やMRI検査などをおこないます。特に、しびれや麻痺などの神経症状がみられる場合はMRI検査をおこない、神経の状態を確認する必要があります。そのほか、骨の評価が必要な場合にはCT検査もおこないます。
編集部
様々な検査が必要なのですね。
稲田先生
それから、圧迫骨折が起きている場合には骨粗しょう症の有無を調べるため、骨密度を測定することもあります。また、場合によっては骨シンチグラフィや、血液・尿検査などの検査をおこなうこともあります。
編集部
原因がわかったら、それに応じた治療をおこなうのですね。
稲田先生
はい。腰痛を引き起こす脊椎の疾患には腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症、椎間関節症、変形性腰椎症、脊椎側弯症など様々ありますが、基本的にこれらの疾患を治療することで腰痛の改善が期待できます。
編集部
検査の結果、原因が見つかることが多いのですか?
稲田先生
いいえ。現実的にはこうした病気がないにもかかわらず腰痛が起きている、いわゆる慢性腰痛のケースが大半です。そのようなときには、検査をおこなっても原因を特定することは困難です。その場合、薬物療法や運動療法などで症状の改善を目指す治療がおこなわれます。
編集部
薬物療法や運動療法のほかに、どのような治療法がありますか?
稲田先生
患部を温めたり、電気刺激を加えたり、牽引したりする物理療法がおこなわれることもあります。また、コルセットなどの装具を着用する治療法もあります。
整形外科医が実践している腰痛の予防法
編集部
慢性腰痛の場合、どのようにしたら腰痛を予防することができますか?
稲田先生
まず大事なのは、姿勢に気をつけるということです。特に座っているときの姿勢が悪いと、腰に負担となることが多くなります。また、腰への負担を軽減するため、「中腰の姿勢を長く取らない」「ハイヒールを履かない」といった心がけも重要です。
編集部
そのほか、腰痛予防のために必要なことはありますか?
稲田先生
腰痛はストレスとも関連があり、心理的ストレスが強いと腰痛の症状も悪化することが判明しています。これは、ストレスが脳に与える影響が原因と考えられています。ストレスが溜まりがちな場合には、上手に発散する方法を見つけてストレスを溜めないように気をつけましょう。また、適度に運動したり、ストレッチしたりすることも腰痛の予防には必要です。
編集部
身体のプロである先生は、どのようにして腰痛を予防しているのですか?
稲田先生
私自身は、診察中でも1時間に1回は立ち上がって、腰を伸ばすということを日頃から心がけています。これだけでも腰の疲労が取れ、腰回りの筋肉がストレッチされます。
編集部
ほかにはありますか?
稲田先生
毎朝、クリニックまで徒歩で通勤しているのですが、そのときに腹筋を意識した歩き方をしています。現代人はどうしても骨盤が後傾し、腹圧が抜けがちです。しかし、腰の安定性を保ったり、腰の負担を軽減したりするためには、腹筋が必要です。そのため、歩いているときから自然と腹圧を意識することが、腰痛予防につながると考えています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
稲田先生
腰痛自体はありふれた症状で、多くの場合、心配はいりません。しかし、なかには病気が隠れていることもあります。なかなか腰痛が治らない場合はぜひ、整形外科に相談してください。腰痛自体は慢性的なものが多く、上手に付き合っていかなければならないものもあります。整形外科を受診すれば、腰痛との付き合い方に対してアドバイスももらえますから、ぜひ、「わざわざ腰痛くらいで病院なんて……」と思わず、気軽に受診してみてください。
編集部まとめ
現代の日本人にとって、腰痛は国民病とも言えるでしょう。しかし、腰痛があることで日常生活の質が低下したり、旅行やスポーツなどやりたいことができなくなったりすることもあります。腰痛に悩んでいる人はぜひ一度、整形外科を受診してみましょう。
医院情報
所在地 | 〒279-0012 千葉県浦安市入船4-1-1 新浦安中央ビル4階 |
アクセス | JR「新浦安駅」 徒歩6分 |
診療科目 | 整形外科、リハビリテーション科 |