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赤ちゃんの「頭の歪み」 もしかしたら病気かも!? 受診のサインや対処法も医師が解説!

 更新日:2024/09/17

赤ちゃんの頭の形についての話題は、最近よく耳にしますよね。頭の変形や歪みが気になりつつ、なんとなく「遺伝じゃない?」「そのうち良くなるかも」と放置しているケースも多いようですが、中には病気が原因である可能性もあるそうです。今回は、赤ちゃんの頭が変形する原因やリスク、対策について、「さくら脳神経クリニック」の小池先生に解説していただきました。

小池 和成

監修医師
小池 和成(さくら脳神経クリニック)

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北里大学医学部卒業。その後、国立病院機構東京医療センター、東京都済生会中央病院、東京歯科大学市川総合病院、慶應義塾大学などで経験を積む。2022年、神奈川県横浜市に「さくら脳神経クリニック」を開院。日本脳神経外科学会専門医。日本脳卒中学会、日本頭痛学会の各会員。日本医師会認定産業医、難病指定医。

赤ちゃんの頭の形はどう決まる?

赤ちゃんの頭の形はどう決まる?

編集部編集部

赤ちゃんの頭の形は、どのように作られるのですか?

小池 和成先生小池先生

生後1歳2~3カ月頃までの赤ちゃんの頭蓋骨は、パーツが完全につながっておらず、脳の表面に隙間を開けて並んでいます。脳や体の成長に伴って頭の骨も成長・拡大していき、1歳~1歳半を目安に骨のパーツの隙間が徐々に骨化し、つながっていきます。

編集部編集部

頭の形が歪んでしまうこともあるのですか?

小池 和成先生小池先生

やはり、そのようなケースはあります。歪んでしまう原因によって、対処が必要なものとそうでないものがあります。

編集部編集部

どのような原因で歪んでしまうのですか?

小池 和成先生小池先生

例えば、出産前や出産時の要因としては、多胎妊娠などでスペースが狭くなった場合や、吸引分娩の際に吸引カップで頭をひっぱったときなどに歪むことがあると言われています。ただし、これらが必ずしも頭の歪みに直結するとは言い切れません。

編集部編集部

ほかには、どのような原因がありますか?

小池 和成先生小池先生

よく言われているのが、生後間もない時期の「向き癖」や「寝癖」です。赤ちゃんが寝ているときや、抱っこしているときに、頭がいつも同じ方向を向いている状態のことです。そのときに後頭部の同じ面ばかりが下になると、頭蓋骨の一部分だけに圧力がかかり続け、頭の形が歪んでしまうのです。意識して頭の向きを変えてあげることや、枕を使うことで防ぐことができる場合もあります。

治療が必要とされる赤ちゃんの頭の変形・歪みとは?

 治療が必要とされる赤ちゃんの頭の変形・歪みとは?

編集部編集部

では、早期に治療した方がいい歪みもあるのですか?

小池 和成先生小池先生

先天的な異常によって起こる病気の症状として頭蓋骨異常が生じ、頭の歪みが引き起こされることがあります。この場合には、脳の発達に影響を及ぼすリスクがあるため、早期診断・早期治療が必要となります。

編集部編集部

例えば、どのような病気がありますか?

小池 和成先生小池先生

頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」が一例として挙げられます。1歳半~2歳を目安に骨のパーツの隙間が徐々に骨化してつながると先ほど説明しましたが、このいわゆる「癒合」がなんらかの原因で部分的に早く起きてしまうことがあり、これを頭蓋骨縫合早期癒合症と呼んでいます。早く癒合した骨は脳の成長に対応できず、結果的に頭蓋骨全体が歪んでしまうのです。

編集部編集部

ほかにもありますか?

小池 和成先生小池先生

水頭症」という病気もあります。水頭症は、頭の中に溜まっている髄液の循環や吸収に異常が起き、水が溜まって頭が大きくなってしまう病気です。これらの病気の場合は、早期の診断と治療が必要です。

頭の変形や歪みはどこに相談したらいい?

頭の変形や歪みはどこに相談したらいい?

編集部編集部

子どもの頭の形が気になったら、どこに相談すればいいのでしょうか?

小池 和成先生小池先生

自治体での検診のタイミングが合えば、その際に相談してみるといいかもしれません。心配であれば、早めに医療機関を受診しましょう。小児科や脳神経外科などでも相談に乗ってくれるところがありますし、数は少ないですが「子どもの頭の形外来」といった専門の外来があるクリニックもあります。

編集部編集部

そこではどのような診察・治療をするのですか?

小池 和成先生小池先生

まずは、先ほど解説したような病気などはないか、専門的な治療が必要かのスクリーニングをおこないます。問診や視診、必要に応じて画像診断などで詳しく調べることもあります。その結果、さらなる検査が必要な場合は、専門の医療機関を紹介するという流れです。

編集部編集部

病気ではない頭の変形は、どうするのでしょうか?

小池 和成先生小池先生

程度によっては、そのまま経過観察とする場合もあります。ただ、病気ではないとなった場合でも、放っておくと頭の形が歪んだまま成長し、見た目のコンプレックスになったり、生活に必要なメガネや安全のためのヘルメットが上手く装着できずに困ったり、姿勢や噛み合わせなどに影響が出てきたりする可能性もあります。保険適用外にはなりますが、ヘルメットによる治療を検討する場合もあります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小池 和成先生小池先生

頭の骨は、とても大事な部分であるにもかかわらず、頭の形を相談できる医療機関は非常に少ないというのが日本の現状です。検診で相談しただけでは、専門医につながらず、「経過観察」となったまま悪化してしまうケースもあるようです。心配であれば病気かないかの確認だけでも、専門機関を受診してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

「赤ちゃんの頭の形」について解説していただきました。審美的な問題だけではなく、病気が隠れている場合や、将来的な姿勢や噛み合わせに影響する場合もあるのですね。数は少ないものの、赤ちゃんの頭の形を専門的に見てくれる医療機関があるとのことです。気になる人は一度相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

さくら脳神経クリニック

さくら脳神経クリニック
所在地 〒244-0841 神奈川県横浜市栄区長沼町188-8
アクセス JR「戸塚駅」 バスで8分
診療科目 脳神経外科

この記事の監修医師