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子どもの「胃腸炎」はどれくらいで治るかご存じですか? 対処法・脱水症状のサインも医師が解説!

 公開日:2024/09/05

嘔吐や下痢などの症状が続く胃腸炎は、子どもの疾患の中では珍しくないものですが、体が小さな子どもの場合は脱水症状のリスクもあります。今回は、子どもが脱水症状を引き起こした際、どのように看病すればいいのかについて「きむらクリニック ファミリー棟」の木村先生に教えていただきました。

木村 将裕

監修医師
木村 将裕(きむらクリニック ファミリー棟)

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岩手医科大学医学部卒業。その後、東京医科大学病院小児科・思春期科、荻窪病院小児科などに勤務。2024年、東京都江戸川区に「きむらクリニック ファミリー棟」を開院。日本小児科学会専門医、日本小児感染症学会認定医。

子どもの胃腸炎には脱水症状のリスクがある

子どもの胃腸炎には脱水症状のリスクがある

編集部編集部

「子どもの胃腸炎は、脱水を起こすリスクが高い」と聞きました。

木村 将裕先生木村先生

そうですね。子どもが胃腸炎を発症すると、下痢や嘔吐などの症状が続きます。すると、体内から水分が奪われ、脱水が起きることもあるのです。

編集部編集部

なぜ、子どもに脱水が起きるのですか?

木村 将裕先生木村先生

大人と比べて子どもは、体内でたくさんの水分を必要とするためです。また、子どものうちは体内の水分量を調節する機能も未発達なため、脱水症状を引き起こすやすくなります。

編集部編集部

脱水が起きると、どのような症状がみられますか?

木村 将裕先生木村先生

例えば、以下の症状がみられることがあります。このような場合には、できるだけ早く小児科を受診しましょう。

  • 熱があるのに汗をかいていない
  • 唇や皮膚がカサカサしている
  • 尿が出ない、あるいは尿量が極端に少ない
  • 目がくぼんでいる
  • 泣いても涙が出ていない
  • 機嫌が悪い、元気がない
  • 食欲がない
  • フラフラしている
  • 呼びかけても反応が悪い

    脱水を起こさないために気をつけること

    脱水を起こさないために気をつけること

    編集部編集部

    脱水を起こさないために、気をつけなければいけないことは何ですか?

    木村 将裕先生木村先生

    胃腸炎などが原因となって嘔吐と下痢を繰り返している場合には、経口補水液を摂取させるようにしましょう。経口補水液には、塩などの電解質や糖分がバランスよく含まれています。

    編集部編集部

    経口補水液がない場合は、どうしたらいいでしょうか?

    木村 将裕先生木村先生

    塩分を含んでいない炭酸飲料、果実ジュースなどを避けて、塩分を含んだ重湯、おかゆ、野菜スープ、チキンスープなどで代替してもいいでしょう。

    編集部編集部

    どのタイミングで与えればいいですか?

    木村 将裕先生木村先生

    嘔吐した直後はすぐに水分を与えず、1〜2時間くらい経過したら少量ずつゆっくり与えるようにしてください。はじめはスプーン1杯程度、またはペットボトルのキャップ1杯分程度から与え始め、5〜10分の間隔で飲ませ続けましょう。

    編集部編集部

    どれくらいの量を飲ませればいいのでしょうか?

    木村 将裕先生木村先生

    一般に、体重1kgあたり50〜75mlを飲ませるのがいいとされています。ただし、一気に飲むと再び嘔吐してしまい、ますます体内から電解質が奪われてしまうので、少量ずつ与えるようにしましょう。約4時間かけて、飲み終えるのが目安とされています。

    編集部編集部

    そのほか、気をつけるべきことはありますか?

    木村 将裕先生木村先生

    嘔吐せず水分をとれるようになったら、無理をしない範囲でうどんやパン、お米などの糖質を与えます。糖質を取ることでだるさが抜け、体力の回復が早くなります。

    編集部編集部

    普段、母乳を与えている赤ちゃんの場合はどうしたらいいでしょうか?

    木村 将裕先生木村先生

    嘔吐せず水分を摂取できるようになったら、母乳を与えるようにしましょう。

    急性胃腸炎はなぜ起きる?

    急性胃腸炎はなぜ起きる?

    編集部編集部

    子どもの急性胃腸炎はなぜ起きるのでしょうか?

    木村 将裕先生木村先生

    多くの場合、ウイルスや細菌に感染することで起こります。代表的なものが「ロタウイルス」と「ノロウイルス」です。一般的にロタウイルスは冬から春まで、ノロウイルスは11月から冬にかけて感染するとされています。ただし、近年はそれだけでなく、季節を問わず胃腸炎が発生している印象もあります。

    編集部編集部

    どれくらいで症状が治るのですか?

    木村 将裕先生木村先生

    一般に、嘔吐は長くても1〜2日程度、下痢は3〜7日程度で治ると言われています。ノロウイルスでもロタウイルスでも治療法は変わらず、現在、特効薬はありません。そのため、治療は脱水に気をつけながら、自然に症状が軽快するのを待つことになります。

    編集部編集部

    受診の目安を教えてください。

    木村 将裕先生木村先生

    発熱や嘔吐などが続いてぐったりしている、または脱水の症状があれば、早めに受診しましょう。場合によっては急性胃腸炎ではなく、ほかの病気が関係していることも考えられます。特に意識障害がみられたり、嘔吐が止まらなかったりする場合には、できるだけ早く受診することをおすすめします。

    編集部編集部

    最後に、読者へのメッセージをお願いします。

    木村 将裕先生木村先生

    ウイルス性胃腸炎の感染経路は、主にウイルスがついた水や食物、手などを介してうつる「接触感染」とされています。特に患者の嘔吐物や下痢などの排泄物にウイルスが多く含まれているので、それらに触れたら必ず石鹸や流水で念入りに手を洗いましょう。そうすることが、感染の拡大予防につながります。また、水分を補給するときには塩分が重要です。自宅で水分補給をするためには脱水を予防するため、必ず経口補水液を与えるようにしましょう。

    編集部まとめ

    大人と比べて子どもは体内の水分量が多いため、下痢や嘔吐などが続くと脱水を起こしやすいとのことでした。胃腸炎の症状がみられたら、常に脱水に気をつけましょう。そして、脱水の症状に気づいたら、重篤になる前に医療機関へ受診してください。

    医院情報

    きむらクリニック ファミリー棟

    きむらクリニック ファミリー棟
    所在地 〒132-0023東京都江戸川区西一之江3-35-5
    アクセス 都営地下鉄新宿線「一之江駅」 徒歩10分
    診療科目 小児科、内科

    この記事の監修医師