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マンモグラフィは痛いのになぜ圧迫して撮影するのかご存じですか? 楽に受けるコツはある?

 公開日:2024/06/17
マンモグラフィは痛いのになぜ圧迫して撮影するのかご存じですか? 楽に受けるコツはある?

乳がん検診でマンモグラフィの検査を受けた女性の中で、「圧迫されて痛い」と感じた人も多いはず。一体、マンモグラフィはなぜ、強い力で胸を圧迫するのでしょうか。検査の仕組みやその理由について、めぐみ乳腺クリニックの竹原先生に教えてもらいました。

竹原 めぐみ

監修医師
竹原 めぐみ(めぐみ乳腺クリニック)

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1996年北里大学医学部医学科卒業、2001年北海道大学大学院医学研究科外科系専攻博士課程修了。北海道地方がんセンター(現・国立病院機構北海道がんセンター)乳腺外科、自治医科大学附属病院乳腺科、宇都宮セントラルクリニック乳腺外科、栃木県内複数の病院にて乳腺専門外来を担当。2023年10月めぐみ乳腺クリニック開院。日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本乳癌検診学会会員、精度管理中央機構マンモグラフィ読影認定医師・講師、精度管理中央機構乳がん検診超音波検査実施・判定医師。

マンモグラフィとはどのような検査なのか?

マンモグラフィとはどのような検査なのか?

編集部編集部

マンモグラフィとはどのような検査ですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

簡単に言えば、乳房専用のレントゲン検査のことです。専用のレントゲン装置を使って乳房を挟んで圧迫し、乳房の内部を写し出します。

編集部編集部

マンモグラフィは痛いというイメージがあります。なぜ、強く圧迫するのですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

なぜかというと、マンモグラフィの検査では乳房を薄く広げてしっかり固定することで、乳腺をきれいに写し出すことができるためです。そのように撮影することによって、病変を見つけやすくなります。同時に乳房を圧迫して薄くすることで、乳房に対する被ばく量を減らすこともできます。

編集部編集部

乳腺とはなんですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

乳腺とは乳頭を中心に、乳房内に放射状に広がる組織のことで、母乳を作るという大切な役割を担っています。もっと細かく分けると、母乳を分泌するための小葉、母乳を運ぶ乳管、授乳するための乳頭という3つの組織によって乳腺は構成されています。

編集部編集部

なぜ、マンモグラフィでは乳腺を写すのですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

乳がんは乳腺から発生するためです。乳がんの9割は乳管から発生し、1割程度は小葉から発生します。乳腺は乳頭から15〜20個の腺葉(腺葉とは、小葉と乳管の集まりの単位で、1つの単位が最終的に乳頭の母乳が分泌される1つの出口になっています)が放射状に広がって構成されています。マンモグラフィではこの乳腺を写し出して、しこりや石灰化、正常と違う見え方をするものがないかを観察し、病変の有無を確認します。

マンモグラフィの仕組みを解説

マンモグラフィの仕組みを解説

編集部編集部

乳腺をきれいに観察するために、なぜ圧迫しなければならないのですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

マンモグラフィでは乳腺は白く写り、病変はより白く写るものが多いのですが、乳房を圧迫せずにそのままレントゲン撮影をすると、乳腺同士が重なってしまい、病変を見つけにくくなるからです。そのためマンモグラフィの検査ではまず乳房を薄く広げ、それを専用の圧迫板で固定して撮影します。そうすることで乳腺の重なりが少なくなり、きれいに撮影できるのです。

編集部編集部

人によって、圧迫された時に痛みを感じる人と感じない人がいるようです。

竹原 めぐみ先生竹原先生

はい、確かに痛みを感じる程度には個人差があります。一般的に、痛みを感じやすいか、感じにくいかは、乳腺の量や生理周期に伴う乳腺の張り、肋骨の形などが影響するとされています。

編集部編集部

マンモグラフィの検査では、がん以外にどんな異常を見つけることができるのですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

がんのほかにも、良性のしこりや良性の石灰化が見えることもあります。明らかに良性であることがわかる場合には再検査は不要ですが、良性か悪性か判断に迷う場合には再検査(精密検査)が必要になります。

編集部編集部

再検査ではどのようなことを行うのですか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

初回の検査結果にもよりますが、もう一度マンモグラフィの検査を行うこともあります。というのも、マンモグラフィは立体の乳房を挟んで潰して撮影し、平面の写真にしているので、挟み方や重なり方が変われば、初回の検査で見えていた病変らしきものが見えなくなることもあるからです。初回に指摘された病変が同じように見えるのかどうかをチェックしたり、撮影する方向を変えた方法で行ったりすることもあります。また、エコー(超音波)検査を行うこともあります。

編集部編集部

再検査でもマンモグラフィやエコー検査を行うのですね。

竹原 めぐみ先生竹原先生

はい、そのうえで病変が見える場合には、細胞や組織を取る検査を行います。そのほか、エコー検査などではわからない場合や、乳がんかどうかの判定に迷うような場合には乳房のMRI検査を行うこともあります。ただし、病変がある場合でも去年や一昨年の検査でも同様の見え方であれば、がんを疑わないという判断がなされ、再検査が不要になります。ですので、同じ施設で継続して検査を受けることは過去の検査と比較ができるため大きなメリットになります。

マンモグラフィを楽に受けるためのコツはある?

マンモグラフィを楽に受けるためのコツはある?

編集部編集部

「痛みが怖くてマンモグラフィを受けたくない」という女性もいます。どうしたら楽に受けられるでしょうか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

あまり緊張せず、肩に力を入れないで受けることをお勧めします。深呼吸をして体の力を抜き、できるだけリラックスするように心がけましょう。

編集部編集部

ほかに、楽に受けるためのコツはありますか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

乳房や乳腺は女性ホルモンの変化に敏感で、排卵から生理までの間は乳腺が授乳するための準備として発達するため、乳房を圧迫されてもされなくても痛みが生じることがあります。そのため普段から乳房の痛みを感じやすい人の場合は、マンモグラフィ検査を受けるのは生理が終わった頃が一番乳腺が柔らかくなるので、楽だと思います。

編集部編集部

マンモグラフィを受けられない人はいますか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

シリコンバッグによる豊胸手術を受けた人や、妊娠中もしくは妊娠している可能性がある人は受けることができません。授乳中の場合は、授乳回数や母乳の量などによるので相談してみてください。また、1年以内に胸部の手術をした人や、ペースメーカーやカテーテルなど、圧迫した際に破損する恐れがある医療器具を体内に埋め込んでいる人も受けられません。

編集部編集部

マンモグラフィが痛くて受けられないという場合には、エコー検査を受けても良いでしょうか?

竹原 めぐみ先生竹原先生

エコー検査も乳がんを発見するには有用な検査ですが、エコー検査とマンモグラフィでは得意とする見えやすい病変が多少異なりますので、必ずしも代替となるわけではありません。また、「継続的に検診を受けることによって乳がんの死亡率が下がる」と科学的に立証されているのは、現在のところマンモグラフィだけになっています。そのため、乳がんを発症する確率が高くなる40歳代以降の検査では主にマンモグラフィを受け、より精密な検査を希望する場合には追加でエコー検査を受けることを検討するのが良いと思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

竹原 めぐみ先生竹原先生

マンモグラフィ検査は、痛いし恥ずかしいし、できれば受けたくないと思っている方は少なくないと思います。しかし、マンモグラフィは早期の乳がんを発見するために非常に有用な検査です。もちろん痛くないとは言えませんが、放射線技師とお話をしながらリラックスして撮影することもできますので、まずは一度検査を受けてみましょう。前回痛みが強かった場合は医師や技師に相談してみるのも一つの方法です。

編集部まとめ

マンモグラフィの検査は痛みが強いので、もう受けたくないと考えている女性も多いと思います。しかし痛みのために検査を受けずにいると、がんを見逃してしまうことも。検査を受ける時期を工夫するなどして、痛みを軽減することは可能です。もしどうしても痛みが耐えられない場合には、医師に相談してみると良いでしょう。

医院情報

めぐみ乳腺クリニック

めぐみ乳腺クリニック
所在地 〒329-0414 栃木県下野市小金井2609
アクセス JR「自治医大」駅より徒歩8分
診療科目 乳腺外科、内科

この記事の監修医師