最初の検査から4年後の26歳でついに”甲状腺濾胞がん”と診断。「がんに年齢は関係ない」【闘病体験】(1/2ページ)

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甲状腺濾胞(ろほう)がんとは、甲状腺を構成する濾胞細胞とよばれる部位から発生する悪性腫瘍で、ゆっくり進行するのでおとなしいタイプのがんと言われます。甲状腺がんの中でも甲状腺濾胞がんは全体の5%で、自覚症状もほぼないそうです。今回は、甲状腺濾胞がんと診断されたNさんに、発症までの経緯や治療、闘病生活について詳しく聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年9月取材。

体験者プロフィール:
Nさん(仮称)
1997年生まれ。宮崎県在住。家族構成は、父、母、弟。診断時の職業は自営業。2023年3月に「甲状腺濾胞(ろほう)がん」が発覚し、手術を受ける。現在は投薬治療を続けて経過観察をしながら、仕事を再開している。

記事監修:
森崎 剛史(耳鼻咽喉科専門医/内分泌外科専門医)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
問題ないと思っていたら……「手術か経過観察か」治療方針を委ねられ、手術を選択

編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
Nさん
実は、がんが発覚する4年前に受けた検査で「甲状腺にしこりがあるが良性だろう」と医師に言われたことがありました。その時行った細胞診はクラスⅢでしたが、良性が9割だからあまり気にしなくていいと言われたので普段通りの生活を送っていました。そして、4年ほど経過してしこりが気になるようになった時に「腫瘍が悪性である可能性が高い」と改めて診断されました。
編集部
自覚症状などはあったのでしょうか?
Nさん
年数を重ねるごとにだんだんしこりが大きくなるスピードが早いなとは感じましたが、それ以外は何もありませんでした。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
Nさん
率直に「手術か経過観察か選んでください」と言われました。甲状腺がんの中でも濾胞がんは細胞診での確定診断が難しく、患者にどちらにするか判断を委ねるケースが多いそうです。転移するスピードが速いわけではないので急がなくていいとも言われましたが、正直判断が自分に委ねられたのは予想外で不安でした。
編集部
最終的にどのような判断をされたのでしょうか?
Nさん
手術の選択をしました。経過観察もできるとはいえ、その間に転移などのリスクもあると言われたためです。結果的に手術を選択して正解でした。
なんで私が……? 孤独と不安に押しつぶされそうな日々

編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
Nさん
4年も前からしこりがあったにも関わらず、それ以降の検診で一度も引っかからなかったのになぜ……という思いが強かったです。なにより、甲状腺がんの中でも9割を占める乳頭がんではなく、5%程度の濾胞がんの疑いだったので、ネットにも情報が少なく孤独と不安が大きかったのを覚えています。周りの同年代の子達は普通に生活しているのに、なんで私だけ……? と思った時もありました。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
Nさん
治療法を決めなければならないことから戸惑いもあり、 精神的に余裕がなくなった時期もありましたが、今まで以上に日々を大切に過ごすようになりました。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
Nさん
私の職業柄、自身の経験をお客様に話すことが多いので、「どんな経験も誰かのためになる」と思いながら過ごしていました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
Nさん
「落ち着いて、1日1日を大切に過ごしてほしい」「身体をもっと大切にしてほしい」です。多少のことは無理してでもやる性格だったのですが、「身体の声をよく聞いて」と一番伝えたいですね。