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乳がん早期発見のための「4つのポイント」とセルフチェック法を医師が解説

 公開日:2023/12/28
乳がん早期発見のためのセルフチェック法を医師が解説 生存率・治癒率が上げる検診・検査の重要性

「がん」は早期発見・早期治療ができれば、今や「不治の病」ではなくなりました。そこで乳がんの早期発見方法と生存率・治癒率が上がる初期乳がんの検診・検査とセルフチェックの重要性について、乳腺専門医の田中義人先生(ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

田中 義人

監修医師
田中 義人(ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪)

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2002年、関西医科大学を卒業し、同年関西医科大学 形成外科入局。その後、岡山大学病院形成外科や関西医科大学形成外科などで研鑽を積み、2014年には関西医科大学総合医療センター ブレストセンターの副センター長となる。2022年5月、乳腺外科と形成外科の専門的な治療を行う「ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪」を開院、院長となる。日本乳癌学会乳腺専門医、日本形成外科学会専門医、日本臨床皮膚外科学会専門医、日本がん治療認定医機構認定医。

乳がんはどんな病気? 日本女性が罹患するがんの第1位って本当? 治療で完治させられる?

乳がんはどんな病気? 日本女性が罹患するがんの第1位って本当? 治療で完治させられる?

編集部編集部

「乳がん」とはどんな病気ですか?

田中 義人先生田中先生

乳がんは、乳房の「乳腺」という組織にできるがんです。女性にとって最も罹りやすいがんの一つですが、一部の男性にも発症することがあります。

編集部編集部

乳がんを患う方は多いのですか?

田中 義人先生田中先生

はい。女性はとても多いです。乳がんに⽇本⼈⼥性がかかる割合(罹患率)は、がんの中で最も⾼く、さらに年々増加しています。最近のデータでは、毎年9万⼈以上が新たに乳がんにかかると言われています。

編集部編集部

どんな症状が出るのですか?

田中 義人先生田中先生

乳がんの初期症状はほとんどありません。進行すると、しこりや乳房の張り、変形(くぼみ)、乳首からの分泌物、乳房の皮膚の変化(赤み、乳頭の陥凹など)が見られます。

編集部編集部

乳がんは治療で治すことができますか?

田中 義人先生田中先生

初期の段階で発見されれば、治癒が期待できます。一般的に、がんの発見が遅くなればなるほど、治癒する可能性が低くなります。

乳がんは早期発見が大事と言われる理由を医師が解説 初期の乳がんを発見するにはどんな検査・検診が必要?

乳がんは早期発見が大事と言われる理由を医師が解説 初期の乳がんを発見するにはどんな検査・検診が必要?

編集部編集部

やはり、早期発見が大事なのですね。

田中 義人先生田中先生

その通りです。ほとんどの場合初期段階では腫瘍が小さく、周囲の組織やリンパ節への転移がまだ進んでいないため、手術と術後の補助療法によってがん細胞を死滅できる可能性が高くなります。また、早期に発見できれば、乳房を温存できる可能性も高くなります。

編集部編集部

乳がんを早期発見するためには、どうしたら良いのでしょう?

田中 義人先生田中先生

普段から乳がんを他人ごとだと考えず、ご自身の乳房を意識する生活習慣が大事です。ブレスト・アウェアネス」という言葉があるのですが、これは「日頃から乳房の状態を意識する生活習慣」のことで、4つのポイントがあります。

編集部編集部

ぜひ知りたいです。

田中 義人先生田中先生

  • 普段から自分の乳房をチェックしましょう。
  • 乳房の変化に気を付けましょう。
  • 気になる変化に気づいたときには、検診を待たずにすぐに乳腺外来のある医療機関を受診しましょう。
  • 自覚症状がなくても、40歳から2年に1回、定期的に検診を受診しましょう。

この4つが、乳がんを早期発見するために大切な生活習慣です。

編集部編集部

なるほど。定期的に検診を受けるだけでなく、自分でも乳房の変化に気づけるようになることが大事なのですね。

田中 義人先生田中先生

はい。「乳がんかどうか」を見極めようとする必要はありません。ただし、いつもの乳房の状態を知らなければ、変化があったときにすぐに気づくことができません。ですから、変化に気づくために普段から自分の乳房をチェックしていただきたいのです。

乳がんの早期発見に役立つセルフチェック 生理が終わって1週間後に行うといいって本当?

乳がんの早期発見に役立つセルフチェック 生理が終わって1週間後に行うといいって本当?

編集部編集部

では、チェックするときのポイントを教えてください。

田中 義人先生田中先生

まずは、両手を高くあげたり、だらんと下ろしたりしてみて、乳房や周りの皮膚の「ひきつれ」や「くぼみ」などがないかを見ます。次に、実際に触ってみてチェックを行います。

編集部編集部

やり方の一例も、ありましたら教えてください。

田中 義人先生田中先生

3~4本の指をそろえ、「の」の字を書くようにして、乳房全体をゆっくりチェックします。普段と違わないかをチェックしてもらえれば十分なのですが、もししこりがないかも確認するのであれば、「乳房の外側上部」を特に注意して確認してみてください。ほかには、乳首からの分泌物や、脇の下に塊がないかを見ておくのもおすすめです。

編集部編集部

チェックするのはいつごろが良いのでしょう?

田中 義人先生田中先生

女性は、月経前には乳房の張りを感じ、月経後半には張りが減少していきますので、一般的な乳がん検診でのチェックのタイミングは、月経終了後1週間程度が良いとされています。しかし、ご自分で行う場合は、「習慣づけ」が大事なので、あまり神経質に考えず、気が付いたときにチェックするだけでも十分です。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

田中 義人先生田中先生

乳がんの好発年齢は、40代後半〜50代前半と言われています。女性にとって、子育てなどで忙しい時期にピークがくる傾向にありますので、普段から「ブレスト・アウェアネス」をライフスタイルに取り入れていくことが大切です。さらに、60代になっても、がんの罹患率が大幅に下がるわけではありません。60代以降の方も、「私は関係ない」と思わずに、生活の中でのチェックや定期的ながん検診の受検を心がけてください。

編集部まとめ

一般人「がんを見つける」のは難しそうですが、「普段との違いに気づく」ことなら素人でもできそうです。女性にとって最も罹りやすいがんである「乳がん」について正しく知り、早期発見・早期治療につなげていきたいですね。

医院情報

ソワカ乳腺形成外科クリニック大阪

ソワカ乳腺形成外科クリニック大阪
所在地 〒540-0011 大阪府大阪市中央区農人橋1丁目1-22 大江ビル1F
アクセス 大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅8番出口すぐ
京阪電車「天満橋」駅より900m
診療科目 乳腺外科、形成外科

この記事の監修医師