塩分が気になる「梅干し」を健康的に食べるポイントは? 【管理栄養士解説】
「梅干しは健康に良い」と昔からよくいわれており、風邪予防や熱中症対策を期待して食べている方も多いのではないでしょうか。しかし、梅干しは塩分が多いのでどのくらい食べたらいいのかわからない、という疑問もあります。そこで今回は、塩分は高いものの健康に良いと言われる梅干しを食事に取り入れるコツについて管理栄養士の栗城さんに解説していただきました。
監修管理栄養士:
栗城 智子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
梅干しにはどのくらい塩分が含まれている? ほかに含まれる栄養素・健康効果についても解説
編集部
梅干しに含まれる塩分はどれくらいなのでしょうか?
栗城さん
編集部
塩分3%とはかなり低いですね。減塩商品が出るということは、やはり減塩志向の方が増えているということなのでしょうか?
栗城さん
はい。健康意識の高まりから塩分摂取量を気にする人が増え、付随して「減塩商品」がかなり増えています。梅干しに限らず調味料はほとんどが定番品の隣に「減塩」タイプの商品が並んでいますし、お菓子やカップ麺などの加工品にも減塩のものが増えています。今後もさらに拡大していくマーケットであると思います。
編集部
梅干しの栄養面での良いところを教えてください。
栗城さん
梅干しの酸っぱさは有機酸によるもので、クエン酸やリンゴ酸があります。クエン酸に疲労回復効果があることは有名ですが、ほかにも食欲増進作用やミネラルの吸収を促進する効果もあります。クエン酸は梅干しのほかにも、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類にも含まれています。
塩分過多が健康に与える影響を解説 どのような症状・疾患が考えられる?
編集部
梅干しに良い効果があるのであれば積極的に摂取したいですが、塩分が多いとどのような問題があるのでしょうか?
栗城さん
食品や調味料から食塩を摂り過ぎると、血液中のナトリウム濃度が高くなります。塩辛いものを食べるとお茶やお水が欲しいという体験をされたことがあると思いますが、そうして水分を多く摂ると体の中での循環する血液量が増え、血管の壁を押す力が強まり、血圧が上がります。このようにしてむくみや高血圧になりやすくなります。
編集部
1日の塩分摂取量はどのくらいがよいのでしょうか?
栗城さん
一方で現代の20歳以上の日本人は平均して10.1gの食塩を摂っています。世界の目標に届くにはなかなか難しいですね。
編集部
WHOの目標を守るためには、今摂取している食塩の量を半分にしなくてはいけませんね。
栗城さん
はい。以前は日本人の平均塩分摂取量が下がった時期もありましたが、最近は横ばい傾向です。和食はどうしても味噌や醤油などの調味料から塩分を摂りがちなので、意識して減塩していきたいですね。
梅干しを食べる際に塩分を抑えるにはどうしたらいい? 塩分を抜く方法はある? おすすめの食べ合わせ食材を解説
編集部
塩分を摂り過ぎずに梅干しを食べるにはどうしたら良いでしょうか?
栗城さん
梅干しの旨味・酸味・甘味を調味料代わりに使うのはいかがでしょうか。和風パスタの味付けや、さばやいわしなど青魚の梅煮もおすすめです。野菜と合わせてサラダや和え物など副菜にするのも良いでしょう。さばの水煮缶と梅干しの混ぜご飯も美味しいですよ。青じそを添えると彩りもよくなり風味もアップします。
編集部
梅干し自体の塩分を減らす方法もあるのでしょうか?
栗城さん
水に漬けこんで塩分を減らす塩抜きという方法はあります。ほかには、自家製の梅干しであれば塩分を調整しましょう。市販品はそこまで塩分が高いものはなく、水に漬けることでほかの大事なクエン酸などの有益な成分も減ってしまう可能性があるので、塩抜きをするのではなく食べる量に気を付ける方が大切です。
編集部
梅干しと一緒に摂ると良い食材はありますか?
栗城さん
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
栗城さん
梅干しには体に嬉しい栄養素が含まれることはもちろん、実は梅自体にもほかの果物と比べてミネラルなどの栄養素が多いという特徴のある食材です。しかし、梅干しとなると塩分が気になるので1日1粒程度にしましょう。最近の梅干しは減塩タイプやはちみつの甘味で食べやすいものなど種類も豊富です。ぜひ普段の食事に取り入れやすい梅干しを楽しみながら探してみてください。
編集部まとめ
今回は梅干しの健康効果や塩分との付き合い方について教えていただきました。梅干しはクエン酸が豊富で、疲労回復効果だけでなくミネラル吸収の促進作用もあることがわかりました。梅干しの塩分を減らしたいと思う方は、はじめから減塩タイプのものを選ぶのも良さそうです。梅干しの塩分に気をつけつつ、日頃の料理に活用してみましょう。