【闘病】 ステージ4の下咽頭がんでも声帯を残したい…手術後に待ち受けていた過酷なリハビリ生活(2/2ページ)

創作活動が心の支えになってくれた。信じて道を切り開く気持ち

編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
中村さん
私の場合、心の支えになっているのはやはり創作活動です。2021年10月、3度目の手術を終えたあと、旧知の先輩から「今度二人で、がんをテーマにしたトークイベントをやらないか?」と、お誘いをうけました。そして二人で、がんに関するトークショーと、落語やアートなどを交えたイベントを開催したのですが、とても好評だったのです。それをきっかけに、再び私の創作意欲に火が点きました。そして、奇跡的に声を残すことが出来た私は、「声による表現」というものを改めて模索し始め、朗読ユニットを旗揚げしました(詳細はプロフィールに記載)。公演の準備や稽古など、創作活動に携わっている時間は気持ちが前向きになります。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
中村さん
病院から処方されている薬はとくにありません。未だに首筋には大きな傷痕があり、一年前くらいまでは首にスカーフを巻いて傷を隠していましたが、もうやめました。単に面倒くさくなっただけですが、人目を一切気にしなくなったということもあります。闘いに勝った証として、この傷痕は気に入っています。ただしそれとは別で、首には常に強い圧迫感があり、とても苦しいです。もうだいぶ慣れましたが、常に霊からぎゅっと首を絞められているような感じです。
編集部
飲食する際はいかがですか?
中村さん
飲食は以前より困難で、注意しないとすぐに喉が詰まってむせます。柔らかいものばかり食べると慣れてしまうので、多少無理をしてでもいろんなものを食べるように心がけています。
編集部
同じ病気を抱えている人に伝えたいことはありますか?
中村さん
がんの闘病生活はとても長いです。私の場合、家族が突然家を出ていき、一人になってしまい、途方に暮れていたところ、まさかのがん宣告でした。闘病に際し周囲からも思うような支援を得られず、不安や恐怖、孤独感がありました。今でも時々気持ちが落ち込むことはありますが、手術やリハビリを乗り越えて今があります。信じて頑張れば、道が開けていくと思います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
中村さん
これ以上望むことはなく、感謝しています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
中村さん
どんなに辛い状況でも、必ずどこかに一筋の光が見えるときがあります。新しい出会いがあり、新たな人生が広がります。それを信じて前に進むことが一番大事だと思います。
編集部まとめ
俳優として活動されている中村さんにとって、命を取るか声を取るかという選択は非常に心苦しい選択だったと思います。「どうしても声を失いたくない」という強い気持ちからサードオピニオンを受け、無事声を残すことができ、本当によかったです。辛い闘病生活を経て、再び俳優として活躍されている中村さんのように、あきらめずに信じ続けることが大切だと、お話を聞いて感じました。

