傷跡はどのくらい残る? 許容範囲別タトゥー除去方法の選び方
タトゥーは消したいけれど「傷跡が残るのはイヤだ」と考えている方もおられるのではないでしょうか。できるだけ傷跡を残さずにタトゥーを消すためには、どのような施術方法を選択すると良いのでしょうか。タトゥー除去で後悔をしないために、タトゥー除去専門クリニックであるziz CLINICの村岡史子先生に詳しく教えていただきました。
監修医師:
村岡 史子(ziz CLINIC)
タトゥー除去は傷跡が残る?
編集部
タトゥー除去の方法にはどのような種類があるのですか?
村岡先生
大きく分けると、レーザーによる除去と外科的な除去の方法があります。レーザーには種類があり、日本で最も主流なものはピコレーザーと呼ばれるレーザーで、波長にも種類があります。一方で、クリニックによってはほかの機械を用いる場合もあります。外科的除去の方法には、切除、植皮、削皮の3つの方法があり、それぞれメリットとデメリット、適応がありますので患者さんと相談しながら除去方法を決定します。
編集部
タトゥー除去方法を選ぶ際に考慮すべき要素を教えてください。
村岡先生
患者さんが除去方法を考える際は、1.タトゥーの大きさ、2.部位、3.除去までの期間(いつまでに除去したいか)、4.傷跡の程度、5.料金の5つを基準に考えて頂くと良いと思います。診察時の患者さんのご要望と、実際にタトゥーの状態(色、大きさ、部位、色素の深さなど)、肌の状態(傷の有無、肌質など)を診察させていただき最善の方法をご提案させていただきます。
編集部
レーザーによる除去の場合は、傷跡は全く残らないのでしょうか?
村岡先生
大前提として、“タトゥーが入っている時点で肌には傷がついている”ということを知っておいていただきたいですね。その上で、レーザーによる除去では、火傷跡が残るイメージです。火傷跡にも程度がありますが、その患者さんのタトゥーの状態に適していないレーザーを照射し続けると、結果的に除去までの照射回数が増えてしまうので、火傷跡が目立つようになってしまいます。レーザーによる除去は、ただ照射しているわけではなく、診察を元に細かい調整をおこないながら施術を進めていく必要があります。
外科的除去方法の選び方
編集部
切除によるタトゥー除去のメリットやデメリット、適している人について教えてください。
村岡先生
切除は、タトゥー部分の皮膚を切って縫う方法なので、「皮膚が寄ること」が前提になる方法です。適応としては、タトゥーがある範囲の皮膚をつまんだ際に、皮膚がある程度持ち上がる状態の大きさの方です。それ以上に大きい場合は、施術を2回に分ける、もしくは適用外になる場合もあります。メリットは、適応になれば1、2回の施術で除去ができる点です。デメリットは、切開線が残ることに加えて、関節の近くを切除した場合は皮膚が伸び縮みする場所なので、切開線が5mm〜1cm程度広がってしまう可能性がある点です。
編集部
植皮によるタトゥー除去のメリットやデメリット、適している人について教えてください。
村岡先生
植皮は、体のほかの部位から皮膚を持ってきて移植する方法で、基本的に1回の施術で除去できる大きさの場合に適応となるので、短期間で除去できることがメリットです。デメリットは、まず、傷跡が継ぎ接ぎになる点です。例えば、同じ人の皮膚でも部位が異なると、色や質感が違うので違和感が残る可能性もあります。また、植皮の直後は移植した皮膚がずれてしまうと綺麗に着かない場合があります。そのため、関節を動かさないように固定が必要になります。もう1つは、体の別の部位から皮膚を移植するので、傷が増えてしまう点ですね。
編集部
削皮によるタトゥー除去のメリットやデメリット、適している人について教えてください。
村岡先生
削皮は、タトゥーの色素がある深さまで皮膚を削り、皮膚を自然に再生させる方法です。メリットは基本的に1回の施術で終わる点で、外科的な方法ですが皮膚を削るだけなので金額が比較的安くなります。デメリットは、皮膚が自然に再生するといっても、周りの皮膚と同じにならず、瘢痕組織になってしまうので、ほかの方法と比較して傷跡が目立ちやすくなる点です。また、皮膚が再生するまでの期間は生傷のまま生活する形になるので、傷を清潔に保つ必要があります。そのため、自宅での処置が大変になる点もデメリットの1つと言えます。
タトゥー除去のケアについて知る
編集部
傷跡が残る場合でも、後からほかの方法で修復することはできるのでしょうか?
村岡先生
実際にタトゥー除去の傷跡修正のご相談を受ける事もあります。どの様な除去方法をおこなったかによっても変わります。例えば、切除の傷であれば傷を目立たなくするように再度切除して、縫合し直すこともあります。傷が小さければ、レーザーを用いて治療する方法もありますので、様々な傷跡修正の方法がありますが、元の皮膚に戻すことは難しいですね。何らかの跡は残ってしまうことは承知の上で、タトゥー除去を受ける必要があると思います。
編集部
タトゥー除去後のアフターケアで注意すべき点はありますか?
村岡先生
外科的施術後ですが、半年程度は傷が広がりやすくなっているので、テーピングで固定する方法があります。加えて、レーザーによる施術でも同様ですが、清潔、保湿と日焼け止めを使用して、肌のケアをすることは大変重要になります。また、外科的施術の後は、おおよそ1ヶ月後、3ヶ月後、半年程度の頻度で経過観察をして、傷の状態に合わせて追加の施術や傷跡修正をおこないます。一方で、レーザーの場合は、もう少し経過観察の期間は短くなります。
編集部
実際にタトゥー除去をしたいと考え、施術を行う前に知っておくべきことはありますか?
村岡先生
いくつかあるタトゥー除去の方法や、それぞれの特性についてある程度知っておいて頂くと良いかと思います。先に説明した、タトゥーの大きさ、部位、除去までの期間、傷跡の程度、料金、この5つを基準に、優先度を考えて、ご自身にどの除去方法が合うかを意識していただけると施術が円滑に進むと思います。また、除去方法の特性を理解することで、施術後に後悔することも防ぐことができるのではないかと思います。
編集部まとめ
今回は、タトゥー除去による傷跡について詳しく解説していただきました。大前提として、タトゥーが入っている時点で皮膚には傷があるため、除去後に全く傷跡を残さないことは難しいとのことでした。一方で、様々な除去方法があり、それぞれメリットとデメリットも異なる事を学びました。本記事が、自分に適しているタトゥー除去の方法を考えるための一助となっていただけましたら幸いです。
医院情報
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アクセス | 各線渋谷駅 徒歩8分 |
診療科目 | 美容外科‧美容⽪膚科‧形成外科 |