「脂肪吸引」で後悔しないために 起こり得る脂肪吸引の失敗例・デメリットを医師に聞く
効率よく脂肪を落とすことができることで人気が高い「脂肪吸引」。しかし、術後に「後悔した」「失敗した」という声を聞くこともあります。今回は脂肪吸引で後悔や失敗を避けるためには、どのようなことに気をつけて手術を受ければいいのかについて、「豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック」の澤口悠先生に教えていただきました。
監修医師:
澤口 悠(豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック)
目次 -INDEX-
脂肪吸引の施術後に起こり得る具体的な「失敗」「後悔」とは?
編集部
脂肪吸引を受けた後、「失敗した」「後悔している」という話を聞くことがあります。一体なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
澤口先生
脂肪吸引は即効性があり非常に効果の高い痩身メニューである一方、じつは医師の技量によるところが大きいのです。そのため、脂肪吸引の経験が未熟な医師がおこなうと期待した効果が得られなかったり、失敗したと感じたりすることがあります。
編集部
具体的に、どのような失敗例があるのですか?
澤口先生
例えば、「ボディラインが不自然になってしまった」というケースが挙げられます。脂肪吸引の手術前には、入念にボディラインを確認して、吸引すべき脂肪の位置や量を決定する必要があります。しかし、そうしたことを計算せずに取りやすい脂肪だけを吸引してしまうと、術後にボディラインが不自然になったり、妙な段差ができてシワが目立ってしまったりします。
編集部
ほかには、どのような失敗例がありますか?
澤口先生
取りムラや取り残しがあるということも、ときどき耳にする失敗例です。なぜこのようなことが起きるのかというと、カウンセリングが不十分であったことが考えられます。例えば、お腹の脂肪が気になる場合、皮下脂肪ではなく内臓脂肪が多いと脂肪吸引では期待通りの結果を得るのが難しくなります。また、脂肪の吸引量が少なすぎたということもあるでしょう。
編集部
脂肪の吸引量が少なすぎることもあるのですね。
澤口先生
はい。「足が太いのが気になる」という患者さんの場合、もしかしたら足の太さは脂肪ではなく筋肉のせいかもしれません。しかし、医師が脂肪と筋肉を正しく見定めることができなければ、カウンセリングで手術によって期待できる効果をお伝えすることもできません。また、実際に受けてみたら、予想よりも細くならなかったということも起こり得ます。
編集部
色々な失敗例があるのですね。
澤口先生
そのほかにも、「術後の傷跡が目立つ」「皮膚に凹凸ができてしまった」「皮膚がたるんだ」「顔の脂肪を吸引しすぎて老けて見えるようになった」など、様々なトラブルが考えられます。こうした失敗を防ぐには、体の構造やボディデザインに詳しく、技量のある医師の下で手術を受けることが重要です。
脂肪吸引で失敗した! 再手術はできる? 脂肪吸引のデメリットは?
編集部
脂肪吸引で失敗したとき、再手術をお願いすることができるのですか?
澤口先生
脂肪吸引で満足いく結果が得られなかった場合、再手術をすることは可能です。ただし、なかには再手術が難しいケースもありますし、通常の手術と比べて難易度が増すため、できるだけ再手術する必要がないように注意する必要があります。
編集部
2回目以降は難易度が増すのですか?
澤口先生
はい。2回目以降は皮膚の下が硬くなっているため、機器の操作が難しくなります。また、「お尻の脂肪を取りすぎてたるんでしまった」という場合、ほかの部位から脂肪を取ってお尻に注入することがありますが、普段座っている時間が長いとお尻の脂肪は定着率が低くなってしまいます。そのため、何回も手術を繰り返さなければならないということもあります。
編集部
そもそも脂肪吸引には、どのようなデメリットがあるのですか?
澤口先生
これまでお話ししたように失敗するリスクがあるほか、ダウンタイムが生じる点は脂肪吸引のデメリットでしょう。痛み、腫れ、むくみ、内出血などが生じ、手術した部位が落ち着くまで3~6カ月必要とされています。
編集部
ほかにもデメリットはありますか?
澤口先生
場合によっては脂肪組織を吸引したときに内部組織が損傷したり、様々な原因によって感染症が起きたりすることもあります。手術に伴う感染症は脂肪吸引だけに限った話ではありませんし、実際に起きるのは非常に稀ですが、こうしたリスクがあることも理解して手術に臨むことをおすすめします。
編集部
重篤な副作用のリスクもありますか?
澤口先生
脂肪を吸引する際には「カニューレ」という医療用の細い管を用いておこなうのですが、この操作を誤ることにより臓器が損傷を受け、死亡事故につながった事例もあります。また、脂肪吸引は静脈麻酔によっておこないますが、麻酔中毒による死亡事故が起きた事例もあります。脂肪吸引を受けたいと考えている場合には、このようなリスクを排除している医療機関を選ぶようにしましょう。
脂肪吸引で後悔しないために 手術を受けるときに気をつけたいこと
編集部
脂肪吸引を受ける際、後悔しないために気をつけるポイントはありますか?
澤口先生
まずは、医師の実績などを確認することが大切です。脂肪を吸引するだけでなく、人体の構造やボディメイクにも理解がある医師を選びましょう。カウンセリングでは直接、手術をおこなう医師と会話し、信頼できそうかのチェックは忘れないようにしてください。
編集部
ほかにはありますか?
澤口先生
できるだけダウンタイムやリスクを減らす取り組みをおこなっている医療機関を選ぶことをおすすめします。これまでの脂肪吸引は体への負担が大きく、術後のダウンタイムも長くかかることが多いのが一般的でした。しかし、近年では技術が進化し、低侵襲で安全性の高い医療機器が開発されています。どのような機器を用いているのか、どのように脂肪を吸引するのかなど、カウンセリングで詳しく確認しましょう。
編集部
ダウンタイムの長さは医師によって違うのですか?
澤口先生
はい。例えば、脂肪層だけを狙って吸引することができれば、術後、内出血や痛みが出る期間をかなり軽減することができます。
編集部
そのほか、手術前に確認することはありますか?
澤口先生
アフターケアがしっかりしている医療機関を選ぶことも重要です。脂肪吸引は手術して終わりではなく、その後約半年かけて完成します。その間も定期的にフォローし、経過観察をしてくれるかどうか、また、万が一のときの補償制度が整っているかどうかなどもリサーチしておきましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
澤口先生
脂肪吸引は人生において、1つの部位につき1回するかしないかというのが基本だと思います。そのため、ドクターやクリニックの選定を重要視していただきたいと思います。最近では、非常に安価に脂肪吸引をおこなっている医療機関もありますが、新人ドクターによるキャンペーンの場合もあります。単に「安いから」といって飛びつかず、ドクターの経歴や経験値を必ず確認するようにしましょう。また、カウンセリングを受ける際には複数の医療機関を訪ね、医師との相性などもみて判断することをおすすめします。
編集部まとめ
脂肪吸引に限らず、美容外科の施術を受ける際には耳障りのいいことだけでなく、リスクやデメリットもきちんと伝えてくれる医師を選ぶことが大切とのことでした。費用も高額なので、安心して任せられる医師を選ぶようにしましょう。
医院情報
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アクセス | ゆりかもめ「豊洲駅」 徒歩1分 東京メトロ有楽町線「豊洲駅」 徒歩2分 |
診療科目 | 内科、糖尿病内科、内分泌内科、皮膚科、形成外科、美容外科、美容皮膚科 |