筋肉痛を早く治すポイント4選! 運動前後に行うべきことを理学療法士が解説
久しぶりに運動をしたり、普段あまりしないような動きをしたりすると、筋肉痛になることもあると思います。筋肉痛は日常生活で少し動くだけでも痛くて「早く治したい」という方も多いのではないでしょうか。今回は筋肉痛を早く治す方法やポイントについて、理学療法士の小原さんに解説していただきました。
監修理学療法士:
小原 綾介(理学療法士)
目次 -INDEX-
そもそも筋肉痛はなぜ起こるのか。年を取ると筋肉痛が遅れてくるのはなぜ?
編集部
筋肉痛とは筋肉がどのような状態になっているのでしょうか?
小原さん
筋肉痛は、激しい運動をした後や普段使わない筋肉を使うことで生じます。普段より筋肉に加わる負荷が大きいことで、筋肉を構成している「筋繊維」が損傷し、痛みが誘発されると言われています。もう少しわかりやすく言うと、筋肉に軽い傷がついている状態ですね。
編集部
筋肉痛のピークは何日目くらいですか?
小原さん
筋肉痛の痛みのピークは、運動をした日の2~3日後であることが多いでしょう。しかし、筋肉痛が出るタイミングは個人差があるので、運動した日から4~5日で痛みのピークが来る人もいるかと思います。
編集部
「年をとると筋肉痛が遅れてくる」と言われるのはなぜですか?
小原さん
年齢を重ねると「準備運動をしっかり行うようになる」もしくは「激しい運動はあまりしない」からではないかと思います。その理由は、年齢と筋肉痛が出るタイミングに因果関係はないと言われているからです。そもそも筋肉痛には「即発性筋痛」「遅発性筋痛」の2種類があります。即発性筋痛とは、運動直後あるいは運動中に起こる筋肉痛で、急な激しい運動や過度に筋肉を緊張させることで起こります。遅発性筋痛とは、運動後の数時間後~数日後に起こる筋肉痛で、筋肉を修復する過程で痛みが誘発されている状態です。2つの筋肉痛から考えると、年齢を重ねると「準備運動をしっかり行うようになる」もしくは「激しい運動はあまりしない」からではないかと考えられます。
筋肉痛を早く治すために必要なこととは 「ストレッチ」「栄養補給」「全身を温める」「休息」の4つがポイント
編集部
筋肉痛はどうやったら早く治りますか?
小原さん
- 全身を温める
- ストレッチ
- 栄養補給
- 休息
この4つが早く治すために不可欠な要素です。また、どれか1つを行うのではなく、4つとも行うことで、より良い効果が期待できますよ。
編集部
全身を温めるとは、お風呂に入ればいいのでしょうか?
小原さん
はい。お風呂などで“全身を温める”ことが大事です。理由は、全身を温めることで血液が循環し、酸素や栄養素が行き渡ることで疲労改善や筋肉の修復を手助けする効果が得られるからです。38~40度くらいのお湯に10~15分くらい浸かることで、全身しっかり温められるのでおすすめです。身近で一番簡単なものはお風呂ですが、サウナも筋肉痛に効果があると言われています。運動直後にサウナに入るのもいいですね。
編集部
なぜ筋肉痛にストレッチは効果的なのでしょうか?
小原さん
筋肉痛にストレッチが効果的な理由は“血行を促進させるから”です。筋肉痛となった場所に血液を循環させることで酸素や栄養素が行き渡り、疲労改善や筋肉の修復の手助けをしてくれます。お風呂などで体を温めながらストレッチを行うことで、さらに良い効果が期待できますよ。
編集部
筋肉痛は揉んでもいいのでしょうか?
小原さん
筋肉痛は揉んでも問題ありませんが、“気持ちが良い程度”に抑えておきましょう。なぜなら、痛いほどの強い刺激を与えてしまうともみ返しなどで筋肉が硬くなってしまい、筋肉痛の治りが遅くなってしまう可能性があるからです。筋肉を揉む力が“気持ちがいい程度”であれば、血液の循環がよくなるので、筋肉を揉んでも問題ありません。
編集部
筋肉痛が早く治る栄養補給とはなんですか?
小原さん
筋肉の修復にはタンパク質(アミノ酸)、ビタミン類、糖質、ポリフェノール、炭水化物などをしっかり摂ることがおすすめです。タンパク質は肉や魚、大豆、乳製品などから、ビタミン類はフルーツや生野菜、ナッツ類から摂ることができます。また、ポリフェノールはぶどうやベリー類、大豆、豆腐、緑茶から、炭水化物は米や麦などの穀類から摂ることができます。筋肉痛を早く治すには、バランスの良い食事を摂るようにしましょう。
編集部
プロテインは筋肉痛に効きますか?
小原さん
プロテインは筋肉を修復させるための栄養素が多く含まれているため、筋肉の修復を早くする・筋肉を大きくするためには重要です。しかし、痛み止めではないため、痛みを和らげる効果はないといえます。また、プロテインでも筋肉の修復に効く栄養素はたくさん入っていますが、プロテインだけではなく食事もしっかり食べるようにしましょう。さまざまな食材を食べることで、プロテインでは摂ることができない栄養素をたくさん摂ることができます。そのため、“食事にプラスしてプロテインを飲む”ことが、筋肉痛を早く治すのに一番効果的だと言えます。
編集部
休息とはしっかり寝ればいいのでしょうか?
小原さん
はい。しっかり睡眠を取って体を休めることが重要です。寝ついてから1~3時間の間に、体内で成長ホルモンが分泌されます。この成長ホルモンは筋肉を修復するためにも重要なホルモンなので、しっかり睡眠を取るようにしましょう。また、寝る前にスマホを触るのは、成長ホルモン分泌の妨げとなってしまうので、できるだけスマホは触らないようにすることがおすすめです。
筋肉痛があるときは運動しても大丈夫? 筋肉痛になりにくい体づくりのポイントも併せて解説
編集部
筋肉痛があるときは運動しても大丈夫ですか?
小原さん
筋肉痛は筋肉を構成する筋繊維に傷がついている状態なので、激しい運動や負荷の大きい運動は控えた方が良いでしょう。なぜなら、筋繊維が損傷した状態で激しい運動や負荷の大きい運動を行ってしまうと、筋肉損傷が進み“肉離れ”を起こしてしまう原因となるからです。また、筋肉痛がある状態は“筋肉が回復できていない状態”とも言えるので、筋トレなどの効果も低くなっています。しかし、ウォーキングなどの軽めの運動であれば、血流が全身にしっかり回るので、筋肉痛の回復には効果的ですよ。
編集部
運動する前に筋肉痛を予防できるポイントはありますか?
小原さん
運動前にできる筋肉痛を予防するポイントは“ウォーミングアップをしっかりと行うこと”です。いきなり激しい運動をしてしまうと筋繊維が損傷しやすく、筋肉痛が強く出てしまう可能性もあります。また、ケガにも繋がることもあるため、運動を行う前はストレッチやウォーキング、ジョギングなどを取り入れるようにしましょう。運動後はクールダウンを行うことで、筋肉がほぐれて筋肉痛が早く治る可能性も高まります。
編集部
筋肉痛にならないために普段からどのようなことをすれば良いのでしょうか?
小原さん
日頃から運動やトレーニングをしておくことで筋肉痛になりにくい体作りができます。筋肉痛は負荷の大きい運動をすることで筋繊維に傷がついた状態です。日頃から運動やトレーニングを行っておくことで、筋繊維に傷がつきにくくなり、筋肉痛を予防できたり痛みを少なくしたりすることができます。まずは運動習慣をつけ、筋肉痛になりにくい体作りをしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小原さん
筋肉痛になったときは、まず熱を持っていないかを確認します。熱を持っている場合は、アイシング、熱がない場合は全身を温める・ストレッチする・栄養補給・休息をしっかり行うようにしましょう。また、日頃から運動やトレーニングをしておくことで、筋肉痛になりにくい体を作ることができます。
編集部まとめ
筋肉痛を早く治す方法について解説していただきました。筋肉痛が起きている時に、まず熱感がないかを確認しましょう。熱感がある場合はアイシングして筋肉を冷やすことが重要です。また、筋肉痛を早く治すポイントは、体を温める・ストレッチ・栄養補給・休息です。どれか1つを行うのではなく、4つすべて行うことで、効果が最大化されるので試してみてください。