LDLコレステロールを下げる食べものを紹介! 増える原因と下げるポイントを管理栄養士に聞く
テレビなどでもよく耳にするLDL(悪玉)コレステロールについてどこまで知っていますか? 実は、LDLコレステロールは食事と密接な関係にあり、食べるものによって増えたり減ったりするのです。今回は、そんなLDLコレステロールが増える原因と、下げるためのポイントに加え、どんなものを食べれば下げることができるのかについて、管理栄養士の中村さんを取材しました。
監修管理栄養士:
中村 友也(管理栄養士)
目次 -INDEX-
そもそも“コレステロール”とは何なのか LDLコレステロールとHDLコレステロールの違いも併せて解説
編集部
はじめにコレステロールとはどんなものなのか教えてください。
中村さん
コレステロールは人間の体に存在する脂質のひとつで、細胞膜やホルモンなどの原料になっています。よく悪者のように扱われていますが、体内に必要不可欠な成分です。また、食事から取り入れられるコレステロールは体内のコレステロールの2~3割で、残りの7~8割は体内で合成されています。
編集部
よく「LDLコレステロール」や「HDLコレステロール」と聞くのですが、これらは何なのですか?
中村さん
LDLコレステロールは、肝臓で合成されたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担う成分です。これらが増えすぎると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞を発症させるため、悪玉コレステロールと呼ばれています。しかし、コレステロールは全身の細胞に必要な成分なので、各細胞に運ぶ役割を持つLDLコレステロールも体には必要なものなのです。また、食品の中では、肉や魚の内臓をはじめとした動物性の食品に多く含まれています。
編集部
HDLコレステロールについても教えてください。
中村さん
HDLコレステロールは、余剰なコレステロールを回収する働きを担っています。血管内などに残り動脈硬化の原因となるコレステロールを運んでくれるため、動脈硬化の予防に効果を発揮します。そのため、HDLコレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれています。
編集部
コレステロールの基準値はいくつなのですか?
中村さん
LDLコレステロールの正常値は140mg/dl未満とされており、これを超えた場合、高LDLコレステロール血症(脂質異常症の1種)と診断されます。また、HDLコレステロールは40mg/dl以上が正常値とされているため、それ以下になると低HDLコレステロール血症と診断されます。
LDLコレステロール値が増えてしまう原因は何なのか 放置しているとどんな悪影響がある?
編集部
LDLコレステロール値が増えてしまう原因にはどんなものがありますか?
中村さん
まず、飽和脂肪酸の摂りすぎが挙げられます。飽和脂肪酸は、肉の脂身やバター、生クリームをはじめとした動物性の食品に多く含まれています。飽和脂肪酸を摂りすぎるとLDLコレステロール値が上昇してしまうため、摂取量には注意が必要です。
編集部
食事に含まれているコレステロールは気にしなくてもいいのですか?
中村さん
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
編集部
LDLコレステロール値が高いまま放置しておくと、どうなるのですか?
中村さん
前述のとおり、LDLコレステロール値が高いと血管内にコレステロールが沈着し、動脈硬化を促進します。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気につながる恐れがありますので、早めに医師に相談するようにしましょう。また、LDLは一般的な血液検査にも項目がありますので、確認しておくようにしておきましょう。
「LDLコレステロール値を下げる」ための食事のポイントを解説! どのような食べもの・飲みものに気をつけたらいい?
編集部
コレステロールを多く含む食品は避けた方がいいですか?
中村さん
食べ過ぎには注意が必要ですが、制限する必要はありません。実は、食事に含まれているコレステロールがどこまで血中のLDLコレステロール値を上げるかは個人差が大きく、飽和脂肪酸よりも影響が小さいといわれています。そのため、避けるのではなく先に紹介したように1日200mg未満に抑えることを意識するようにしましょう。
編集部
LDLコレステロール値を下げるには何に気を付けたらいいですか?
中村さん
まずは、飽和脂肪酸の摂取量に注意しましょう。前述のとおり、飽和脂肪酸はLDLコレステロール値を大きく上げる原因になります。肉の脂身や動物性の油脂を用いた食品の摂取量を見直してみてください。また、食事の量が多い方はコレステロールが少ない食品を摂取していても全体量が増えるため注意が必要です。食べ過ぎに注意しましょう。
編集部
食べたほうがいいものについても教えてください。
中村さん
オリーブオイルや青魚などを食べるのがおすすめです。これらの食品には、不飽和脂肪酸と呼ばれる成分が含まれており、LDLコレステロール値を上げる飽和脂肪酸と逆にLDLコレステロール値を下げる効果がありますので、積極的に取り入れていきましょう。
編集部
HDLコレステロールを上げるためにはどうすればいいですか?
中村さん
実は、HDLコレステロール値は食事で上げることが難しいとされています。しかし、逆に運動不足や喫煙によって値が低下することがわかっていますので、HDLコレステロール値を上げるもしくは維持するために、適度な運動と禁煙を意識しましょう。すでにそれらの習慣があると言う方は、継続しながらLDLコレステロール値を下げる食事を心がけてみましょう。
編集部
食事の時は具体的にどうすればいいですか?
中村さん
まずは、何より飽和脂肪酸を減らしましょう。肉の脂身を切り落としたり、使う油の量を減らしたりするだけでも効果があります。また、インスタント麺やお菓子類など見えないところに油が使われている食品にも注意が必要です。ほかにも、料理に使う油をオリーブオイルに代えてみたり、魚を取り入れたりすることでもLDLコレステロール値を下げることができます。加えて、食物繊維は血中のコレステロール値を下げる効果があるとされていますので野菜やキノコなどを取り入れることも効果的です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中村さん
LDLコレステロール値の上昇は動脈硬化につながり命にかかわることもありますが、普段の食事や生活習慣を改善することで予防、改善することができるものでもあります。すでに値が高いといわれている方はもちろん、この記事を読んで気になったという方はぜひ一度自身のコレステロール値を見て食事について考えてみてください。
編集部まとめ
今回はコレステロールと食事の関係についてお話を伺いました。普段の食事から気をつけることはもちろん、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品には注意が必要ですね。また、悪玉コレステロールも身体に必要な成分ということで過度に気にするのではなく、食べる量や頻度を意識してうまく付き合っていくのが良さそうですね。