老ける人の特徴5選! 病気が隠れた老化もある…?
「エイジング(加齢)はしょうがないもの」と考える人が多い中、実は最近そうではないという考えがあります。今回は老化する人の特徴について抗加齢医学専門医・eHealth clinic(イーヘルスクリニック)の天野先生に徹底解説していただきました。
監修医師:
天野 方一(eHealth clinic)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「eHealth clinic」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。 日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。
目次 -INDEX-
エイジングと慢性炎症の関係
編集部
エイジングについて教えてください。
天野先生
エイジングには、病的なエイジングと健康的なエイジングの二つがあります。今までエイジングというのは仕方ないものだと思っている方が多くいましたが、歳をとって、罹る大きな病気の大元は、病的なエイジングが原因じゃないかと最近考えられています。病的なエイジングを除いて、健康的なエイジング=ヘルシーエイジングを達成しようというのが最近の考え方です。
編集部
病的なエイジングについて詳しく知りたいです。
天野先生
病的なエイジングの原因の一つが慢性炎症であると考えられています。怪我したときに皮膚が赤くなったり腫れ上がったりするのは急性炎症で、その一方、体内で静かにゆっくり起きている炎症のことを慢性炎症といいます。この炎症というのは本来、私たちにとって味方であるにもかかわらず、さまざまな病気や老化の原因であると考えられています。
編集部
慢性炎症が影響して引き起こす病気は、どんなものが挙げられますか?
天野先生
慢性炎症が影響して引き起こす病気は、糖尿病や高血圧、狭心症、心筋梗塞、慢性腎臓病、脳梗塞、脳卒中などが考えられています。具体的に慢性炎症が起きると膵臓でのインスリン分泌が減ったり動脈硬化が進んだりして、高血圧関連の病気や動脈硬化関連の病気が引き起こされると考えられています。また、近年注目されている歯周病やコロナの後遺症も関係しているのではないかと考えられています。
老化しやすい人の特徴
編集部
体に慢性炎症が起こっている人、老化しやすい人の特徴を教えてください。
天野先生
慢性炎症が起こっている5つのサインを紹介します
・太っている人
・運動習慣がない人
・喫煙者
・うつっぽい人
・不安やイライラが多くある人
です。
編集部
太っている人や運動習慣がない人、喫煙者が該当するのですね。
天野先生
太っている人や運動習慣がない人は慢性炎症が高いことが既に分かっています。また、タバコを多く吸うと体の中の炎症が高くなることもわかっています。
編集部
うつっぽい人やイライラする人はどうですか?
天野先生
近年の研究によると、うつ病の原因の一つが脳内で起こっている慢性炎症ではないかという考え方もあります。慢性炎症が起きると、見た目も老けて見えてしまいます。年齢相応より見た目が老けている人やうつっぽい人は、慢性炎症が背景にあるのではないかなと思います。
編集部
見た目が若い人は体の中も健康的なのですね。
天野先生
はい。因果関係ではないですが大元が同じということです。美しくなりたい、キレイになりたい人は見た目のケアだけではなく体の中のケアもしないといけません。
糖化ストレスとエイジング
編集部
糖化ストレスについて教えてください。
天野先生
糖化ストレスとは、過剰な糖質とタンパク質が結合して、さらに酸化ストレスの影響が加わってAGE(終末糖化産物)が作られる現象をいいます。過剰なAGEは慢性炎症やさまざまな病気の原因になるだけでなく、シワやたるみなど、肌をくすませる原因になることがわかっています。
編集部
エイジングと糖化ストレスはどんな関係がありますか?
天野先生
エイジングとともにAGEを分解する能力が下がってしまい、過剰に溜まったAGEを取り除くことができないので、どんどん慢性炎症や老化が進んでしまいます。現実的にはAGEを作らないような予防が大切になります。
編集部
糖化ストレスを抑える方法を教えてください。
天野先生
糖化ストレスを抑える5つの方法は、
・よく噛んでゆっくり食べる
・炭水化物をできるだけ少なくする
・野菜や汁物から先に食べる
・適度な運動
・睡眠をしっかりとる
です。糖化ストレスを予防するためには、食後の血糖値を上げないことが大切になります。そのためには食べる糖質の量を減らして、高血糖状態をなるべく継続させないことが大事になります。また、過去の研究によると、スマホを使いながら食事をすると摂取カロリーが約15%アップすることがわかっています。
編集部
食事するときは 集中して食べる“マインドフル・イーティング”が大事なのですね。
天野先生
人間の満腹中枢を制御しているのは3つあるといわれていて、1つ目が「噛む回数」、2つ目が「胃の広がり具合」、3つ目が「血糖値が上がっているか」だといわれています。恐らくスマホを見ながら食事をすると、噛む回数が減って満腹中枢が刺激されなくなり、その結果いっぱい食べてしまうというメカニズムです。最近ベジファーストという考え方が流行っていますが、それは“野菜を最初に食べて血糖値を上がりにくくしましょう”という考え方です。野菜を先に食べることが重要ではなく、おかずやタンパク質を最初に食べて、主食を後に食べることが大切です。おかずなどを最初に食べて、その後にお米やうどんなどの主食を食べることによって同じ量を食べたとしても、血糖値の上がる高さを変えることができます。