【漫画付き】糖尿病や高血圧は消化器系の「がん」になりやすいって本当?
さまざまなことが原因で引き起こされる、消化器系の疾患。その原因のひとつに生活習慣病があるようです。言葉だけ聞いてもいまいちピンときませんが、一体どのような関係性があるのでしょうか? はやま消化器内科クリニックの羽山先生に教えてもらいました。
監修医師:
羽山 弥毅(はやま消化器内科クリニック 院長)
東京医科大学医学部医学科卒業後、同大学病院の消化器内科に入局。静岡県立総合病院の消化器科に勤務後、東京医科大学の消化器内科や内視鏡センターにて助教授に就任。東京、阿佐ヶ谷エリアに内視鏡検査を提供できる施設が少ないため、患者様のニーズに合わせた施設をつくりたいという想いから「はやま消化器内科クリニック」を開業。阿佐ヶ谷の健康増進に役立つため、日々診療にあたっている。日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医などの資格を有する。
生活習慣病は消化器系疾患のリスクファクターに
編集部
消化器系疾患と聞くと胃や腸が悪いというイメージですが、その原因が生活習慣病にあるというのは本当ですか?
羽山先生
もちろん消化器系疾患には、遺伝などが原因で起こるものが多くあります。ただ、実は生活習慣病が原因で消化器疾患に罹患することもあるのです。
編集部
例えばどのようなものがあるのか教えてください。
羽山先生
生活習慣病のひとつである糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気ですが、血糖値が高くなると腸内環境が悪くなり、ポリープができやすくなると言われています。血糖値が高い人は大腸ポリープ再発のリスクが通常の人よりも1.74倍、進行性ポリープだと再発のリスクが3.52倍というデータが米国のミネソタ大学がんセンターより発表されています。また、10年以上の糖尿病歴があると、すい臓がんの危険率は50%も上がると言われています。
編集部
生活習慣病といえば「高血圧」が思い浮かびます。高血圧はどうでしょうか?
羽山先生
高血圧の方は、血圧を下げる降圧剤の服用が原因で逆流性食道炎になることがあります。降圧剤は食道と胃をつないでいる筋肉を緩めてしまうことがあります。そうすると逆流性食道炎が起こり、食道がんのリスクを高めてしまうのです。逆流性食道炎が出た場合は、医師に相談するとよいでしょう。
編集部
なるほど。ほかにはどうでしょうか?
羽山先生
脂質異常症という血中に中性脂肪やコレステロールが多くなる病気は、肝臓へ影響を与えると言われています。この状態で生活をし続けると、中性脂肪が肝臓に蓄積して、脂肪肝や肝炎の原因になります。結果、肝硬変や肝臓がんになってしまうこともあるのです。脂質異常症と診断されたら血管だけでなく、肝臓のケアもしっかりと行うべきでしょう。
生活習慣病にならない生活を心がける
編集部
これらを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
羽山先生
生活習慣病にならないために、普段の生活を変えていく必要があります。消化器系疾患の原因が生活習慣病にある場合、生活習慣病を予防できれば消化器系疾患も同時に防ぐことができるのです。消化器系疾患になったことで、自分は生活習慣病だったとわかることもあります。
編集部
具体的にどうしたらよいですか?
羽山先生
血糖値や血中の中性脂肪を下げるには、高カロリーや脂質の多い食事を控えることが重要です。また適度な運動をする、1日7〜8時間ほど睡眠をきっちりとるなど、規則正しい生活を続けていくことが生活習慣病にならないための一番の予防です。
毎年の健康診断で予防しよう
編集部
では生活習慣病かどうか判断するためには、どうしたらいいのでしょうか?
羽山先生
健康診断をきちんと受けることですね。高血圧や脂質異常症は血液検査などを行えば、すぐにわかるものです。兆候があれば生活習慣病にならないための対策ができます。生活習慣病とはいきなりなるものではなく、日々の生活の積み重ねによって引き起こされるものです。早いうちからわかれば改善もラクなので、検査はとても大切ですね。
編集部
どういう人に特に気をつけて欲しいですか?
羽山先生
年に一度の健康診断でも、若くて元気な人だと受診しない人も多いのです。体に異常がなければ、若い人はなかなか病院に行かないですよね。でも早めにわかれば防ぐことができるのが生活習慣病なので、ぜひ年に一度はきちんと検診を受けてほしいです。
編集部まとめ
生活習慣病が原因となることもある消化器系疾患。予防するためには、日常から生活習慣病にならないように努力することが大切です。「生活習慣病は健康診断で見つけることができます。若い頃からきちんと健康診断を受けて、早めに見つけて治すようにしましょう」と先生からアドバイスを頂きました。
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診療科目 | 内科 |