「更年期の肌荒れ対策」を医師が解説 肌トラブルのセルフケアやホルモンバランスの対処法も
更年期は女性ホルモンのバランスが崩れがちで、様々な不調がみられる傾向にあります。とくに、シミ、しわ、たるみなど肌に現れるトラブルに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。また、これまでと同じお手入れをしていても、「肌のハリやツヤがなくなった……」と感じている人もいるでしょう。はたして、どのようにして更年期の肌トラブルを予防すればいいのでしょうか。今回は、「私のクリニック目白」の平田先生に解説していただきました。
監修医師:
平田 雅子(私のクリニック目白)
目次 -INDEX-
更年期と肌荒れの関係 肌トラブルの原因やホルモンバランスの変化による症状を医師が解説
編集部
なぜ、更年期になると肌荒れが起きるのですか?
平田先生
更年期になると、女性ホルモンのバランスが崩れてしまいます。ホルモンバランスの乱れは、肌をはじめとして全身に様々な影響をもたらすからです。
編集部
女性ホルモンと肌には、どのような関係があるのですか?
平田先生
女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類があります。そのうち、肌に影響を与えるのはエストロゲンです。本来、エストロゲンは女性らしさを作るホルモンであり、女性らしい丸みのある体を作ったり、肌を美しく健康に保ったりする働きがあります。しかし、閉経によってエストロゲンの分泌量は低下してしまうため、肌のコンディションが悪化してしまうのです。
編集部
エストロゲンの分泌量が低下すると、肌にはどのようなトラブルがみられるようになりますか?
平田先生
例えば、「うるおいやハリが少なくなる」「シミ、しわ、たるみ、くすみが目立つようになる」「敏感肌になる」「乾燥肌になる」「これまで使っていた化粧品が合わなくなり、かゆくなったり、ブツブツができたり、赤みが出たりする」といった変化がみられます。
編集部
女性ホルモンが関係しているということは、更年期の肌トラブルは避けることができないのですか?
平田先生
いいえ、そんなことはありません。更年期になる前からケアをしている人は、更年期になってもガタつくことはありません。しかし、これまであまりお手入れをしてこなかった人は、急激な衰えに驚くことがあるかもしれません。つまり、更年期に入る前から普段のケアを手厚くしておくことが大切です。また、更年期に入って肌トラブルが出ても、きちんとケアを始めれば症状を改善することができるので、諦めないでほしいと思います。
更年期の肌荒れの予防法には何がある?知っておきたいスキンケアも
編集部
そもそも、更年期とはいつ頃起きるのですか?
平田先生
一般的に、更年期は閉経の時期をはさんだ前後10年間のことを言います。個人差はありますが、50歳前後で閉経を迎える女性が多いので、更年期は45~55歳を指すことが多いですね。
編集部
肌だけでなく、様々なトラブルが起きると聞きました。
平田先生
はい。症状は非常に個人差がありますが、代表的なトラブルとして、ほてり、発汗、のぼせなどのいわゆる「ホットフラッシュ」、冷え、肩こり、腰痛、不眠などがあります。それから、疲れやすい、憂うつになるなど、心理的な症状もみられることがあります。
編集部
更年期によるトラブルの範囲は多岐にわたるのですね。
平田先生
そうですね。不眠や憂うつなど、心理的な症状が体にとって大きなストレスとなり、肌に影響を与えてしまうこともあります。そのため、更年期の時期は、できるだけストレスを溜めず、適度に発散しながら心身ともに健康的に過ごすことが重要です。
編集部
更年期の肌トラブルは、更年期が終わったら落ち着くのですか?
平田先生
かゆみや湿疹、赤みなどのトラブルはおさまってくると思いますが、何もケアをせずにいると皮膚の働きがどんどん低下して、しわやたるみ、くすみなどの老化が進行してしまいます。そのため、更年期になったら従来のお手入れ方法を見直し、必要に応じて適切なケアに切り替えることが大切です。
更年期の肌荒れを防ぐためのセルフケア 乾燥・かゆみや湿疹・赤みなどの肌トラブルを治すには
編集部
更年期の肌荒れを防ぐには、どのようなケアをすればいいのでしょうか?
平田先生
まずは「食事」をはじめとする生活習慣を見直してみましょう。とくに、大豆製品を多めに摂ることを意識してほしいですね。なぜなら、大豆に含まれる「イソフラボン」という栄養素は、体内でエストロゲンと似た働きをするからです。ただし、大豆製品を多く食べてもあまり変化がみられない場合は、サプリメントを活用してみるのもいいと思います。
編集部
ほかに、食事で大切なことはありますか?
平田先生
「腸内環境を整える」ことも重要です。どうしても加齢とともに免疫力は低下して、体に不調が生じやすくなります。腸には免疫に関わる細胞がたくさん存在しているので、元気に保つためにも腸内環境を整えましょう。
編集部
食事以外だと、どのような点に注意したらいいでしょうか?
平田先生
肌の保湿を丁寧におこなうようにしましょう。とくに大切なのは、保湿の回数を増やすことです。「朝晩の洗顔後に化粧水と保湿剤をつけるだけ」という人が大半だと思いますが、日中も3時間おきに保湿するなど、肌の水分を逃さないようにしましょう。また、熱いお湯で入浴したり顔を洗ったりすると皮脂が奪われて、肌が乾燥する原因になってしまいます。できれば水で顔を洗って、入浴の際も熱過ぎるお湯は避けるようにしましょう。
編集部
日常生活を工夫することで、トラブルを避けることができるのですね。
平田先生
そうです。それから、紫外線対策も必要になってきます。紫外線は、夏だけでなく一年中降り注ぎますから、冬でも油断せずに日焼け止めを使いましょう。もし、湿疹やかゆみなどのトラブルが治らないようなら、専門家に相談することをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
平田先生
「歳だから」といって、綺麗にすることを諦めてしまう人も多いのですが、更年期まっただなかで様々なトラブルを抱えていたとしても、必ず改善できます。ぜひ、諦めないでほしいと思います。また、更年期だからこそ、体をいたわるという意識を持つことも大切です。若い頃は効果があった治療も、加齢とともに合わなくなることもありますし、ある人にとっては効果があった治療が自分にも効くとは限りません。一通り治療を試して効果が実感できず、どうしても症状がつらければ「ホルモン補充療法」という治療もあります。まずは自分で更年期について調べたり、専門医に頼ったりしながら、自分の肌に合う治療法を探して、更年期の肌トラブルと向き合いましょう。
編集部まとめ
閉経前後になり、体調の大きな変化に驚く女性も多いはず。しかし「歳だから」と諦めてしまうのではなく、自分に合う治療法を探してみる積極性も大切です。どの治療法が自分に合うかは、試してみないとわからないこともありますから、まずは自分の年齢にふさわしいケアや食事を探し、いつまでも活き活きと過ごしたいですね。
医院情報
所在地 | 〒171-0031 東京都豊島区目白1-4-1 JR東日本ホテルメッツ目白1階 |
アクセス | JR「目白駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科、内科、アレルギー科、心療内科 |