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【社内禁煙プログラム】卒煙成功のポイントは禁煙開始後2、3日のスケジュール調整にある!? 〜前編〜

 公開日:2023/02/28

当メディアを運営する株式会社GENOVAでは、「健康経営宣言」の一環として喫煙率低下のためのプロジェクトを社内で実施することが決まり、いよいよ「禁煙プログラム」がスタートしました。
紙巻きタバコに比べて有害成分が少ないと謳われているものの、やはり「発がん性物質や依存性のあるニコチンの健康への悪影響」が懸念される「加熱式タバコ」。ニコチン含有量も経済的負担も、紙タバコとほとんど変わらないというデータもあります。
そんな「加熱式タバコ派」の当メディア関係者の大木さん(25歳)が、「禁煙外来」で禁煙に挑戦するところに密着し、実際の診療の流れや体験談をレポートします。加熱式タバコ派の方も、そうでない方も、ぜひ参考にしてみてください。

天野先生

監修医師
天野 方一(eHealth clinic(イーヘルスクリニック))

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埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を終了。腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、腎臓専門医や抗加齢医学専門医などの資格を取得。大学病院の医師として勤務を行いながら、予防医学やアンチエイジングの重要性を実感。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、eHealth clinicを2022年4月に開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
腎臓専門医・指導医、抗加齢医学専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

大木 悠貴

被験者:
大木 悠貴(株式会社GENOVA 社員)

プロフィールをもっと見る
1997年(平成9年)生まれ、25歳(初診時年齢)当メディア関係者で、営業部所属の入社3年目。お金の負担や将来の自分のために「禁煙」を決意。

今回取材に協力していただいたのは、新宿三丁目駅すぐにあるクリニック。複数企業の嘱託産業医としても勤務中で、社員の健康相談や生活改善指導、企業のヘルスケアに関する講演を多数おこなっている天野先生に診察を担当していただきました。

イーヘルスクリニック新宿院

事前インタビュー

佐々木さん

編集部編集部

禁煙しようと思った「きっかけ」を教えてください。

大木さん大木さん

何となく吸っていたのですが、お金の負担や、将来の事などを考えると、タバコはやめるべきだと思っていました。今回このような機会をいただけたので、数分の欲に負けず、将来のために禁煙頑張ります!

編集部編集部

喫煙年数はどのくらいですか? 1日の喫煙本数は?

大木さん大木さん

20歳の誕生日を迎えた日から今日までで、年数でいうと約4年弱になります。誕生日のセレモニー的な感じで、友人と一緒に吸ったのが最初です。本数は日によって差がありますが、1日10本程度ですかね。

編集部編集部

過去に禁煙に挑戦したことはありますか? 失敗した原因は?

大木さん大木さん

あります。スマホアプリの日数カウンターを使って、禁煙日数を記録していました。数が増えていく喜びは良かったのですが、1カ月くらいすると飲み会で友人からタバコをもらってしまい、「1本ならOK」と緩んだ瞬間から、そのままズルズルと失敗……という感じです。

編集部編集部

なぜ喫煙をやめられないのかについて、自分なりにどう考えていますか?

大木さん大木さん

吸いたいという欲に負けてしまう、あとは周りに愛煙家が多いことで連れタバコの機会がある……などが、やめられない原因だと思っています。

編集部編集部

現在ご自身の健康で不調に感じること、また禁煙成功時に健康面で期待していることについて教えてください。

大木さん大木さん

タバコだけが原因なのかは分かりませんが、体力が落ちたなと感じることが多いです。自分の健康もそうですが、周りの人への悪影響が少なくなればいいなと思います。

編集部編集部

そのほか、“タバコを吸わない生活”にどんなことを期待していますか?

大木さん大木さん

タバコ代にかかっていた費用がうくので、お金に余裕ができることです。あとは外出するのに荷物を持ちたくない派で、ポケットに全て納めたいので、加熱式タバコの本体&リキッド分のポケットが空くことです。

禁煙外来がスタート!

11:15 クリニック到着

クリニック到着

【受付→問診票記入】
クリニックに着いたら、受付を済ませ、まずは問診票に記入していきます。問診票に記入する内容は主に次の2つ。

①「ブリンクマン指数」
(1日の喫煙数)×(喫煙年数)で計算します。

(例:1日10本を、25年吸い続けている人の場合、10×25=250)
こちらが200以上だと、健康保険等で禁煙治療を受けることができ、35歳未満の場合はこの数値に関わらず保険適用となります。また、この「ブリンクマン指数」が400を超えると、肺がんのリスクが高くなり、600以上では肺がんの高度危険群といわれています。
②「TDSニコチン依存度テスト」
1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか?
4. 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、 食欲または体重増加)
5. 4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
6. 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
8. タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?

こちらの結果が5項目以上該当した方は、ニコチン依存症と診断されます。大木さんは、「ブリンクマン指数」が30(1日10本×3年間)と低値だったものの、「TDSニコチン依存度テスト」が6項目該当し、立派な「ニコチン依存症」でした。

11:25 看護師との面談

看護師との面談

ここからどうやって禁煙を進めるか、看護師さんが丁寧に問診してくれます。

看護師さん看護師さん

今までに禁煙に挑戦した経験はありますか?

大木さん大木さん

はい、2、3回あります。

看護師さん看護師さん

最近はいつ頃ですか? なぜ続かなかったのでしょうか?

大木さん大木さん

1年くらい前ですね。1カ月くらい続きましたが、飲み会で友人にもらって吸ってしまいました。初めてタバコを吸ったのも、20歳の誕生日に友人たちに祝ってもらって……という感じです。

看護師さん看護師さん

大木さんは「友人」がキーワードになってしまっているかもしれないですね。禁煙開始後2、3日は、もっとも離脱症状が出やすい時期で、この時期に愛煙家の友人と会ったり、飲み会などがあったりすると、我慢するのが余計に辛くなってしまうと思います。禁煙後数日は、そういった予定を入れないようにスケジュール調整することをお勧めします。

大木さん大木さん

分かりました。

看護師さん看護師さん

朝起きてから、タバコを吸い始めるまでの時間はどれくらいですか?

大木さん大木さん

5~10分です。

看護師さん看護師さん

この時間が短い人は、「吸いたい」という欲求を感じる前に吸っているので、喫煙が「習慣化」してしまっています。まずはこの習慣をちょっと変えてみるのが良いと思います。何か運動をしたり、水を飲んだりするなど、別のことを習慣づけてみてください。

大木さん大木さん

はい、やってみます。あと、個人的には経済的負担が減ることも期待しています。

看護師さん看護師さん

そうですね。500円のタバコを1日1箱、購入している方だと、半年で約9万円の節約ができるので、家族で温泉旅行に行ける計算です。1年だと、ペットが飼えるくらい貯まりますね。10年だと約182万円なので、マイカーを購入したり、家族で海外旅行をしたりすることができます。

大木さん大木さん

ペット、旅行……いいですね笑

看護師さん看護師さん

禁煙できる自信は何%くらいありますか?

大木さん大木さん

…50%くらいです。

編集部編集部

微妙な自信度ですね!

看護師さん看護師さん

最後にもうひとつ、「呼気一酸化炭素濃度測定検査」をします。タバコの煙の中には、数千~1万ppm以上の一酸化炭素(CO)が含まれており、1日に吸うタバコの本数と呼気中のCO濃度は相関します。これを測定するのが「呼気一酸化炭素濃度測定検査」です。息を吐くだけで簡単に測定できます。加熱式タバコの方は測定値が若干低く出てしまいますが、それを踏まえて測定してみましょう。

呼気一酸化炭素濃度測定検査

編集部編集部

大木さんは、「10ppm」という結果が出ました。これは「ライトスモーカー」の数値です。これが、最後の外来ではどのようになっているのか……乞うご期待! 結果は「後編」でお伝えする予定です。

11:40 医師との面談

医師との面談

次に、医師との面談です。

天野先生天野先生

大木さんは今回、「ニコチン置換療法」を行います。ニコチン置換療法とは、禁煙開始時に現れるダルさやイライラなどの離脱症状に対して、別の方法でニコチンを体内に補給することにより、症状を軽減し、禁煙を継続できるように導く方法です。

ニコチンパッチ

ニコチンを体内に補給する方法はいくつかあるそうですが、今回大木さんは「ニコチネルTTS」という貼付薬(パッチ)を使います。ニコチネルTTSは、24時間有効なので、1日1回、体のどこかに貼るだけ。狭心症や心筋梗塞、重度のアレルギーがなければ、どんな方にでも使えるお薬です。(注:保険適用されるためには、いくつかの条件があります)
3種類の大きさがあり、最初の4週間は最も大きい30㎠を使い、徐々に20㎠(2週間)、10㎠(2週間)、と軽いものにしていきます。最初に使用する30㎠のパッチは、想像よりもかなりビッグサイズでビックリしました! その後、ニコチンパッチなしで4週間過ごせたら、めでたく禁煙成功です。

天野先生天野先生

禁煙を成功させるためには「行動変容」の観点からも、二つのことをお伝えしています。一つはまず「今からもう“吸わない”と決めること」、もう一つは「行動を確定してしまうこと」です。例えば、次回の禁煙外来をすぐに予約する、今この場で、ニコチンパッチを注文してしまう、などです。

編集部編集部

さらに天野先生からは、パッチを貼るとニコチンが血液中に取り込まれるので、そこから更に喫煙してしまうと、血中のニコチン濃度が急激に上がって危険ということも伺いました。これも「吸ってはいけない」と踏みとどまれる理由の一つになりますね。

天野先生天野先生

じゃあ今日から、頑張っていきましょう!

11:50 会計

会計

説明後は受付で会計をして終了。今回の費用は、診療費が1760円、薬代が1370円、合計で約3130円でした。(保険診療)

診療後インタビュー

診療後インタビュー

はじめての「禁煙外来」を終えた大木さんに、お話を伺いました。

編集部編集部

はじめての「禁煙外来」はいかがでしたか?

大木さん大木さん

説明を聞いて、禁煙を成功させるには、気持ちが大事だと改めて感じました。ニコチンパッチは受け取りましたが、看護師さんが「気持ちの問題なので……」と仰っていたことを鮮明に覚えています。

編集部編集部

特に印象に残ったことなど、ありましたら教えてください。

大木さん大木さん

看護師さんに「気持ちの問題なので…」と言われながら、禁煙宣言書に署名したことです。なんの拘束力もないただの「宣言書」ですが、何となく「後には引けない」という気持ちになりましたね。

編集部編集部

受診の前と後で、「タバコ」もしくは「禁煙」に対する思いや感覚などは変わりましたか?

大木さん大木さん

変わりました!健康面や金銭面など、禁煙することでのメリットを改めて聞くと、「タバコはもう吸わない」と決心できました。禁煙を成功させて、色々な恩恵を受けようと思います。

編集部編集部

禁煙外来を受けようかどうか迷っている人に、一言お願いします。

大木さん大木さん

成功した時のご褒美を何か作って禁煙にトライすると、楽しく挑戦できると思いました。自分の場合は、成功したらご褒美として、きれいな空気を吸いに旅行に出かけたいと思います。

編集部編集部

最後に、12週間後の自分は、どうなっていると思いますか? また、どうなっていたいですか?

大木さん大木さん

今は禁煙できる自信が大きくなっています。まずは12週間タバコを吸わない目標を達成したいですね。そしてタバコを吸わなくても大丈夫な身体になっていればいいなと思います。

編集部まとめ

大木さんはこれから、ニコチンパッチを貼りながら8週間、その後、パッチなしで4週間過ごしていただきます。この間、オンラインで禁煙外来を3回受診して、状態確認などを行います。最後にもう一度、禁煙外来を受診し、初回に行った「呼気一酸化炭素濃度」を測定して、禁煙プログラム終了となります。大木さんは無事、旅行に行くことができるのか⁉︎ 後編での経過報告も楽しみにしていてくださいね!

この記事の監修医師