ブライダルチェックの検査内容を産婦人科医が解説 男女ペアで受けられる? 検査の流れも知りたい
結婚を控えていて「ブライダルチェックを受けようかな」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。しかし「どんな検査があるのか」「男女ペアで受けられるのか」など、疑問を感じている方も多いはずです。そこでショコラウィメンズクリニックの木崎先生に、ブライダルチェックの内容や検査の流れについて教えてもらいました。
監修医師:
木崎 尚子(ショコラウィメンズクリニック 院長)
東京女子医科大学卒業。川崎市立井田病院・川崎病院で初期研修。東京女子医科大病院産婦人科、国際親善総合病院産婦人科、湘南藤沢徳洲会病院産婦人科、茅ヶ崎徳洲会病院産婦人科などを経て、2021年10月、横浜市都筑区にショコラウィメンズクリニックを開院。古くから薬能があるとされ、また、人を癒やしたりリラックスしたりする効果があるとされるチョコレートのように、ほっとできる空間を提供したいとの思いから、「ショコラウィメンズクリニック」と命名。
目次 -INDEX-
婦人科のブライダルチェックとはどんな検査? 男性とペアで受けられる? 検査項目と内容やオプションについても教えて
編集部
ブライダルチェックとは、どんなことを検査するのですか?
木崎先生
簡単にいうと、結婚や妊娠を控えた女性を対象に行う婦人科検診のことです。妊娠や出産を行うにあたり、影響のある病気や感染症がないか調べます。
編集部
結婚や妊娠を控えていないと、受けられないのですか?
木崎先生
いいえ、必ずしもそういうわけではありません。現在それらの予定がなくても、将来的に妊娠や出産を希望している女性は受けることができますし、妊娠・出産を希望していなくても、ご自分の体の状態を把握するために、受けることもできます。
編集部
そもそもなぜ、ブライダルチェックが必要なのですか?
木崎先生
母子ともに健康で出産するためには、妊娠前に病気の有無を確認しておくことも必要になります。もし、何らかの病気があれば妊娠前に治療を行うことで、妊娠・出産がスムーズになります。また、なかには胎児にうつる可能性のある感染症や、そのまま放置すると流産や死産のリスクが高くなる病気もあります。妊娠・出産を希望する女性には、ぜひブライダルチェックを受けることをおすすめします。
編集部
確かに事前に治療しておけば、その後の妊娠・出産がスムーズになりますね。
木崎先生
また、結婚したあと「子どもが欲しいけれどなかなか妊娠しない」と悩んでいる方は、ブライダルチェックを受けることで、妊娠しづらい原因がわかることもあります。必ずしも結婚前だけでなく、結婚後にも受けてほしいものです。
編集部
具体的に、どのような検査項目があるのですか?
木崎先生
クリニックによって内容は異なりますが、一般的には血液検査、性感染症検査、内診・超音波検査、子宮頚がん・乳がん検査などを行うことが多いと思います。クリニックによっては、各種抗体検査やホルモン検査など、オプションメニューを用意していることもあるので、ご希望にあわせてそうしたクリニックも選べると思います。
編集部
ブライダルチェックは女性だけが受けるのですか? 男性と一緒にペアで受けられるのでしょうか?
木崎先生
最近ではカップルで受けられるブライダルチェックも増えています。男性が受けるブライダルチェックのメニューもクリニックによって異なりますが、性感染症検査や精液検査などが行われることがあります。
編集部
男性もブライダルチェックを受けられるとは知りませんでした。
木崎先生
不妊の原因は女性側にあると考えられがちですが、実際のところ、男性側に原因があることも多いのです。ブライダルチェックでは原因を確認することができますから、その後の妊娠につなげやすくなります。また、最近では知らないうちに梅毒やヘルペス、クラミジアなどに感染している人も増えています。性感染症は気づかないうちにパートナーへうつしてしまうこともありますから、症状がまだないとしても自分の体を守り、またパートナーの体を守るためにも、チェックを受けることがとても大切です。
ブライダルチェックの流れは? 結婚前? 結婚後? 検査で痛いと感じることはある?
編集部
ブライダルチェックに適した時期などはあるのでしょうか?
木崎先生
ブライダルチェックに適した時期は、特にありません。思い立ったらいつでも受けてほしいですね。「結婚の予定はないけれど、自分の体の状態を知りたい」という方や、「ずいぶん前に結婚したけれど、改めて体調を確認したい」という方など、いつでも、どなたでも受けていただくことができます。
編集部
ブライダルチェックを受けるには、どうしたら良いのでしょうか?
木崎先生
まずは、かかりつけの婦人科でブライダルチェックを行っているか、確認してみましょう。行っていなければ、ブライダルチェックを行っている婦人科を探さないといけません。人間ドックや不妊治療を行っているクリニックでも受けられると思います。
編集部
男性はどこで受けられるのですか?
木崎先生
産婦人科のクリニックによって、男性のブライダルチェックも一緒に行うこともありますが、そうではない場合は泌尿器科で行うこともあります。
編集部
検査が心配です。痛みなどないでしょうか?
木崎先生
痛みのある検査はほとんどないので心配いりません。「内診が苦手」という女性もいらっしゃるかもしれませんが、リラックスして受けていただければそれほど心配はいらないと思います。とはいえ、内診はつい緊張してしまうもの。そんなときはかかりつけ医など、信頼できる先生のもとで受けると良いかもしれません。
編集部
ブライダルチェックの費用は、どれくらいですか?
木崎先生
実施しているクリニックによって異なりますが、だいたい1〜3万円だと思います。オプションメニューを多く追加すれば、その分費用が上がります。ブライダルチェックは自費診療になりますが、子宮頸がんや風疹抗体検査などは、自治体から助成を受けられることもあるので確認してみると良いと思います。
ブライダルチェックの疑問・不安に産婦人科医が回答 「検査結果が怖い」「ピル飲んでいる」など
編集部
ブライダルチェックを受けたいのですが、大きな病気が見つかりそうで不安です。
木崎先生
ブライダルチェックでは、詳細に体の健康状態を確認するため、何らかの病気が見つかることもあります。しかし、結婚や妊娠という大事なイベントの前に病気を見つけることができるのは、考え方によってはとても幸運なことかもしれません。治療をしてから結婚や妊娠に臨むことができますから、ぜひブライダルチェックを受けてほしいと思います。
編集部
ピルを飲んでいるのですが、検査結果に影響はないでしょうか?
木崎先生
ピルを服用していると、ホルモンの検査結果が正しく反映されないことがあります。そのため、ホルモン検査を含むブライダルチェックを受ける前は1〜2周期、薬の服用をお休みしていただいた方が良いと思います。
編集部
そのほか、ブライダルチェックを受けるにあたって注意点はありますか?
木崎先生
基本的なホルモンの値を見るには月経中の採血が適していますが、いつ検査を行うかは、必ずクリニックの指示に従うようにしましょう。クリニックによっては「月経中か排卵後に検査を受けてください」と言われることもあります。予約の際に確認してください。またクリニックによっては血糖値の検査を行いますが、空腹で来院するのか、あるいは特に食事制限をしなくていいかなどは、行う検査によって異なります。これもクリニックの指示に従いましょう。
編集部
ブライダルチェックは妊娠・出産のために行うもの、というイメージがありましたが必ずしもそうではなく、すべての女性におすすめなのですね。
木崎先生
ブライダルチェックの名称はクリニックによって異なり、レディースドック、レディースチェック、ブライダルドックなど、いろいろな表記方法があります。もし、お住まいの地域でブライダルチェックを行っているクリニックが見つからない場合は、名称を変えて探してみると良いでしょう。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。
木崎先生
「生理痛がひどい」「生理不順」など、よくある症状でもそのまま放置していると、妊娠・出産に影響が及んだり、将来的に生活習慣病につながったりすることもあります。体に異常がなくても、検査をして初めて疾患が見つかるということもあります。ぜひ、自分の体と向き合うためにも、ブライダルチェックを受けてみると良いのではないかと思います。また、「ブライダルチェックは若い女性のためのもの」と考えている方も多いかもしれませんが、クリニックのなかには更年期障害のチェックをしてくれるところもあります。40歳を過ぎて体調に不安がある方にもおすすめします。
編集部まとめ
ブライダルチェックは必ずしも妊娠・出産を希望している女性のためのものではなく、女性全般、さらには、男性も受けられるものです。感染症やホルモン異常の発見にもつながることを考えれば、一生に一度受ければ良いものではなく、定期的に受けたいもの。ぜひパートナーを誘って習慣化してみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒224-0062 神奈川県横浜市都筑区葛が谷10-16-2F |
アクセス | 横浜市営地下鉄グリーンライン「都筑ふれあいの丘駅」の改札を出て目の前 |
診療科目 | 婦人科、産科、予防医療、美容診療、外来手術、ユースクリニック |