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インフルエンザの予防接種は受けた方がいい? インフルエンザワクチンの効果を薬剤師が解説

 更新日:2023/03/27
インフルエンザの予防接種は受けた方がいい? インフルエンザワクチンの効果を薬剤師が解説

毎年、冬が近づいてくると話題にあがってくるインフルエンザの予防接種。「今年も接種は必要なのかな? 十分な感染症対策をしていれば不要? 打っていてもかかる場合があるし……」など、様々な疑問がある方も多いと思います。そこで今回は、インフルエンザの予防接種について、薬剤師の上野さんに解説していただきました。

上野 園子

監修薬剤師
上野 園子(薬剤師)

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大学薬学部を卒業後、大手製薬会社のMR(医薬情報担当者)として、クリニックや中小病院の医師へ、正確な薬の情報提供を行う業務に従事。その後、調剤薬局や漢方専門薬局の薬剤師として、患者さんの幅広い相談に従事。大手臨床開発受託機関の新薬の開発担当として、治験の実施やモニタリングにも精力的に取り組む。現在は医療/美容専門のライターとして、正確でわかりやすい情報を発信している。

インフルエンザの予防接種の是非について

インフルエンザの予防接種の是非について

編集部編集部

日頃から感染対策をしていますが、インフルエンザの予防接種は受けた方がいいのでしょうか?

上野 園子さん上野さん

マスク、手洗いなど一般的な予防も大切ですが、それだけでは不十分です。予防接種をした人としていない人では、予防接種をした人の方が明らかに感染率は低いと報告されていますので、予防接種は非常に有効な予防法です。

編集部編集部

予防接種をしても、インフルエンザにかかる人もいるようですが?

上野 園子さん上野さん

確かに予防接種をしても、インフルエンザにかかる人はいらっしゃいます。しかし、症状が軽くすむことが多く、インフルエンザ脳症や肺炎などへの重症化を防ぐことが期待できます。

編集部編集部

インフルエンザの予防接種で、集団感染は防げるのでしょうか?

上野 園子さん上野さん

インフルエンザワクチンは「重症化」を防ぐということが、WHO(世界保健機関)をはじめ、世界各国で広く認められています。ただ「流行拡大を阻止」するかについては、さまざま議論があり結論がでていません。現行のインフルエンザワクチンは、「感染(ウイルスの細胞への侵入と増殖)」を完全に抑える働きはなく、「発病(発熱やのどの痛み等の症状の発現)」を抑える効果が一定認められています。たくさんの人がワクチンを接種しないと流行の拡大を阻止することは難しいかもしれませんが、重症化しなければほかの人への感染も少なくなり、感染する集団の規模を小さくできるのではないかとも言われています。

編集部編集部

抗ウイルス薬(タミフルなど)を予防投与すれば、ワクチンの代わりになるでしょうか?

上野 園子さん上野さん

家族や同居人がインフルエンザに感染して、濃厚接触した場合に予防内服薬(タミフルなど)が使われることはあります。ただ、接触から36時間以内に内服する必要がありますし、薬の投与中しか予防効果がないと言われています。ですので、1シーズン予防効果を発揮するには、ワクチンの接種が必要となります。

インフルエンザの予防接種の詳細について

インフルエンザの予防接種の詳細について

編集部編集部

インフルエンザワクチンの接種はいつ頃受けるのがよいですか?

上野 園子さん上野さん

日本では、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎えるため、12月中旬までに終えるのが望ましいとされています。

編集部編集部

早く接種すると流行前に効果が切れてしまいますか?

上野 園子さん上野さん

インフルエンザの流行開始は予測が難しく、早期に流行することもあります。接種してから効果が得られるまで、2週間ほどかかるため、10月に入ったら早めに接種を検討しましょう。

編集部編集部

昨年打っていますが、今年も受けないといけないのでしょうか?

上野 園子さん上野さん

毎シーズンごとに流行が予測されたウイルスに対して、ワクチンが製造されます。そのため、昨年に接種した方でも、今年の予防接種を検討していただく方がよいとされています。

編集部編集部

インフルエンザの予防接種は何回打つのですか?

上野 園子さん上野さん

13歳以上(成人含む)では1回接種、13歳未満(生後6か月~)では2回接種になります。2回目の接種は、通常1~4週間あけて接種可能です。

編集部編集部

新型コロナのワクチンとの接種間隔は、どのくらいあければいいですか?

上野 園子さん上野さん

厚生労働省の通達で、「新型コロナワクチンはほかのワクチンと前後2週間の接種間隔をとること」とされています。

編集部編集部

副反応で注意することはなんですか?

上野 園子さん上野さん

一般的に、副反応は軽微とされています。注射部位が赤く腫れ、熱を持つ、痛くなる、しびれることがありますが、通常は2~3日で消失します。ただし、インフルエンザのワクチンには、鶏卵由来成分が含まれているため、過去に卵アレルギーの経験がある人は、医師に事前に相談しましょう。

インフルエンザの予防接種を打つべき人

インフルエンザの予防接種を打つべき人

編集部編集部

インフルエンザの予防接種はどんな人が打った方がいいですか?

上野 園子さん上野さん

ワクチン接種が推奨されるのは、65歳以上の高齢者や5歳未満のこども、心臓や肺などの慢性疾患をお持ちの方、悪性腫瘍の治療中の方、高度肥満の方です。また、これらの方と同居されている方や、仕事や学校で人との接触の多い方も積極的に受けることをおすすめします。

編集部編集部

妊娠していても予防接種できますか?

上野 園子さん上野さん

一般的に妊娠中のすべての時期において、接種しても安全に問題ないとされています。ただし、個人によってリスクやベネフィットは異なってくるため、かかりつけの産婦人科の医師に接種の可否を相談することをおすすめいたします。

編集部編集部

インフルエンザの時期が近づいていますが、特に注意すべき方はいますか?

上野 園子さん上野さん

最近2年間(2022年現在)、インフルエンザの流行がなかったので、特に小さい子供の免疫が低下していると考えられており、子どもの予防接種は重要です。また。65歳以上の高齢者は肺炎のリスクが高いので、例年どおり対策が必要です。

編集部まとめ

うがい、手洗いなどの一般的な予防も大切ですが、それだけでは不十分であり、重症化を防ぐためには、インフルエンザの予防接種が推奨されることがわかりました。毎シーズン早めに接種できるよう予定しておくと安心ですね。判断に迷う場合は、事前に医師、薬剤師に相談するようにしましょう。

この記事の監修薬剤師